INTERVIEW

パンクバンド・Drinking Boys and Girls Choir 来日公演記念インタビュー|INTERVIEW #32

  1. HOME >
  2. INTERVIEW >

パンクバンド・Drinking Boys and Girls Choir 来日公演記念インタビュー|INTERVIEW #32

大邱出身の3ピースパンク・バンド、Drinking Boys and Girls Choir(以下DBGC)。2015年にデビュー後、韓国のレーベル《Electric Muse》、イギリスのレーベル《DAMNABLY》と契約すると、本格的に海外活動を展開し始める。アジア、ヨーロッパ各地を飛び回り、“SXSW”、“Liverpool Sound City”、 “The Great Escape ”といった大型の海外音楽イベントにも出演。さらにはイギリスでツアーを成功させるなど、彼らのエネルギッシュなパフォーマンスは各地のリスナーを熱狂させ、韓国内外で着実に知名度と人気を高めてきた。

左から、MJ(Vo./Dr.)、Junghoon(Vo./Gt.)、Meena(Vo./Ba)

そして今回、初となる日本ツアーが満を持して9月初旬に開催。同じくレーベル《DAMNABLY》仲間のOtoboke Beaver、Hazy Sour Cherryと共演を果たした。ライブでは、カバー曲「Linda Linda」や、女性・性的マイノリティなどの社会問題に訴えかけた最新作『Marriage License』の収録曲などを披露、大盛況に終わった。

BUZZYROOTSでは、公演を終えた彼らにメール・インタビューを敢行。日本のロックバンドに刺激を受けたという各メンバーの音楽ルーツ、結成〜海外活動のエピソード、今回の初日本公演の思い出について訊いた。


日本のロックバンドの影響を受けたDBGCの音楽ルーツ

ー読者の皆さんへご挨拶をお願いいたします。

MJ:こんにちは。日本の音楽愛好家の皆さん! 韓国の大邱を拠点に活動するファンクバンド・Drinking Boys and Girls Choirです。私はドラムと歌を担当しているMJです。

Meena:ベースと歌担当のMeenaです。韓国では野牛というあだ名で呼ばれたりしてます。

Junghoon:ギターと歌を担当しているJunghoonです!!

ーまずは音楽的なルーツについてお聞きしたいです。最初に音楽に興味を持ったのはいつ頃、どんなことがきっかけにあったのでしょうか?

MJ:小学生の頃、TVで韓国の有名なロックバンドのJAURIMと女性3人組アイドルバンド・AIDAを観てバンドにハマり始めました。それから教会でバンド活動を始めて、高校時代は吹奏楽部に所属したりと長く音楽に興味を持っていました。

Meena:高校時代、韓国歌謡にちょっと飽きてしまったんです。それで色んな音楽を探して聴いている中でバンド音楽に興味を持つようになりました。大学生になったら「絶対にバンドサークルに入るぞ!」と決心し入学初日に入りました。バンドサークル時代はX JAPAN、L’Arc~en~Ciel、SIAM SHADEの曲をたくさんカバーしました。パンク音楽はサークルを引退してインディーズでバンド活動を始めた時から色々と調べて聴くようになりました。

Junghoon:中学生の頃、お父さんの車に乗っていた時に、カーステレオから偶然流れたELLEGARDENの「Marry Me」を聴いて音楽に興味を持ちました。

ー結成のきっかけについてお聞かせください。

MJ:Meenaと私は10代後半から20代前半の時に同じ練習スタジオを使ってたんです。その時は二人ともドラマーでした。ある日、そのスタジオの企画で、ガールズバンドを結成してライブをしたのですが、それがすごく楽しかったので、絶対一緒にバンドをやりたいと思ったんです。それぞれ仕事や日常生活を送りながら時間を過ごした末、バンドを一緒に立ち上げることになりました。

ユニークな歌詞、そしてタイトルが魅力的ですが、どんなことからインスピレーションを受けますか? また、詞か曲のどちらから制作を始めますか?

MJ:実際に体験したことや感じたことに対する曲が多いです。曲ごとに少しずつ方法が異なっており、歌詞とメロディーが一緒に浮かんでくる場合もあれば、普段メモしておいた単語や簡単な文章から広げていく場合もあります。時々、メロディーと音楽またはリズムを先に思いついたりもします。

Meena:「I’m a fucking McDonald’s」という曲はマクドナルドで働いている時に出会った失礼な態度のお客さんに対する怒りを表した曲です。従業員もみんなと同じ人であることが分かっていないことへの怒りを表現したり、無茶なことを言ってくる人に「私たちはみんな同じ人間だ」と語る曲です。私は日常の中で感じる感情をまず文章で整理した後で、メロディーを付けて再び歌詞を修正する方法で曲を作っています。

ー地元・大邱はどのような音楽シーンなのか気になります。代表的なライブハウスやミュージシャン、大邱の音楽イベントについてお聞かせください。

Meena:大邱で最も歴史のあるライブハウスは「Club HEAVY」です。私たちと親しい大邱のバンドはigloo、SINDOSI、Hon'z、GUEK LYULなどがいます。大きくはないシーンですが、ミュージシャンどうし絆を深めています。大邱でのライブ情報をチェックするなら「EMPP(Enjoying Music & Performances with People)」というメディアのインスタグラムのアカウントでチェックできます。また、「INDI STREET」というプラットフォームでは全国のライブ情報を確認することが出来ます。(Instagram)

