韓国インディアーティストに特化した音楽チャート「K-INDIE チャート」の2020年12月11日〜12月25日分をご紹介。
NEWCOMER OF THE WEEK
At least only we:Choi Yuree
・リリース日:2020/12/15
・カテゴリ:フォーク
HARD TO SAY IT’S OVER:ONE OVER N
・リリース日:2020/12/11
・カテゴリ:ロック
From the abyss:omm..
・リリース日:2020/12/15
・カテゴリ:ロック
We will be a Constellation : Lee O Neul
・リリース日:2020/11/06
・カテゴリ:フォーク
Jebidabang Compilation 2020/2021:Various Artists
・リリース日:2020/12/02
TREND MUSIC
Fantasy Pieces op.2 <ARIA>:Lucia
・リリース日:2019/10/02
・カテゴリ:バラード
SUMMARY
5位にはChoi Yuree(チェ・ユリ)がチャート初登場。若手アーティストの登竜門と言われるユ・ジェハ音楽コンテストで受賞し2020年に〈Shofar Music〉よりデビューした若手シンガーソングライターで、IUがSNSで「Warmhearted」「Stay」をシェアし、“IU Pick”としてメディアで話題になっている。
今作『At least only we』は同名タイトル曲をはじめとする新曲4曲とシングル2曲が収録され、「私たち(We)」が持つ意味、そして「私たちは今、何を望んでいるのか」というテーマのもと制作された。先んじて公開されたアルバムプレビューでは各曲の雰囲気を表すイラストが描かれている。
「私たち」というと大きなイメージで考えるような印象だが、アルバムプレビューからも分かるように彼女のイメージは、個人の体験や精神的な部分に焦点が当たっている。タイトル曲のサビ「私たちここに散らばっていよう/小声だけ交わそう」という歌詞には彼女なりの考えが込められているのではないだろうか。
今回は15位のomm..(オム)を紹介する。専攻は舞台美術だが、独学で音楽を学び、作詞曲・編曲、ミキシングとマスタリングだけでなく、ギター&ベースやキーボードまで演奏するマルチプレイヤー。独特なアーティスト名は、何にするか思い浮かばなかった時に思わず発した「う〜ん」がそのまま名前になったそうだ。
King KruleやMac De Marcoに通ずるローファイでサイケデリックな音世界と、抽象的だが心に刺さる歌詞が同世代のリスナー間で注目されており、1stEP『Our blue lights』は初登場で10位にチャートインした。
最新作『From the abyss』=”深淵から”は、物理的な底ではなく記憶や過去など精神の底がテーマだ。前作より実験的なサウンドで内省的なテーマを描く。
YouTubeには収録曲をBGMに制作されたムービーが公開された。使用された映像は、アメリカの詩人・芸術家であるハリー・エリオット・スミス制作の短編アニメコレクション『Early Abstractions』。タイトル曲「From the abyss」を背景にした映像は、仏教的なテーマを感じさせ、何か特別な意味を感じさせる。オリジナル映像のBGMと思われる伊藤貞司の楽曲も本作のテーマと関係しているのだろうか。
彼は楽曲制作だけでなく、このようなムービーやセッション映像も全てディレクティングしている。舞台芸術を専攻していることもあり、総合芸術としてアルバムのテーマを表現すること、そして精神世界と芸術の関係も創作の鍵となっているようだ。
28位にはソウル・弘大のライブハウス、”Jebidabang(ジェビダバン)”から注目のアーティストを集めたコンピレーションアルバム『Jebidabang Compilation 2020/2021』がチャートイン。今年は、Ohelen&Choisoi、Band 88、YOJA、Mongrim&Yeoyu、BULGOGIDISCO、YunyByeolgok、CADEJOが参加した。CADEJOは台湾のアワード”金音創作獎 2020”で受賞し、先月発表された”Korean Music Awards”にもノミネートされており、必聴だ。
また、リリースを記念してJebidabangのYouTubeチャンネルよりオンラインライブが配信された。参加アーティストに加え、Crying Nutやキム・イルドゥなど先輩アーティストも合流した。
1930年代に小説家が開いた「喫茶ツバメ」。2年あまりで廃業”となってしまった芸術家の集いの場の精神を受け継ぎ、2012年に場所を変えてオープンされたのがJebidabangだ。昼間は読書やボードゲームを楽しみ、平日夜はライブが行われ、今では弘大のランドマークとなった。インディーズミュージシャンとリスナー双方にとってこの地に欠かせない空間となっている。
そんなJebidabangがリリースしているコンピレーションアルバムは、2015年にスタートし以降新進気鋭の若手アーティストを紹介してきた。今回で5作目となる。昨年はコロナ禍の影響を受け、弘大のライブハウスも営業を中断せざるを得ない厳しい状況となったが、元々のYouTubeアカウントを通して様々な動画コンテンツを制作、生配信ライブも積極的に行い、オンラインを通じてインディーズミュージシャン、弘大の音楽業界を支えた。
チャート後半では、SunwoojungaやStella Jang、Yoon Jiyoungと「Bside K-Indies Series」のアーティストの人気が目立つ。先の2組はまもなくリリースを控えており、日本での活躍にも期待したい。
©︎Bside / Cover design by NOVVAVE RECORD
K-INDIEチャートとは
韓国最大手のインディ・ディストリビューター<Mirrorball Music>が提供している、インディアーティストに特化した音楽チャート。Yes24、Interpark、MIHWADANG、HYANG MUSICなど、韓国大手オンライン販売サイトやレコードショップでのアルバム販売数を基準に算出している。韓国の実力派アーティストを紹介するレーベル<Bside>が<Mirrorball Music>と公式ライセンスを結び、BUZZYROOTSとコラボで最新のチャートを随時公開していく。
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