Korean Indie Music and Culture

TAG LIST
INTERVIEW

J-POPとK-POPを繋ぐ新星。韓国バンド・can’t be blueが鳴らす「憂鬱」の先のサウンドとは 2nd EP『PRUSSIAN BLUE』リリース記念インタビュー|INTERVIEW #70

can't be blue

2024年5月の結成から瞬く間に韓国音楽シーンの注目株へと躍り出た5人組バンド、can’t be blue。デビュー曲「愛という言葉の中で」のMVがYouTubeで1,400万回再生を突破し、新人としては異例のヒットを記録。2025年11月には、700席規模のワンマンライブをソールドアウトさせ、その圧倒的な支持を証明してみせた。

「憂鬱さに閉じ込められることなく、悲しみを表現する」。そんなバンド名に込められたアイデンティティは、セルフプロデュースによるR&Bベースのロックサウンドと、ボーカル・ドフンの夢幻的な歌声によって、鮮やかな色彩を湛えて鳴り響く。トレンディな編曲の中にどこか親しみやすさを宿す彼らのメロディーの根底には、メンバーが愛聴するJ-POPの遺伝子も息づいており、海を越えた日本のリスナーをも強く惹きつける可能性を秘めている。

そして、2026年1月19日、彼らの新たなフェーズを告げる2nd EP『PRUSSIAN BLUE』がリリースされた。結成の秘話から日本との繋がりまで、急速なスピードで変化し続ける彼らの最新メールインタビューをお届けする。

Interview & Text:AKARI(BUZZY ROOTS)

can’t be blue メンバー

■ イ・ドフン(이도훈):ボーカル
■ クォン・ダヒョン(권다현):キーボード
■ イ・フィウォン(이휘원):ベース
■ キム・チェヒョン(김채현):ギター
■ キム・デフン(김대훈):ドラム

インタビューの様子。特別に時間を設けてもらい、BUZZY ROOTSから送った質問に回答してもらった。

       

「憂鬱ではいられない」バンド名に込められた美学

—— 初めまして。皆さんのことを初めて知る日本のファンに向けて、バンドの自己紹介をお願いできますか?

ドフン:こんにちは。僕たちは韓国で活動しているバンド、can’t be blueです。J-POPとK-POPのサウンドをベースにしながら、僕たちなりの憂鬱さや感情を込めた音楽を作っています。普段からJ-POPをよく聴いていて、たくさん影響を受けてきたので、こうして日本のリスナーの皆さんにご挨拶できることが本当にうれしいです。

—— 普段から意識的にJ-POPをよく聴いていたり、日本のカルチャーについて触れたりしているのでしょうか? 

ドフン:藤井風さんやVaundyさんの曲は普段からよく聴いて楽しんでいます。日本のバンドサウンド特有のニュアンスに初めて触れたとき、その魅力にどっぷりハマってしまって。かなり研究しましたし、今でも参考にしています。

—— なるほどです。J-POPとK-POPのサウンドをベースに音楽を作っていらっしゃるとのことですが、音楽を作る立場としてK-POPとJ-POP違いを感じることはありますか?

ドフン:K-POPとJ-POPは、サウンドの魅力や曲の展開に違いがあると感じます! 僕はその2つのジャンルを繋ぐことができると考えていて、自分たちの音楽こそがまさにその両方の魅力を兼ね備えていると思っています。

—— 皆さんが音楽を始めるきっかけとなったり、音楽を始めた初期によく聴いていて影響を受けたアーティストはいますか?

ドフン:チャーリー・プースとポスト・マローンです。

フィウォン:ジャスティン・ビーバーです。

チェヒョン:僕は自分自身です。

デフン:ディアンジェロです。

ダヒョン:フランク・オーシャンです。

ドフン:メンバーそれぞれ、音楽を始めたきっかけや影響を受けてきた音楽は異なりますが、そうした違いを持ったメンバーが集まることで、今のcan’t be blueのサウンドが形作られてきました。今は特定のジャンルや一人のロールモデルを基準にするというよりも、各自が持っている感覚を自然と混ぜ合わせながら、自分たちが作りたい音楽を作っています。

—— 大学の同期を中心に結成されたとのことですが、五人のメンバーが集まり、バンドを組もうと決めた瞬間やエピソードについて教えていただけますか?

