INTERVIEW

"韓国ジャズ界の未来" MKS 彼らの音楽を形作るルーツに迫る|INTERVIEW #3

2020-02-05

  1. HOME >
  2. INTERVIEW >

"韓国ジャズ界の未来" MKS 彼らの音楽を形作るルーツに迫る|INTERVIEW #3

2020-02-05

2月22日(土)、東京・南青山のライブハウス「月見ル君想フ」を中心に、周辺のライブハウス5会場で開催されるサーキット・イベント“Big Romantic Jazz Festival 2020”

国内外総勢28組のアーティストが出演する本イベント。アジア各国のアーティストが招聘され、韓国からはMKSの出演が発表された。

MKS プロフィール

MKSはドラマーのJeon-ho KangとキーボードのMi-kyeong Kimから成るフュージョンジャズ・バンド。 変拍子を多用した楽曲と、独自の世界観を武器に”Make Killin’ Sound”を掲げる。

2015年にプロジェクトグループ 〈MKS project〉として初のEPをリリース後、様々なジャンルのライブでサポートとして参加する中で音楽的スペクトラムを広げ、2017年にプロジェクトグループではなく正式デュオ”MKS”に改名。projectという単語一つ除いたことからも分かるように、キラーサウンドを作るプロジェクトではなくキラーサウンドそれ自体になって、二人自身の音楽に対し自信感と彼らの支える優れた実力を示す成長の結果を象徴している。

2017年 2月には来日ツアーを実施し、Srv.Vinci(現King Gnu)、Yasei Collective、BARBとの共演を果たしている。

韓国国内では「韓国ジャズ界の未来」と呼ばれ、韓国ジャズシーンで今注目を集めるバンドである。

今回はそんな彼らにインタビューを敢行。彼らの音楽性を形作る背景や、韓国ジャズシーンについて、また3年前の初来日公演の思い出と2回目の来日となる”Big Romantic Jazz Festival”出演への意気込みを聞いた。

                                    


                 

MKS結成まで

ーまずは、自己紹介をお願いいたします。

こんにちは。私たちは韓国でジャズシーンを基盤にフュージョンジャズを主に演奏しているMKSです。
私たちは現在MKSと並行していくつかのセッション活動をソウルで行っています。

ーお二人のこれまでについて伺います。ピアノ、ドラムを始めたきっかけについて各々教えてください。

Mi-kyeong :小さいころからピアノ、バイオリン、フルート、カヤグム(韓国の琴)など本当に多くの楽器を習いました。私にとって音楽は日常でした。なので特別なきっかけはなかったのではと思います。進路を決めなければならない時期が訪れて、最も好きなことをしたいと思いました。

Jeon-ho : 私がドラムを始めたのは通っていた教会ででした。韓国ではミュージシャンのほとんどが幼少期に教会で楽器に接する場合が多いんですよ。14歳の時初めてドラムに触って、その後地元の音楽スクールに登録して、レッスンを受け始めました。その後中学・高校でスクールバンドとして活動をして、その後もっと音楽を勉強したくて、韓国の音楽大学に進学することになりました : )

ー結成の経緯について教えてください。

Jeon-ho :2012年、大学の実用音楽科の同期としてMi-kyeonと出会いました。

その翌年、一緒に授業を受けることになり、その流れでチームを結成することになりました。

Killin' Soundが出来るまで

ーところで、"Make Killin Sound"という名前をつけた理由が気になります。

実は当初、これという名前も無くライブ活動を始めたのですが、アルバムの準備をする際にチーム名が必要になり、じっくり考えてみて浮かんだ名前です。私たちの音楽を一番良く表しているし、口にしてみてピッタリ合う感じがします : )

ーなるほど。確かにそうですね!そのような音楽がどのように生み出されているかとても気になります。では、楽曲制作はどのように進めていますか?

Jeon-ho : 主にMi-kyeongがほとんどの作曲を担当しています。曲の全般的なスケッチとメロディー、ラインたちを持ってきて、セッションしながら編曲をする方法をとっています。ドラムメンバーである私が作曲する曲たちはほとんどMi-kyeonの助けをもらいつつ進めています: )

ーちなみに、メジャーデビュー前にポップスやヒップホップのアーティスト公演でもサポートとして演奏をされていたようですね。他のジャンルにも触れてきた点がとても新鮮に感じ、興味深いです。今も演奏するときはありますか?また、その時普段の活動と異なる意識みたいなものはありますか??

