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【FROMM】7インチレコード発売記念インタビュー | INTERVIEW #18

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【FROMM】7インチレコード発売記念インタビュー | INTERVIEW #18

新進気鋭の韓国ミュージックを国内に紹介するレーベル〈Bside〉が、韓国音楽シーンを盛り上げているアーティストの既発曲からセレクトし、バイナルカットするプロジェクト「Bside K-Indies Series」の第5弾が7月28日(水)にリリースされた。今回リリースしたアーティストは、女性シンガーソングライターのFROMM(フロム)、CHEEZE(チーズ)、Choi Jungyoon(チェ・ジョンユン)。

BUZZY ROOTSでは、3アーティストのインタビュー記事を公開していく。


2012年5月にシングル「It Wasn’t Love」でデビューしたFROMM(フロム)。積極的なアルバムリリースやライブ活動によって地位を確立したインディシーンを代表するシンガーソングライターである。そんな彼女のキャッチコピーは、「月と夜を歌うアーティスト」。月のように落ち着きのある深みのある声と、夜に相応しいモダンなメロディが魅力のアーティストだ。

正規1集「Arrival」、2集「MOONBOW」で2回連続韓国大衆音楽賞にノミネートされ、音楽評論家の好評を博し、大衆に広く認知されるようになった。その後も様々なジャンルのアーティストとのコラボレーションと多岐にわたる音楽的な取り組みによって、大衆性と芸術性を兼ね備えたアーティストとして認められ、愛されている。

デビューしてまもない頃はフォーク、アコースティック中心の楽曲が多かったが、レーベル独立後に発売したEP「Midnight Candy」以降はドリーム・ポップ、モダン・ロックなどバンドサウンドへと音楽の幅、世界観を広げてきた。

今回リリースされる「Hold Me Like It’s Forever」が収録されたEP「Midnight Candy」は、FROMMの “頂点” を感じることができるアルバムとして評価されており、「Aliens」が収録されているEP「CELLOPHANE」は前作の延長線として、より豊かなサウンドスケープを満喫できるアルバムに仕上がっている。

今回は、そんな魅力溢れるFROMMにメールインタビューを敢行。長きに渡り韓国で音楽活動を続けてきた彼女ならではの経験や業界を生き抜くメソッド、そして今回レコードという形で再リリースされる「Aliens」「Hold Me Like It’s Forever」について訊いた。

   

         


「歩みを止めず着実に前へ進む」
FROMMの信念

ーまずは、日本の読者のみなさんに挨拶をお願いします。

韓国でシンガーソングライターとして活動しているFROMMです。よろしくお願いします。

ー早速ですが、アーティスト名「FROMM」の由来はなんですか。

当時、仲の良いバンドのPeterpan complexのメンバーが「君の音楽と声はヨーロッパ風だから、ヨーロッパの名前にしてみるのはどうか」と提案したドイツ式の名前がFROMMでした。「〜から」という「起点」の意味も含んでいて、 「私の話を広げる」のにぴったりだと思い、この名前にしました。

ー音楽の世界に足を踏み入れた経緯を教えてください。幼い頃から音楽が好きだったのでしょうか。

幼い頃から様々な音楽を聴いていましたね。カラオケが流行っていた当時、友人と一緒にカラオケ歌っているうちに、私は他の人よりも少しだけ歌が上手いのではと気づきました。歌を歌うのは自分にとって興味深く、地道に活動する歌手になりたいと思いました。他の人たちが聴いている音楽とは違うものを聴きながら、優越感に浸るのが好きだった記憶があります。

ー最初はアイドル事務所に所属していたものの、音楽の方向性に違いを感じ自分で曲を作るようになったそうですね。事務所を離れてから、ご自身の感情にどのような変化が生まれましたか。

最初はボーカルトレーニングセンターでしばらく事務仕事をしたり、別の事務所に入ったりもしました。いざ 「既成歌手(アイドル)」の姿で歌手になる準備してみると、私が求めていたのは単なるボーカリストになることではなく、主体的に自分が求めるストーリーを作り、自分の宇宙を歌うことだと気付きました。

