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【Say Sue Me】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #30

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【Say Sue Me】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #30

新進気鋭の韓国ミュージックを国内に紹介するレーベル〈Bside〉。韓国音楽シーンを盛り上げているアーティストの既発曲からセレクトし、バイナルカットするプロジェクト「Bside K-Indies Series」の第8弾が8月24日(水)にリリースされた。今回は「釜山特集」として、Say Sue Me(セイスーミー/세이수미)、Bosudong Cooler(ボスドンクーラー/보수동쿨러)、Hathaw9y(ハサウェイ/해서웨이)の3アーティストをピックアップ。

BUZZY ROOTSでは、リリースを記念し、3アーティストのインタビュー記事を公開していく。


韓国の海街・釜山を拠点に活動する4人組インディロックバンド、Say Sue Me。

2012年の冬にバンドを結成。2014年にアルバム『We’ve Sobered Up』でデビューし、翌年にはEP『Big Summer Night』をリリース。2017年に英ロンドンのレーベル、Damnablyと契約、初のUKツアーも果たし、BBCラジオで頻繁にオンエアされるなど、話題を呼んだ。2018年2月、シングル「Old Town」がPitchfork、NPR、KEXP 等で取り上げられ、アメリカでも注目を集める中、同年4月にセカンド・アルバム『Where We Were Together』をリリース、8月には初来日公演を実現。

翌年、第16回韓国大衆音楽賞でBTSと並ぶ最多5部門にノミネート、最優秀モダンロックの2部門(アルバム及び楽曲)を受賞、ヨーロッパ、アジア、北米でツアーを行い、韓国のアーティストとしては初めてアメリカのラジオ局によるライブ企画「Live on KEXP」への出演も果たした。

Say Sue Me「Old Town」(Live on KEXP)

2021年にはドラマ『わかっていても』『ユミの細胞たち』に書き下ろし楽曲を提供、パンデミックの中で新たなファンを増やした。2022年5月、4年ぶりとなるフル・アルバム『The Last Thing Left』をリリース、ソウルと釜山でのアルバム発売記念公演を盛況のうちに終えた。

出演が発表されていた《FUJI ROCK FESTIVAL 2022》への参加は惜しくも叶わなかったが、10月末から11月にかけてワールド・ツアー《The Last Thing Left Tour 2022》を予定しており、12月には日本単独公演の日程も発表されている。

そんなSay Sue Meにメールインタビューを刊行。近況や同じ釜山出身のバンドBosudong Cooler、Hathaw9yとの交流、釜山でオススメの音楽スポット、そして、今回の7インチ収録曲「One Week」「My Problem」の制作意図について訊いた。


近況、そして日本ツアーへの意気込み

ーSay Sue Meというバンドを一言で言うと?

チェ・スミ(以下、スミ):2012年に釜山で釜山出身の4人が集まり結成したバンドです。現在は、チェ・スミ(ボーカル兼ギター)、キム・ビョンギュ(ギター)、キム・ジェヨン(ベース)、イム・ソンワン(ドラム)で一緒に楽曲を作り、バンドをしています。

ー12月の日本での単独公演《Say Sue Me Japan Tour 2022》の発表、おめでとうございます!今回の来日ツアーが決まった経緯について教えてください。

スミ:日本にはいつも行きたいと思っていて、ライブをしたい場所でもあります。再び海外ツアーができるようになり、最新アルバム『The Last Thing Left』をリリースしたタイミングで日本側から提案があったんです。冬に日本に行くのがすごく待ち遠しく、一年の終わりに海外ツアーを日本でできるのも本当に嬉しいです。

ーBsideのインタビューで、ベースのジェヨンさんは最近バンド「야자수(Yajasu)」でも熱心に活動されているとおっしゃっていましたね。皆さんの近況や直近のマイブームを教えていただけますか。

[Say Sue Me] Bside Interview|B333 Vol.8

スミ:心身の老化が急激に進んでいる気がして、一生懸命運動しようとしています。家の中でも外でも。ヨガやランニングをしていますが、やってみると誇らしい気分です。

キム・ビョンギュ(以下、ビョンギュ):たまに釜山のミュージシャンたちのミキシング、レコーディング作業依頼が入ってきています。最近は、今回のBside K-indies Seriesに一緒に参加したバンドBosudoung CoolerとHathaw9yのコラボアルバムである『Love Sand』のミキシング、レコーディングに参加しました。

Bosudong Cooler, Hathaw9y「World Tour」
Bosudong Cooler, Hathaw9y「Tasty」
Bosudong Cooler, Hathaw9y「Festival」

キム・ジェヨン(以下、ジェヨン):Yajasuも一生懸命やっていますが、本業であるSay Sue Meで多くの時間をメンバーと共に過ごしてますよ。ランニングもコツコツやっています。