Mi-kyeong : 私はセッションの活動がメインではないですが、今まで多様な分野のアーティストたちと共演する機会が多かったです。個人的に本当にありがたい仕事でした。他のアーティストたちの公演で演奏をするときは、MKSの音楽と重ならないスタイルがほとんどなので、毎回緊張もするしそれだけワクワクもします。私はそれで各ジャンルの音楽を学びます。例えば、ヒップホップアーティストと一緒に演奏をすることになる場合には、準備する期間の間はヒップホップ音楽だけ探して聴きます。そしてそのアーティストのインタビューや他のコンテンツなど調べながら最大限情報を持っておきます。音楽的に、最も共感できる状況を絶えず作り続けると親近感が出来るので、もっと楽しく演奏することが出来るようになるんです。楽しくできた演奏は良い音楽として、MKSの活動と上手く連携できていると思います。

Jeon-ho : はい、今でも私の音楽活動の半分以上をセッション活動が占めているようですが、MKSの音楽を演奏するときとはまた違う方式たちの演奏をしなければならない場合がほとんどです。例えば、歌手の後ろで演奏をするときには徹底的に歌手のサポートをする役が出来るドラマーになろうと思うのか、あるいは歌手と演奏者全員が一体となってエナジーが必要な部分では、私も一緒にライブをしているミュージシャンだと思うのか、あらゆる方式の考えを持ちながら状況に合わせて演奏をしています : )

ー影響を受けたミュージシャンについて、それぞれ教えてください。

Mi-kyeong : 学生時代など、音楽の勉強で接したミュージシャンたちを除いては、私は韓国のミュージシャンたちに最も影響を受けていると思います。私にとっての音楽の意味は表現です。私と一緒に音楽をする人々たちを通じて受けたエナジーと経験は私にとって大きな意味があって、私が音楽を続けられる原動力になっていると思います。もし、私が韓国ではなく他の国で新たな音楽環境におかれることになったら、その時の私はもっと他の音楽をすることになるのかな。

Jeon-ho :私はPop,Jazz,Rock,Hiphop,R&Bなど本当に様々な音楽が好きなんですが、私にドラマーとして大きな影響を与えてくれた人は、Chris dave,と Mark guiliana。二人のスタイルがとても好きで多くの影響を受けています。

そして、Jason Lindnerが率いるnow vs now (mark guiliana) チームの音楽をたくさん聴いていて、このようなスタイルがMKSの音楽にたくさん溶け込んでいます。またArt Blakey , Antonio Sanchez, Brian Blade, Justin Tyson, Justin Brown, Marcus Gilmore, Eric Harland, Deantoni Parks, Questlove, Louis Cole など、とてもたくさんのドラマーの演奏をよく聴いています!

日本の音楽にもとても多くのインスピレーションやエナジーを受けましたが、最近最も好きでたくさん聴いている音楽はTomita Labですね!(Misia の Everythingは本当に最高、、、!)そして最近ではKid Freshinoの音楽に新しさを感じながら聴いています : )

韓国ジャズシーンの中心スポット、Club Evans

ー Club Evans でよく公演をされていると思うのですが、韓国ジャズ市場、その中心にEvansがあるのでしょうか?(MKSにとってそのライブハウスがどのようなところなのか、そしてジャズミュージシャンにとってもどのような所なのか知りたいです。)

まず、ソウルの弘大に位置するClub Evansは20年近くそのポジションを守りつつ韓国の様々な世代のジャズミュージシャンたちが公演をしている韓国のジャズシーンでは欠かすことのできないライブハウスです。私たちも初めてのライブをここでしたのですが、今では最も演奏がリラックスして出来る場所の一つとも考えています。

また、毎回いろんなお客さんが訪ねてきて、クラシカルなジャズだけではなく、多様なスタイルのジャズを演奏するミュージシャンたちが集まる、ソウルのジャズクラブのうちの最もフレッシュな場所とも考えています : )

最新アルバム 『Monologue』について

ー2019年11月に2集アルバム『Monologue』が出ましたね。多くのミュージシャンたちが参加されていますが、( ROBIQ〈ベーシスト〉、 イ・テウク、 チェ・ジウン〈ギター〉、 イ・ドンミン〈コントラバス〉、 Q THE TRUMPET〈トランペット〉、イ・グァンジェ、キム・チョア、キム・スンヨン〈ボーカル〉)そのアーティストたちとどのように出会いましたか?そして今回の2集をどのように一緒に制作するようになったのでしょうか?

