INTERVIEW

【Silica Gel】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #25

2022-04-19

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【Silica Gel】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #25

2022-04-19

新進気鋭の韓国ミュージックを国内に紹介するレーベル〈Bside〉が、韓国音楽シーンを盛り上げているアーティストの既発曲からセレクトし、バイナルカットするプロジェクト「Bside K-Indies Series」の第6弾が3月30日(水)にリリースされた。今回は「ポストロックバンド特集」として韓国で名を馳せる実力派バンドのSilica Gel(シリカゲル)、Glen Check(グレンチェック)、Band Nah(ナサンヒョンシバンド)が取り上げられた。

BUZZY ROOTSでは、リリースを記念し3組のインタビュー記事を公開していく。


独自のサイケデリック・ミュージックと爆発的なエネルギーのライブパフォーマンスが魅力の「今最も新しく果敢にサウンドを作り出すバンド」Silica Gel。

後列左から:チェ・ウンヒ (Ba.) / キム・ゴンジェ(Dr.)
前列左から:キム・ハンジュ (Key.&Vo.) / キム・チュンチュ(Gt.&Vo.)

        

2015年8月にEP『Pure sun』でデビュー、翌年発売の1stアルバム『Silica Gel』で《韓国大衆音楽賞》の「今年の新人賞」を含む新人賞3部門で受賞した。多彩すぎるあまり形容することが出来ない彼らの音楽世界はバンドシーンで独自の立ち位置を築き、活動初期からメディアで取り上げられるようになる。2017年に初の海外公演を日本で行い、その直後に兵役のため惜しくも活動休止に入ることに。

そして2020年、バンドメンバーの新体制と所属事務所移籍とともに心機一転、彼らの第二章が幕を開ける。オリジナルMDの制作、そしてイベントシリーズ“Syn.THE.Size”の立ち上げなど新たなプロジェクトを続々と立ち上げ、音楽においても果敢に変革を試みている。中でも、ボーカル中心のディレクションが新鮮な「Desert Eagle」は、今年の《第19回 韓国大衆音楽賞》にて最優秀モダンロック賞を受賞し、さらなる“Silica Gel ワールド”の展開に各方面から熱い視線を浴びている。

そんなSilica Gelにメールインタビューを敢行。大学時代の奇跡的な4人の出会いから、活動休止前後の当時の心境について、そして第二章を飾った2曲「Kyo181」 「Desert Eagle」のレコード発売について、現在の心境についても訊いた。


一攫千金(?)宝物と出会った大学時代

ーー読者の皆さんへご挨拶をお願いいたします。

キム・ゴンジェ : 밍나 오하요 고자이마스~! (みんなおはようございます〜!)僕たちはSilica Gelです〜 いぇ〜い

チェ・ウンヒ : こんにちは、Silica Gelでベースを弾いているチェ・ウンヒです。

キム・チュンチュ : こんにちは、キム・チュンチュです。よろしくお願いします!

キム・ハンジュ: こんにちは、愛してます!

                           

ーーまずは音楽のルーツについてお聞かせください。最初に音楽に興味を持った/音楽が面白いと思ったのはいつ頃、どんなことがきっかけにあったのでしょうか。各自お聞かせください。

ゴンジェ:小学生になる前、母の勧めでクラシックピアノの教室に通っていました。母は僕に教会で聖歌隊の曲を編曲、演奏する人になってほしかったみたいです。そこで音符を読むことから始まり、古典音楽や教会音楽にも初めて触れました。その後、年上の従兄弟のお兄さんが演奏しているCDを聴いたり、お兄さんと一緒に過ごしながら彼らの好みだったLed ZeppelinやSanullim(サヌリム)、Metallica、ソ・テジ等たくさんのポピュラー音楽に触れました。なので考えてみると、幼い時の僕は同世代の子に比べて好みが変だなと思ったりもしてました。そんな感じで育ち、高校に入学する頃にチュンチュの勧めで音楽学校に入学して勉強することになり、16歳の頃にまた違う心持ちで音楽を始めました。

           

ウンヒ:中学生の時、夜にラジオを聴いていたらシン・ヘチョルの曲が流れてきて、あまりにもかっこよかったので、僕も音楽をやってみたいと思うようになりました。

               