ー自らの音楽に影響を与えたロールモデルとなるようなミュージシャンはいますか。

カナダの女性シンガーソングライター、Feistやロシア出身のシンガーソングライター、Regina Spektorが好きでした。どんな音でも、自然に音楽として解いていく生もののような魅力があったからです。中でも、「1,2,3,4」や「Samson」が本当に好きでした。

ーこれまで、韓国国内〜イギリス、キューバなど国外の様々な場所に旅行したり滞在されていると思いますが、お気に入りの場所はありますか。

最も記憶に残っているのはアイスランドです。私は自然の風景に影響を受けやすい人なので、すごく神秘的な体験ができる場所だと感じたんです。今住んでいる世界ではなく、一次元向こうに渡った世界にいるような気分でした。

ーPeterpan complexと親交が深いと伺いましたが、彼らとの出会いについて教えてください。

Peterpan complexがレーベルを設立した際に、私が最初のアーティストとして入ったんです。Peterpan complexの音楽をフィーチャリングする中で、初めて経験する舞台がたくさんあったし、大先輩のクリエイティブな考え方に触れることができた非常に楽しい時間でした。今でも、セッションという形でいつも協力してくれます。Peterpan complexのおかげで、イギリスの《Glastonburry Festival》に行って一緒に公演することもできました。

ーEP「Midnight Candy」以降、デビュー当初のフォーク、アコースティックのイメージからガラッと変わり、ドリームポップやモダンロックの印象を受けます。今の音楽のスタイルに繋がる、きっかけとなるような原体験はありますか。

自分では変化をあまり感じません。私はただその時自分が作りたい音楽を作るようにしています。初期には自然なアコースティックの音に魅了され、その質感を表わすことができるような音楽を作っていたのですが、「Midnight Candy」のアルバムを作成しているうちに、いつの間にかエレキギターの音に魅了されている自分がいました。そうこうしているうちに、自然に出来たアルバムでした。

ーこれまでリリースした楽曲のうち、どれか1曲だけ日本の方々に紹介できるとしたら、どの曲を選んで紹介しますか。

「Spring, a dream of winter」という曲です。バラード曲なのですが、MVを東京で撮ったんです。そのせいか、日本の都市の雰囲気が感じられるメロディーとストーリーだとよく言われます。どういうわけか、日本のマイナーなバラードの感性が感じられるようで、ぜひ歌詞と合わせて紹介したいです。

ーご自身が音楽活動をする上で大事にしている信念があれば教えてください。

止まることなく、着実に進むんです。私はデビューしてからかなり時間が経っていますが、まだ音楽のフィールドで歌手として生きています。そのことに常に感謝しながら、いつも次の曲を準備する人でいたいと思っています。流行りではなく、今の自分が伝えたいことに集中する音楽家として。

魂を先に日本に送っているような気分

ーコロナ禍で日韓の行き来ができない中ではありますが、ついに日本でアナログレコードがリリースされましたね。

日本のレコードショップに私のLPが並んでいるのをぜひ見たかったのですが、まさかこのように世界の扉が閉じることになるとは思いませんでした。そんなやるせなさを感じる一方で、不思議な感覚も抱いています。人が行き来できないタイミングで私の歌だけが日本に渡って、日本のリスナーに会うということじゃないですか。私の魂を先に送っているような気分です。

ーパンデミック前はよく日本に来ていましたか。

日本は海外旅行で一番多く行った国です。「Pieces of You and Me」のMVを撮りに北海道に訪問したことがあったのですが、車で美瑛地域を回り、全く観光地ではないところでまるでスイスのような雪山の風景を発見しました。日本の自然景観についてよく知らなかったのですが、日本には本当に色んな顔があるのだと知って、感動したことがありました。