イム・ソンワン(以下、ソンワン):僕も空き時間に運動をしています。

야자수YAJASU - 야호 @COMMUNE

地元・釜山で、静かに着実に
繋がりを紡いでいく

ー同じく釜山を拠点に活動するバンド Bosugong Cooler、Hathaw9yと一緒に日本で7インチレコードを同時リリースすることについて、どう感じましたか。

スミ:すごく嬉しいです。釜山を離れず黙々と、そして楽しく自分たちだけの音楽をやっている仲間たちがいて、非常に頼もしく幸せです。

ビョンギュ:気が合うチームと一緒に作品を作ることができて楽しかったです。

ジェヨン:一緒に参加できて光栄です。

ソンワン:誰かとコラボできるのは、いつどんな時でも嬉しいことです。誇らしい感じもします。

ーBosugong Cooler、Hathaw9yとの関わりの中で、何か印象的な出来事はありましたか。

ビョンギュ:Hathaw9yは、スラン(Bosudong Coolerのギタリスト)の紹介で親しくなったのですが、スタジオに遊びに来ることもあればレコーディングしに来ることもあります。記憶に残っているエピソードは、最近この2バンドのコラボアルバム『Love Sand』の制作に関わったのですが、レコーディングが終わってから牛肉をご馳走してくれたんです。特別な思い出です。

ーBsideのインタビューでフィーチャリングをオファーしたいアーティストとして、ジェヨンさんがHathaw9yをあげていらっしゃいましたね。

ジェヨン:個人的にHathaw9yのファンで、普段から彼らの音楽をよく聴いているのですが、コラボしたらどんな感じだろうかと想像したことがあるんです。曲の具体的なイメージはまだ湧いていませんが、Hathaw9yと一緒なら何をしても幸せなんじゃないかなぁと。

[온스테이지2.0] 해서웨이(hathaw9y) - 낙서

ー普段レコードで音楽を聴きますか。

スミ:私はターンテーブルを持っていないので、ストリーミングサイトを利用して音楽を聴いています。レコードはプレゼントでもらったり、自分たちのアルバムもずっとレコードとして発売されているので、そろそろターンテーブルを買わなきゃいけないかな...と思ったりしています。

ビョンギュ:レコードは7インチや12インチのRPM(回転数)が違うものなのですが、あるファンの方が私たちの7インチを12インチ用のRPMとして再生し、instagramのストーリーズにあげているのを見たことがあります。引き伸ばされて変に再生された曲が逆によかったとおっしゃっていて、その方はSay Sue Meが本当に好きなファンなんだな、と思ったことがあります。

ジェヨン:Say Sue Meに合流し、1年ほど前にビョンギュ兄さんが作業室にあるSay Sue MeのLPをセットでくれたんです。それをきっかけにLPを聴きたくてターンテーブルを買い、好きなアルバムのLPを集めるのが一つの趣味になりました。僕は、部屋の掃除をしながらLPで音楽を聴いて楽しむことが多いです。

ソンワン:もちろん音楽はストリーミングで聴きますが、気に入った音盤は「所有」するためにCDで購入しています。レコードも何枚か持っていて、スミと同じくターンテーブルを買おうか迷っています。

ー釜山でオススメの音楽スポットはありますか。

スミ:釜山のソミョンにある「ユギチェ(유기체)」というこじんまりした大きさのバーがあります。スクリーンがいくつかあって、ミュージックビデオやライブ映像をリクエストすると流してくれます。ここでお酒を飲むと美味しいんです。

ビョンギュ:今はステージの位置や店内の雰囲気が以前と比べてガラッと変わってしまいましたが、釜山大学の近くにある「Basement(베이스먼트)」というパブを紹介します。店内には、ライブができるちょこっとしたステージがあります。パブなのでライブ環境は良くないかもしれませんが、バンド結成当初はほぼ毎日ここでライブしていたこともあり、非常に思い出深い場所です。

ジェヨン:ライブ会場は当然「Ovantgarde」!...です。オーナーのお二方がすごく良くしてくれて、Say Sue Meのライブがない週末には、時々僕が出勤したりしています。

ソンワン:慶星大学の近くにある「Ovantgarde」というライブ会場がオススメです。特に、ライブがある日はベーシストのジェヨンに会えるとても素敵な空間です。

ー音楽活動をするとなった時に、「釜山を離れてソウルに行こう」という思いはなかったのでしょうか。釜山で音楽をしていて感じるメリットはありますか。

スミ:釜山を離れようと考えたことはあまりありません。釜山で音楽をすると、時々「釜山を代表するバンド」のような肩書きをもらえることもあります。それに、釜山はソウルより人口が少なく、静かな生活を送ることができますよ。