チュンチュ:幼い時にピアノやバイオリンなどの楽器を習い、父の影響で70年代のロックミュージックに触れ、ふとギターを弾きたいと思った小学生がこうなりましたね……

ハンジュ:小学校に入学して直後ぐらいに、両親が音楽教室に入れてくれました。ピアノから始めたのですが、すんなりと習得できて、何よりとても楽しかったので将来のことまで考えるようになりました。幼な心に、楽器ひとつを極めるよりそれらをディレクションする作曲家の仕事のほうがかっこいいなと思っていて、作曲専攻で芸術系の中学校に入りました。元々は古典音楽や現代音楽を学んでいたのですが、音楽を聴く習慣がポピュラー音楽の方に変わり、自然とバンドをやろうと決心しました。

ーー4人の出会い、結成のきっかけについてお聞かせください。

ゴンジェ:先ほどお話ししたように、僕とチュンチュは長い付き合いの親友で、ハンジュとウンヒも親友なんですよ。僕は大学生の時いろんなことに興味があって、よく変なプロジェクトをやったりしていたのですが、その時偶然、宝物のようにハンジュを大学で発見しました。そうしてハンジュの手をつかむと、高価な宝石のようなウンヒがさらに一緒についてきました(?) こういうのを一攫千金とでも言うんでしょうか……とにかく、僕たちはそうやって大学時代にユニークで面白い実験を一緒にしていました。卒業する頃にソウルに拠点を移したのですが、その当時挑戦状を叩きつけるための重要な公演をウンヒが手伝ってくれ、本格的に合流するようになりました。

                

初の日本公演、そして活動休止から再開へ

ーー2018年の来日公演を観に行ったとき、「最初で最後の日本公演」とお話していたのが記憶に残っています。当時ステージではどのような心境でしたか? また、共演したシャムキャッツやトクマルシューゴさんと交流はありましたか?

ウンヒ:韓国以外では初めての公演で、それが予定されていた休止期間の直前だったので、説明できない緊張感がありました。他の公演では感じられないときめきと緊張でした。終わってからの長い拍手が休止期間中の僕にとってとても大きな力となりました。その時をよく思い出します。

チュンチュ:当時休止期間を控えた最後の公演であり、初めての海外公演だったのがシャムキャッツとトクマルさんとの公演でした。日本の方々の反応が今でも忘れられません!当時「しばらく活動がないぞ」と思いながら自由に演奏し、観客の皆さんが公演後にSilica Gelのアルバムを買ってくれているのを見て、とても心が躍ったのと同時に「これからしばらくできないんだな……」という残念な気持ちにもなりました。特に、シャムキャッツのギタリストだった菅原さんとはずっと連絡をしてましたし、菅原さんの新しいプロジェクトにミキシングで参加したりしています。

                  

ーー休止期間中に個人ではどのような活動をしていたか、自由にお話しください!

ゴンジェ:真面目に軍服務をして、ドラムの練習よりも制作ツールについてやプロデューシングやミキシング等、オーディオ制作に関する勉強をしていました。これらをマスターすれば、メンバーとより楽に制作のやり取りが出来るようになると思ったからです。さらに、世界各地の伝統音楽について細かく研究していました。その時間が今とても力になっていると思います!

ウンヒ:僕はThee Oh Sees、King Gizzard & the Lizard Wizard、A Place To Bury Strangersを聴いたりしてましたよ。個人の音楽活動は出来なかったですが……

                    

チュンチュ:SIlica Gelのキム・チュンチュではなく、ミュージシャン キム・チュンチュとして他のアーティストの曲制作に集中していました。加えてplaybookという新しいソロ・プロジェクトを始めることになったんです。このおかげでSilica Gelの活動にもより一層集中して取り組めそうです。僕は普段、あるアーティストにハマるとかなり長い間リピートして聴くタイプなのですが、Ariel Pinkにハマり、lo-fiについての考察を今も長いこと続けています。

             

ハンジュ:静かに軍生活を送っていました。

ーー休止期間を経て、活動再開に向けて再び4人で集まった時、どんな話をしましたか?