EMPP(Enjoying Music & Performances with People)
INDI STREET

レーベル《DAMNABLY》との出会い、そして海外へ

ーイギリスのレーベル《DAMNABLY》と出会った経緯について、詳しくお聞かせください。

MJ:2018年だったのですが、私たちの1stアルバム『KEEP DRINKING』韓国発売後の4月に開催された、釜山の“BIG DAY SOUTH FESTIVAL”というイベントに参加しました。その時ライブの時間が大幅に押してしまい、警察が出動したのですが、Meenaがライブを妨害する警察に中指を立てるという騒動がありました。Say Sue Meや私たちの友人であるCindiがその場面を撮影してSNSにアップしたんです。その動画を見た《DAMNABLY》のGeorgeがメールを送ってくれたんです。「Hello」だけ書いてある件名を見て、その時私は迷惑メールだと思って消そうと思ったのですが、開いてみたら「君たちのアルバムが気に入りました。音楽活動を一緒にやってみませんか。」という内容だったんです。周りのミュージシャン仲間たちに詐欺かどうか相談してみたりして、最終的には一緒に活動することにしました。《DAMNABLY》との最初の日程は“SXSW”でした。

ー海外でのパフォーマンスはいかがでしたでしょうか? 観客やバックステージに関して、印象的なエピソードについてお聞かせください。

MJ:初めて海外公演を行ったのはインドネシアでした。インドネシアのパンク、ハードコアシーンはとても若くて活気に満ちていて、たくさんのエネルギーをもらいました。ライブが始まると会場は前のめりで聴いてくれる人でいっぱいでした。誰もお酒を飲んでいないのにですよ! “SXSW”やイギリスのフェスティバルとイギリスツアーはロックの本場に来たという緊張感が少しありましたが、集中力を高めてきちんとやり遂げたことで、自らを数段階ステップアップさせることができたと思っています。最初のイギリスツアーは2019年5月でしたが、ロンドンに到着してから最初のライブ会場であるマンチェスターに行くまでの道がすごく混んでいて、4時間を想定していた移動時間が7時間もかかったので、車から降りると急いでステージに駆け上がってライブを始めました。緊張する暇もなく楽しみました。個人的に遅刻はとても嫌いなのですが、この時は楽しいばかりでした。

Meena:インドネシアに行った時は、たくさんの人が一緒に韓国語の歌詞で歌ってくれたのがとても印象深く思い出に残っています。“SXSW”は、レーベルメイトの友人たちと実際に会えたこともありとても楽しかったです。映画でしか観たことないフェスティバルに参加したことが信じられませんでした。たくさんのチームの舞台を観ることが出来て本当に楽しかったです。イギリスの時は「本格的なツアー」としては初の経験だったので、何もかもにわくわくしていました。長い時間車で過ごさなければいけなかったのですが、それさえもとても楽しかったです。遠い国でも、私たちのライブを観るためにたくさんの方が来てくださったのがありがたくて、恩返ししたい気持ちで演奏に力が入りました。

Junghoon:私はバンドに合流してしばらくはオンラインで海外公演に参加してました。今回の日本ツアーが初めて現地で演奏した海外公演だったのですが、本当に皆さん親切で多くの方々が観に来てくださってありがたかったです。

ー過去に一緒に海外ツアーを行ったSay Sue Meとの思い出についてお聞かせください。

Meena:Say Sue Meの皆さんは海外ツアーの多くのノウハウを教えてくれました。イギリスツアー中に韓国料理が食べたくなった時はどこで材料が買えるかとか、おいしいお店も教えてくださって、海外ツアー中の悩みを聞いてもらったりと深い時間を過ごしました。初のツアーをSay Sue Meと一緒に出来て、緊張せず無事にツアーをやり遂げることが出来ました。

海外活動の経験を積んでいく中で、心境など変化はありましたか?

MJ:Drinking Boys and Girls Choir自体、ものすごい夢と抱負を持った上で始めたというわけではないので、自分たちの変化に対して未だ戸惑いもあります。ですが、海外活動をしてそのフィードバックを受けることを続けていくうちに心身がもっと強くなりました。今は、長く続けていくために体力トレーニングをたくさんしたり、影響力を発揮出来るミュージシャンという立場で、誠実で強い心で声を発することなどを心掛けています。

Meena:もっと多くの国に行ってたくさんのリスナーに会いたいと思うようになりました。相当の体力を必要とするツアーをやり遂げられる体力をつけようと常に努力しています。

Junghoon:今回の日本ツアーで本当に大切な経験を得て、もっと多くの国のリスナーに出会いたいと思うようになりました。

初の日本ツアーを振り返る

ー今回のライブでも披露した『Linda Linda』は、2020年にEPでリリースされましたが、その経緯についてお聞かせください。また、韓国語の歌詞はどのように作っていったのでしょうか?