一番Say Sue Meらしい曲「One Week」
人は矛盾を抱えて生きていく「My Problem」

ーまずA面の「One Week」についてお聞きします。本楽曲はデビューアルバム『We’ve Soverd Up』に収録されていると思います。リリースから8年たった今、改めて聴いてみてどう感じますか。

スミ:パッと思ったのは、随分前の曲だな... ということ。この曲は程よくノリが良い曲だと思います。Say Sue Me初のMVをこの曲で撮影したのですが、全てがぎこちなくて。当時の私たちの姿が映像として残っていて、とても良かったと思います。

ビョンギュ:しばらくライブのセットリストには入れてなかったのですが、Bside K-indies Seriesのリリースを前に再び練習し、ライブでも演奏していて、相変わらず良い曲だなぁと思いました。

ジェヨン:僕がSay Sue Meに加わる前、20歳の時にSay Sue Meのライブを見て「One Week」のギターリフをコピーしていた姿が記憶に浮かびます。

ソンワン:「One Week」は、3年前に僕がSay Sue Meに合流した時からいつもセットリストにある曲で、たくさん練習した記憶があります。B面に収録されている「My Problem」についても、慣れないリズムなので練習にかなり力を注ぎました。

Say Sue Me「One Week」

ー「One Week」を正規1集アルバム『We've sovered up』のタイトル曲にしたのには、どんな背景があったのでしょうか。

スミ:Say Sue Meの音楽はインディロックの中でもジャンルが多岐に渡ると考えているのですが、「One Week」がどことなく一番Say Sue Meらしい曲だと思っています。先ほど話したように、程よいテンポが生み出すノリの良さと、ロックな雰囲気、不意に現れるギターノイズなど、私たちを説明できる要素がたくさん入った曲なんです。

ーB面の「My Problem」は、イントロを聴いた瞬間に釜山の海が頭に浮かぶSay Sue Meらしい一曲だなと感じます。本楽曲に込めた思いについてお聞かせください。

スミ:真逆の立場にいる「ロマンチスト」と「リアリスト」の両方がなんとなく私の中に存在しているような感じがして、これが私の問題である、と歌った曲です。今考えてみると、このような矛盾は私だけの問題じゃないと思います。人は誰しも矛盾を抱えているものなので、今ではもう問題だとは思っていません。

Say Sue Me「My Problem」

ー軽快なメロディとリズムに乗せて若者の気持ちを代弁しているような歌詞が印象的な「My Problem」ですが、どういうプロセスを経て歌詞を紡いでいったのでしょうか。「My Problem」をリリースした当時と今とで歌詞を書くプロセスに変化はありましたか。

スミ:早寝早起きが得意な誠実で模範的なリアリストと、早寝早起きすら難しいと感じるロマンチストについて考えてみました。その相反する二つの姿が一人の人間の中に存在することが、生きていく上での問題かもしれないと考えたんです。「My Problem」の歌詞を書いていた当時と今とでは、歌詞を書くプロセスに大きな違いはありません。自分自身に関する悩みや、他人に対する自分の悩み、考えを自分なりに面白く表現しようと努力しています。

ー音楽活動において、今後の抱負を教えてください。

スミ:燃え尽きることなく、仲良く平和的に続けていくことが目標です。

ビョンギュ:僕も、何事もなくずっと音楽ができたらと思います。

ジェヨン:みんなが健康で幸せに活動できたら嬉しいです。

ソンワン:着実に、そして末長く活動できたら嬉しいです!

ー最後に、今回7インチを手にとる日本のファンのみなさんに向けて、メッセージをお願いします!

スミ:聴いてくださり本当にありがとうございます。皆さんの健康と幸福を祈ります。

ビョンギュ:Say Sue Meを愛してくださっているファンの皆さん、Bsideを通して初めて知ってくださった全ての方に感謝です。短い間ではありますが12月に日本ツアーをすることになりました。その時にお会いできることを祈っています。

ジェヨン:感謝しかありません。

ソンワン:思う存分楽しんでください。


BUZZYROOTSでは、Bside K-Indies Seriesの情報を他にもたくさん掲載中。ぜひチェックしてください!

協力・監修:Bside Label

 

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  • この記事を書いた人

Akari

1994年生まれの自称、韓国音楽PR大使。インディペンデントな韓国のミュージシャンや業界人を中心にインタビューやコラムを執筆。「韓国の音楽をジャンルレスに届ける」をモットーに、韓国インディーズ音楽特化型メディア「BUZZYROOTS」の運営やDJイベントへの出演、アーティストのアテンドなど、多岐に渡り活動中。一番の推しバンドは、SURL。

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