ゴンジェ:実は、再開のタイミングで初めて集まって話をしたのではなく、休止期間中もメンバー間で頻繁にやり取りしながら計画を練っていたんですよ。そのおかげでみんなの軍生活が終わった時、自然と「Kyo181」で戻って来れたんだと思います!

ハンジュ:休止期間だからといって会わなかったのではなく、休止期間をどうやって終わらせるのが面白いかとか、どんな音楽で復帰するのが良いかなど、たくさん話をしました。何よりも“再デビュー”という抱負をどうやって伝えていくかについて集中しました。

ーー最近のパフォーマンスを観ていて、より一層演奏の魅せ方に集中しているように感じました。現在パフォーマンスに対してどんな意識を持っているのか気になります。

ゴンジェ:最近になってより意識している部分があるとすれば、より精巧にダイナミックさを表現することです。その部分が“演奏に集中する”という点に通じていますね! みんな似ていると思いますが、特にドラムが持っているレベルの特性上、今はよりダイナミックレンジ内で自由に行き来することに集中しています。

チュンチュ:僕だけでなく、舞台にいるメンバーたちはいつもその時々の演奏に集中し、動き、反応しています! ただ最近の曲は編曲と演奏がより精巧になったので、より没頭しているように見えるような気もしますね!

ウンヒ:僕の場合、パフォーマンスをしながら演奏に酔ってよく失敗をしてしまうので、最近は失敗しないように酔う方法を探しています。

                   

再デビューを飾った「Kyo181」「Desert Eagle」、制作背景と日本発売への意気込み

ーー「Kyo181」は活動再開後の第一弾となる楽曲でしたが、どのような経緯で制作されたのでしょうか?

ハンジュ:休止期間中、あれこれ音楽的な挑戦をしているうちに誕生した曲です。Philip GlassやSteve Reichのようなミニマリズム音楽に興味がありました。特にPhilip Glassは自叙伝を買って読むくらいのファンです。ポピュラー音楽の技法の中で、リピートが持つ意味も日が経つにつれて新しくなるんだなと感じました。曲の長さが短くなったり、ヒップホップのトレンドにおける考察をたくさんするようになりました。「Kyo181」はこのような分野に対する好奇心を“Silica Gelフィルター”を使って作ったものです。

ーーEP『Kyo181』にはリミックスも収録されていますが、HWIさん / Lee Suhoさん / Song Youngnamさんにリミックスをお願いした理由をお聞かせくだい。

ハンジュ:はじめはリミックスのトラックを入れるつもりはありませんでした。当時一緒に仕事をしていた事務所の社長が提案してくれたアイデアです。“「Kyo181」の別バージョン”というより、“「Kyo181」の解剖”のように感じてほしいと思い構成しました。みんな期待以上の音楽を作ってくれてとても嬉しかったです。

               

ーー「SGTAPE-01」について、曲の途中、その後にリリースされた「Desert Eagle」の片鱗を伺わせる部分がありましたが、2つのEPには何か関係性があるのか気になりました。

ウンヒ:僕は個人的に 「SGTAPE-01」で「Desert Eagle」を連想させる部分を入れたことで「本当に発売が迫っていた」という期待感を与えつつ、次の曲を待っている方々にとって楽しいポイントになったんではないかと思います。Slow Desert Eagle...

チュンチュ:「SGTAPE-01」は実はSilica Gelのスピンオフシリーズだと言えます。「Desert Eagle」の発売と制作を控え、スタジオに集まってまるで「クロッキー」という美術の技法のようにトラックを作りました。同じ場所で、パッと浮かんだイメージを掴んだらすぐにレコーディングして、型破りで奇怪な音楽を作るシリーズがまさに「SGTAPE-01」で、それの第1作になります。「SGTAPE-01」は約25分の短編集のようなトラックなので、最後までしっかり耐えて(?) 聴いて下さったファンの皆様に、生命の始まりを象徴するイースター・エッグのような意味を込めて「Desert Eagle」の一部をネタバレしてみました。

                     

ーー先日「Desert Eagle」が《韓国大衆音楽賞》のモダン・ロック部門で受賞したことについて、今の率直な感想をお聞かせください。

ウンヒ:かなり久しぶりに誰かに褒められ、認められたような感じがして胸がいっぱいになりました。“豚もおだてりゃ木に登る”っていうじゃないですか? 次の曲でも一生懸命木に登りたいです。

ハンジュ:Silica Gelと「Desert Eagle」の旅を共にしてくれた方々に感謝したいです。音楽を聴いてくれた皆さんから、一緒に作り上げてきた僕たちまでみんなです!