私たちがとても恵まれていると感じることの一つに周囲にサポートしてくれるありがたい人々が多いことなのですが、ROBIQ兄さんは私たちが一緒に演奏したい思いで、いきなりでしたが連絡を差し上げて、一緒にすることになりました。私たちの音楽で気軽にセッションするのは、実はなかなか大変だと思うのですが、それでも、ありがたいことに喜んで引き受けてくださり、またサポートしていただいて、その縁でほとんどメンバーのように今でも一緒に活動しているお兄さんです。そしてテウクさんとジウンさんはROBIQ兄さんとMKSの公演を続けていた時、ギタリストがいなかったので、一緒にできる人はいないかと思って探している途中、ROBIQお兄さんの紹介でライブを一緒にしたことをきっかけにレコーディングまでお願いするようになりました。
そしてドンミンさんは私とミギョンさんの大学の同級生です。 今回の2集のうち一曲は今までのMKSの音楽の色とは少し違う、アコースティックなジャズトリオの感じを入れたく、コントラバス演奏者を探していたところに、ドンミンさんの紹介で参加いただきました。本当にありがたいです。
そして、Qさんは一緒にジャズシーンで演奏しながら知り合った仲なのですが、私がQさんのバンドでもドラムを叩いていることもあり、お互いのバンドをサポートしながら一緒にやっている状況です。
最後にボーカルの3人は大学で出会った友人です。一番好きなボーカリストでもあります。
タイトル曲「Requiem」制作時、曲のムードにChoirが必要だなと思ってお願いしました。 作品を良いものにしてくれてありがとうと言いたいですね。

ーアジアビートボックスチャンピオンである、hissさんとはどのように出会いましたか?

hissは私たちの友達の中にエンターテインメント会社を運営している友人がいて、その友人の会社に所属しているアーティストです。 素敵な音楽をしていたので、初めてHissに会ったときからいつか一緒にやってみたいなと思っていました。ライブも一緒にやろうとお願いして、その縁あってアルバム制作作業までお願いすることになりました。

ーおすすめのトラックを教えてください。

Mi-kyeong:私は「Requiem」を選びたいですね。私たちは少しの間この世界に留まってから旅立つじゃないですか。人生は本当に旅なんだな、と思うと死への恐れや悲しみがなくなるような感じです。この旅が終わった後、愛する人々と私にプレゼントしたい曲です。

Jeon-ho:私は全ての曲が好きですが、その中でも「Stop&Go」という曲をオススメします。なぜなら私が曲を書いたので、、(笑) 私が最もよく表現できるグルーヴとリズムの変化などを込めた曲です。曲のタイトルのように止まったり行ったりする感じを受けると思います。

ー 「무언가 (Song without words)」 のMVを観て、ダンスする男女、そしてブラックとホワイトの対照的な映像が本当に印象的でした。MVのコンセプトについて教えてください。

曲のいろんなイメージを含蓄して込めました。「言葉」を除いた他の表現の手段の中にダンスが今回の音楽の要素たちと結合されると面白い作品になるんじゃないかと思ったんです。またポイントを伝達するのに無彩色が良いと思いました。特にモノトーンと男女で対比させるコンセプトを通して、クラシック的な色彩感を込めている今回のアルバムの全体的なムードを込めようとしました。監督やスタッフの能力のおかげで、納得のいく作品が出来て本当に感謝しております。多くの方々にとって印象的なMVになってくれることを願っています。

前回の来日公演について

ー 2017年に日本公演をされましたが、韓国の客層と日本の客層に違いみたいなものは感じましたでしょうか?

とても記憶に残る方がいらっしゃいました。私たちが下北で公演をしていた時なのですが、ある中年の女性二人が来てくださり、公演を観てくださったんです。そして終わって来てくださってしてくださったお話が最近韓国語を勉強しているのですが、韓国のバンドが来て公演をすると聞いて見に来たとおっしゃっていたんです。そして公演がとても良かったと、次に来るときはもっと観に行きますとおっしゃっていたのですが、その姿がとても素敵に感じられました。そして翌日に名古屋へ移動して公演をしたのですが、その方がまた来てくださったんです!それで、どうして来たのですかと尋ねたら、昨日の公演がとても良かったのでまた見たくて新幹線に乗ってきましたとおっしゃっていて、とても感動的でした。実は韓国ではそれが簡単なことではないんですが、とてもありがたい方でした。今回もお会いできるといいですね!