ドフン:もともと一緒に東亜放送芸術大学に通っていた仲の良い同期でした。その中で、個人的に僕とチェヒョン兄さんが一緒に制作をすることになったのですが、思っていた以上に息が合ったので、初めて「バンドをやってみようか」という話が出たんです。そのときに作った曲が、僕たちのデビュー曲である「愛という言葉の中で(사랑이라 했던 말 속에서)」でした。

その後、同じ大学に通っていたダヒョン兄さんとフィウォン兄さんにも一緒にバンドをやろうと提案しました。デフン兄さんは別の学校に通っていたのですが、少し遅れて合流し、今の5人編成が完成しました。

振り返ってみると、最初からバンドを目標にしていたわけではなく、デビュー曲をきっかけに自然とチームが作られていったように思います。

——「can’t be blue」というバンド名が非常に印象的で、皆さんの美学にも通じているのではと感じています。改めてこの名前に決めた背景について教えてください。

ドフン:「can’t be blue」という名前は、僕たちがバンド名を考えていた初期の頃に、自然と思い浮かんだ言葉がきっかけでした。当時「blue」という単語が持つ響きや雰囲気が好きで、憂鬱さや悲しみといった僕たちがよくテーマにしている感情にも通じると感じていたんです。そこから、「じゃあ、いっそ “can’t be blue” はどうだろう?」という話になり、その表現が不思議と心に残りました。

「憂鬱ではいられない」という言葉が、自分たちが普段表現している感情やテーマと少し食い違っているところがむしろ面白いと思ったし、その微妙な感覚こそが、音楽で表現したい感情に近いとも感じました。そうしてバンド名が決まり、今も変わらずそういった感情を自然な形で音楽として表現しています。

     

バンドの枠を超えて。アイドルをも虜にする聴きやすさの秘密

—— デビュー曲「愛だと言っていた言葉の中で(사랑이라 했던 말 속에서)」が爆発的な再生数を記録しました。事務所に所属しない独立した活動の中でこれほど大きな反響を呼んだことを、当時を振り返って率直にどう感じていますか? 

ドフン:正直、僕たちの間では曲自体は良いと思っていましたが、事務所に所属せず独立した形で活動していて、特別なマーケティングを行っていたわけでもなかったので、ここまで大きな反響があるとはまったく予想していませんでした。

なので、多くの方に聴いていただき好きになってもらえたという状況自体が、当時もそうですし、今振り返ってみてもまだ実感が湧いていなくて。なぜ反応がここまで広がったのかは、今でもはっきりとは分かりません。ただ「たくさんの人に共感してもらえたらいいな」という僕たちの率直な思いが自然な形で届いたのではないでしょうか。

—— 結成からわずか1年ほどで700席規模のワンマンライブを即完売させるなど、驚異的なスピードで成長されています。音楽活動をする中で、デビュー当初から変化したと感じる部分はありますか?

ダヒョン:最初は、友達であり同期でもあるドフンが「一緒にやってみよう」と声をかけてくれて始まったバンドでした。正直、そのときはここまで音楽を続けるとは深く考えていなかったんです。でも活動を続けていく中で、今では音楽を「仕事」として、そしてこれからも進んでいくべき道として受け止めるようになったという点が、一番大きく変わった部分です。バンドに対する心構えや責任感も、デビュー当初からかなり変わってきたと感じます。

—— TOMORROW X TOGETHERのスビンさんやfromis_9のソヨンさんなど、多くのアイドルも皆さんの楽曲を高く評価しています。皆さんの音楽がこれほど広く、多様なリスナーに届いている理由をどのように考えていますか?

ダヒョン:僕たちが考えるに、K-POP的な感覚とJ-POP的なメロディが自然に混ざり合っている点が、一つの理由なのではないかと思います。バンド音楽の中で、そうした二つの要素を同時に持っているチームは、相対的にあまり多くないと感じています。

フィウォン:「バンド」と聞くと、どうしても強い音やロック寄りのイメージを思い浮かべる方が多いと思いますが、僕たちの音楽は、普段あまりバンド音楽を聴かない方にも、気負わずに聴いてもらえたのではないかと思います。そうした点が、幅広くいろんな方に自然と届いた理由なのではないでしょうか!