ーA面収録曲「Aliens (with Kim Feel)」はどういう意味が込められた曲ですか。

世の中には実に多様な人々が生きていて、事件や事故も毎日絶えません。日々降り注ぐニュースに怒った人々が溢れかえる世界で、自分だけが異邦人のようだと考えました。ただ恋人や友人と居心地の良い場所に行きたい、という気持ちを込めたのがこの曲の始まりでしたね。

ーこの曲では、男性シンガーソングラーターのKim Feelさんとコラボしていますね。彼に対する思いや制作時のエピソードを教えてください。

Kim Feelさんは最高のボーカリストだと思います。彼とはお互いのファンを自任して、新曲が出るたびに応援したりしてしました。今回、彼の声でこの歌を歌ってくれたらいいなと自分なりに悩み、最初はお願いしづらかったのですが、非常に快く一緒に制作し応援までしてくれて、大変力になりました。録音スタジオの費用まで何も言わずに決済して、悠々と挨拶されていました。

ずっと低音で単調に口ずさむようなメロディの曲なので、発声が良く高音も上手な彼にとってとても難しかったはずなのに、録音スタジオで一緒に聴いていた人は彼が独特のトーンでささやく度に、ただただうっとりして幸せでした。かえって彼自身の歌とはまた違った魅力をこの歌に込めることが出来た気がして、個人的にはとても満足しています。

ーMVがカナダのモントリオール国際芸術映画祭にオフィシャルセレクションとして上映されるなど、注目を浴びたと伺っております。ご自身も今回のMVの映像制作に深く関わったのでしょうか。

可能な限り、動画のストーリーテリングには介入しないようにしました。ギョンドン・リ監督は、音楽を聴いて一気にシナリオを書いて送ってくださり、その作品は最初に考えていた方向性、雰囲気とは違ったにもかかわらず、非常に興味深かったんです。楽曲とは別物の短編作品という気持ちで、応援しながら待つのを選択しました。だからこそ、誰にも予想できない良い作品が出来たのだと思います。

ーB面収録曲「Hold Me Like It’s Forever (with Car, the garden)」には、どういう意味が込めらていますか。

人生の中で問題がいくつも重なったタイミングがあり、その時は一日一日が後悔でいっぱいで、夜もなかなか眠ることができませんでした。その時、果てしなく魂まで回復できるよう、永遠に寝ていたいと思って書き始めた曲でした。誰かに私の痛みと悲しみを静かに慰め、永遠のようにぎゅっと抱いてもらいたいという気持ちで。

ーこの曲でCar, the gardenさんとコラボした経緯を教えてください。

実は最初はデュエットするつもりはなかったんです。初めは一人で歌ってみたのですが、何度も繰り返し聴いていると、中高音のトーンで個性的な男性の声が出てきたらよいかもしれないと思い、その時ちょうど思い浮かんだのがCar, the gardenでした。周りからは「歌の上手なボーカル呼んでおいて、なぜ高音をお願いしないのか。メッシを呼んでおいて、パスだけさせるのと同じだ」などと言われましたが、私はやはり、今のテイストが好きです。私の曲でしか出せない彼の声だと思っています。

ー最後に、今回の7インチを手にする日本のリスナーに向けて、メッセージをお願いします!

皆さんまだ私をあまり知らないと思いますし、私自身も日本で直接プロモーションをしたり、日本のファンの方々に会ったこともないのに、こうして私のレコードが発売されるなんて、なんだか不思議な気分です。どうか気楽に聴いていただき、私の音楽が皆さんの人生の一部に長く留まることを願っています。日本でライブをできる日が早く来て欲しいです。

            


BUZZYROOTSでは、Bside K-indie Seriesの情報を他にもたくさん掲載中。ぜひチェックしてください!

 

協力・監修:Bside Label

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Akari

1994年生まれの自称、韓国インディーズPR大使。韓国のミュージシャンや業界人を中心にインタビュー記事を執筆。「韓国の音楽をジャンルレスに紹介する」をモットーに、韓国インディーズ音楽特化型メディア「BUZZYROOTS」の運営やDJイベントへの出演、アーティストのアテンドなど、多岐に渡り活動中。好きなバンドはSURL。

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