ー月見る君想フ公演の時にYasei Collective、Srv Vinci と一緒にライブをされましたが、彼らと共演したときの感想を教えてください。

初めてYasei Collectiveを知ったのは、ドラマーの 松下さんとFacebookを通じて連絡をとったことで、彼らの音楽を知り、とても独特でスタイリッシュな音楽に魅了されて、是非一緒に公演をしようと思っていた中、松下さんの企画でツアーをすることになりました。とてもありがたかったですし、楽しかった記憶として残っています、そして当時のSrv Vinci(今のKing Gnu)がオープニングアクトを引き受けてくれたのですが、彼らの音楽もまた私が好きなVibeでとても印象深く残っています。今はすごいバンドになったようですね…(笑)

Big Romantic Jazz Festivalについて

ー"Big Romantic Jazz Festival"は月見ル君想フを中心に周辺のライブハウスなどを舞台に開催されます。ソウルにもそういったイベントがありますか?

毎年10月中頃、ソウルの弘大にあるライブハウスなどを中心に開かれる、Zandari Festa(ザンダリフェスタ)というフェスティバルがあります。ヨーロッパ、アメリカ、ラテンなど世界各地の独特な音楽をするバンドたちが集まりフェスティバル内各会場にてライブが行われる楽しいフェスティバルです!日本の友達も来て公演してくれたらいいですね!

ー今回のフェスティバルで注目しているアーティスト、またコラボレーションしたいアーティストについて教えてください。

Jeon-ho:とても良いのでたくさんいますが、最近知ったKan sanoの音楽が好きです。実はKan sanoのソウル公演にQ the trumpetのバンドがオープニングアクトとして出演し、私はサポートで参加したんです。その時にKan sanoのライブをみてとても感動しました : ) 機会があれば共演したいですね!そして Yasei collective, Nao Kawamura, CRCK/LCKS, Sun Rai など私がとても好きなアーティストたちの公演を観ることが出来ると思うと既にワクワクします!

最後に

ー最後に、今年以降の展望を教えてください。

今年はもう少しいろんなミュージシャンと交流を通してMKSの色を広げていく時間たちを持ちたいなと思っています。そしてまた個人的にはMKSとして活動するだけでなく、各々音楽を作ってみていろんなミュージシャンとの競合を続けていきたいです : )

                        

ライブ情報
“Big Romantic Jazz Festival”

日時:2月22日(土)
会場: CAY, WALL&WALL, 銕仙会, 南青山MANDALA, 月見ル君想フ 他
チケット情報: 前売 ¥7,000 (各1D代別途)*  
※早割チケットは完売

出演者
山下洋輔/Chara + Kan Sano/YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ×オオルタイチ)/Sun Rai (Rai Thistlethwayte) (AUS) /Stars and Rabbit (IDN) /The Steve McQueens (SGP) /林 以樂(雀斑 / SKIP SKIP BEN BEN)(TWN) /Power Milk (CHN)/MKS (KOR)/Kan Sano/ものんくる/i-dep/あっぱ /臼井ミトン/F.I.B JOURNAL/YOSSY LITTLE NOISE WEAVER /Yasei Collective/CRCK/LCKS /showmore /Saigenji /Bim Bom Bam楽団/MIDORINOMARU/Nao Kawamura/別所和洋/高井息吹 /空間現代 /Fontana Folle

詳細はコチラ

 

SBS音楽番組「THE SHOW」 スタジオ観覧ツアー 入場確約チケット予約(韓国 ソウル)

【PR】SBS音楽番組「THE SHOW」旬のKPOPスターを間近で見れるスタジオ観覧ツアーをチェック!

Seohwa Hanbok(西花韓服) チマチョゴリレンタル利用券予約(韓国 ソウル・着物レンタル)

【PR】韓服レンタル|韓服を着て、景福宮や北村韓屋村などソウル観光を満喫!

  • この記事を書いた人

Izumi

韓国ミュージックライター。他業界とパラレルワークで活動中。ドラマ、音楽をはじめ韓国エンタメ愛好歴は10年以上になるが、ライターとしてはまだ5年目。 韓国留学を機にインディシーンの虜に。 自由な表現でアイデンティティを発信している新進気鋭のアーティストを広めるべく、業界人やアーティスト等にインタビューし記事を掲載するほか、プロモーション記事企画や映像企画を実現。 近年ではアジアのミュージシャンに活動の範囲を広げ、多岐にわたり活動している。

-INTERVIEW
-

Translate »