               

ーー「Kyo181」「Desert Eagle」ともに、MVの本人出演がありましたが、出演経緯が気になります。また、ハンジュさんはソロのカットもありましたが、演技のイメージを作っていくのはいかがでしたか?

ゴンジェ:演技はとても難しく奥深いと思っている分野だったので、いまだに見るとぎこちない部分があると思います! それでもその音楽のアーティストが視覚的な部分で固定して出てくることはいつも面白いなと思っていました。多分そのおかげで、MVに出てみようという意見が出てきた時に肯定的に受け入れられ、与えられたディレクションにも最善を尽くせたんだと思います。

ウンヒ:演技はやはり難しいです。MVを見ると僕は演技が上手いようですね。これからも機会があればSilica GelのMVで演技をしたいです。

チュンチュ:「Kyo181」を計画していた時、メンバーが出演するMVを取ろうという意見が出て、みんな楽しそうだったので結局 「Desert Eagle」にも出演することになったんではないかなと思います。僕を含むすべてのメンバーが、カメラの前に立つと妙に楽しそうにしている感じがします。

ハンジュ:MV等視覚的な作品を制作するとき、欲しかったものを勝ち取る過程のように感じられることがあります。「Kyo181」の制作当時、メンバーが積極的に出演するMVが欲しかったんですよ。「Desert Eagle」の場合はメンバーが出演するだけでなく、パフォーマンスもするビデオが欲しかったんです。こんな点を監督にアピールしながら進めました。これから作られるMVでも積極的にメンバー出演していきたいです。演技については、具体的なイメージを作るよりもただ「迷惑だけはかけないでおこう」という気持ちで撮影しました。個人的に多くのプロダクション過程のうち、MVの撮影現場が一番大変でしたが、その分新しい経験を沢山積めたので良かったです。

                  

ーー日本で「Kyo181」「Desert Eagle」がレコードでリリースされることについて率直な感想をお聞かせください。そして今回のレコードを手にした日本の方に向けて、メッセージをお願いします。

ゴンジェ:僕は音楽家として僕たちの音楽を絶対にレコードで出してみたかったんです。今回の機会を通して素敵なレコードを作ってくれた《Bside》と、それを聴いてくださる日本のファンの皆さんに感謝と愛を伝えたいです。本当にありがとうございます。必ず日本で会いましょう!

ウンヒ:これをきっかけに日本で僕たちの曲をもっと沢山聴いてくれたら良いなと思います。僕たちの曲を聴いてくださる方たちが増えれば、僕たちはいつでも日本に行く準備ができています。もう少し待っていてください!

チュンチュ:とても大きな意味があります! レコードがとても好きですし、Silica Gelのレコードを企画して発売しようという目標を強く抱いていたメンバーの一人です。最近7インチで数作発表したのですが、「Desert Eagle」が収録された初のレコードということがとても意味深いです。しかも日本で発売されたということもあります。発売に続いて日本で公演することも楽しみにしています。その時まで今回の7インチを楽しんで聴いてください!

ハンジュ:ありがとうございます。日本でレコードを発売することができて嬉しいですし、有意義な気持ちになりました。近いうちに日本で直接会えますように!


BUZZYROOTSでは、Bside K-indie Seriesの情報を他にもたくさん掲載中。ぜひチェックしてください!

協力・監修:Bside Label

 

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  • この記事を書いた人

Izumi

韓国ミュージックライター。他業界とパラレルワークで活動中。ドラマ、音楽をはじめ韓国エンタメ愛好歴は10年以上になるが、ライターとしてはまだ5年目。 韓国留学を機にインディシーンの虜に。 自由な表現でアイデンティティを発信している新進気鋭のアーティストを広めるべく、業界人やアーティスト等にインタビューし記事を掲載するほか、プロモーション記事企画や映像企画を実現。 近年ではアジアのミュージシャンに活動の範囲を広げ、多岐にわたり活動している。

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