Meena:元々好きだった音楽なので、しばしばライブで演奏していました。当時は原詞をそのまま翻訳して韓国語で歌っていました。そうするうちに私たちがこの歌をよく演奏するのを知っていた《DAMNABLY》運営者のGeorgeに「アルバムで出してみないか」と提案を受けたんです。正式にリリースするためには韓国語の歌詞を修正する必要がありました。それで原曲のテーマ「ハッピーエンドで終わらない愛」というのをベースに一人称視点で再び歌詞を書きました。日本語、韓国語バージョンで録音したのですが、日本語バージョンはトラック別に録音し、韓国語バージョンは曲最後までバンドで通してワンテイクで録音しました。

ー日本の音楽に詳しい皆さんですが、他に好きな日本のミュージシャンはいますか?

MJ:Hi-STANDARDが大好きです。UNLIMITS、TOTALFAT、dustbox、松田聖子も好きです。

Meena:いつか友人のLONGMANと一緒にライブしてみたいです。沖縄のバンド・HARAHELLSも好きです。

Junghoon:私は ELLEGARDEN、Nothing's Carved In Stone、locofrankなど、好きな日本のミュージシャンはたくさんいます。

ー今回共演したレーベルメイトのOtoboke Beaver、Hazy Sour Cherryとは、これまでどのような交流があったのでしょうか?

MJ:Otoboke Beaverとは“SXSW”そして二度のUK/EUツアーで一部の公演日程を一緒に行いました。Hazy Sour Cherryは今回の日本ツアーで実際には初めて会ったんです。ちなみに、《DAMNABLY》のアーティストでZOOM新年会をした時にオンライン上で乾杯したことはあります。

Meena:両バンドともレーベルメイトになってから知りました。今回のツアーのためにたくさんサポートしてくれて、本当にありがたかったです。

Junghoon:Drinking Boys and Girls Choirに合流して初の公式日程が2021年の“SXSW”だったのですが、その時オンラインで一緒にライブをして、オンライン新年会で話しました。どちらのバンドも今回初めて実際にお会いしたのですが、本当に親切で皆さん素晴らしいバンドだなと改めて感じました。

ー滞在中に覚えた日本語はありますか?

MJ: 「のみます」

Meena:「また会いましょう」

Junghoon: 「ほんとうに、ありがとうございます」

ー初めての日本公演はいかがでしたでしょうか? 日本の観客の印象についてお聞かせください。また、ライブ以外の日本滞在中の思い出についてもお聞きしたいです。

MJ:お客さんがみんなジェントルでとても歓迎してくださいました。初めての日本公演で、未だパンデミックが終息していないにも関わらず、多くの方々が来てくださって嬉しかったです。サウンドもとても満足でしたし、良い環境で楽しくライブが出来ました。

Meena:3年ぶりの海外公演だったのでとてもワクワクしましたし、期待以上に歓迎してくださって何もかもがありがたかったです。以前留学で韓国に住んでいた大阪の友人たちと名古屋の会場で会うことが出来てとても嬉しかったです。そして新鮮な日本のビールをたくさん飲めたのもとても良かったです。アサヒの新製品(ふたを取ると生ビールになる缶ビール)も面白かったです。そして名古屋公演はOtoboke Beaverの日本ツアー最終日だったので、ツアーで彼女たちが訪れた都市の特産品のお菓子をプレゼントしてくれました。短い日程だったので、お土産を買う時間が無く残念でしたが、いただいたお菓子を韓国に持って帰って家族と一緒に食べました。

Junghoon:私は初の海外公演でしたが、みんなとても親切でプレゼントもたくさんいただき本当にありがたかったです。

最後に

ー年末までに韓国国内ではどのような活動を展開される予定でしょうか?

Meena:現在、大邱を拠点に活動する美術作家3人とのコラボアート展示&アルバム制作を進行中です。絵画、版画、イラストなど他のジャンルで活動する美術作家の話を私たちが曲にして、作家さんは作品の展示をするというプロジェクトです。初めて挑戦する分野なので不安なこともたくさんありますが、良い成果を出すために頑張っています。年末には今年一度も訪ねていない釜山でのライブ企画を進めています。

一 一方、海外活動に関してはいかがでしょうか。

Meena:10月に“ESPLANDE'S BAYBEATS 2022 IN SINGAPORE”に参加します。Otoboke Beaverもアメリカツアーを終えて同じイベントで会える予定なのでとても楽しみです。来年にはもっと多くのアジアの国々でライブをしたいです。たくさん来てくださいね!

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

Izumi

韓国ミュージックライター。他業界とパラレルワークで活動中。ドラマ、音楽をはじめ韓国エンタメ愛好歴は10年以上になるが、ライターとしてはまだ4年目。 韓国留学を機にインディシーンの虜に。 自由な表現でアイデンティティを発信している新進気鋭のアーティストを広めるべく、業界人やアーティスト等にインタビューし記事を掲載するほか、プロモーション記事企画や映像企画を実現。 近年ではアジアのミュージシャンに活動の範囲を広げ、多岐にわたり活動している。

おすすめ記事

-INTERVIEW
-

Translate »

© 2022 BUZZY ROOTS