     

2nd EP『PRUSSIAN BLUE』に込めた、言葉にできない感情の最深部

—— 最新EP『PRUSSIAN BLUE』についてお聞きします。今回のアルバム全体を通して、リスナーに届けたいメインテーマやメッセージを教えてください。

ドフン:今回のアルバムでは、「誰もが一度は経験したことのある、言葉では整理しきれない感情のいちばん深い部分」を、僕たちなりのサウンドや空気感で直感的に描いてみました。僕の個人的な経験をベースにしつつ、メンバーそれぞれの率直な思いが重なり合い、アルバム全体としては、「愛が終わった瞬間から始まる後悔や未練、執着へと続く感情の流れ」を表現しています。この流れに身を委ねながら、リスナーの皆さんそれぞれが思い思いに共感しながら聴いてもらえたらうれしいです。

     

—— 今回のアルバム制作において、特に苦労した点や新しく挑戦したことはありますか?

ドフン:うーん、僕たちが伝えたいストーリーをそのまま音楽に落とし込もうとする過程で、かえって悩むことが多かったです。この感情をどう表現すれば、より完全な形でしっかり伝えられるかを考え続けながら制作していました。その分、正直な方向性を大切にしながら選択を重ねることができ、結果的にはとても納得のいくアルバムに仕上がりました。

—— 明るいメロディと、胸をえぐるような切ない歌詞の対比が、これまでの作品で感じてきた皆さんの楽曲の特徴だとも感じています。今回のアルバムでは、メロディと歌詞に関して、何か工夫されたことはありましたか?

ドフン:今回のアルバムでは、全体の楽曲の色合いを統一することに特に意識を向けました。その結果、「愛という言葉の中で(사랑이라 했던 말 속에서)」や「First Sight(첫 눈에 널 사랑할 수는 없었을까)」といったこれまでの楽曲とはスタイルが異なっていますが、その分、一段深い音楽を作ることができたと思っています。メロディと歌詞の強いコントラストを前面に出しているわけではありませんが、それでも十分に魅力を感じてもらえる楽曲が揃っていますよ。

    

     

「日本でもまた会おう」フェスでの交流と、次なる目標

—— J-POPアーティストが多数出演する韓国の音楽フェスティバル『WONDERLIVET 2025』に出演されていましたね。日本のアーティストとの写真がSNSで多数アップされているのを見ました。出演時のエピソードや、日本のミュージシャンとの交流で特に印象に残っていることはありますか?

チェヒョン:今回の『WONDERLIVET 2025』への出演は、多くの日本のアーティストの方々と、一度にお話しできた初めての経験でした。皆さん本当に親切に接してくださって、良い交流ができたことがとてもうれしかったです。特に、最初にご挨拶させていただいた紫 今さんが、快く僕たちのアルバムを受け取ってくださったことが印象に残っています。また、UNISON SQUARE GARDENのベーシスト・田淵智也さんが「日本でもまた会おう、応援しているよ」と声をかけてくださったことも、とても心に残っています。ぜひ日本に行って、またお会いしたいですね。

紫 今さんとの写真。

UNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんとの写真。

—— 日本の皆さんに「まずこの1曲から聴いてほしい」という、バンドの名刺代わりになるようなおすすめの曲を一曲ずつ教えていただけますか?

ドフン:個人的には、日本語が入っている「take it anymore」をおすすめしたいです。

フィウォン:僕も「take it anymore」です。日本の知人がよく聴いてくれているみたいです。韓国の曲に日本語が入っているのが珍しかったのか、「本当に日本語なの?」と聞かれたりもしました。

チェヒョン:「愛という言葉の中で」をおすすめしたいです。この曲を作るときに、初めて日本の音楽を聴いたんです。その影響が伝わってくるか、初めて聴く方にぜひ聞いてみたいですね。

デフン:「Sick of you」をおすすめします。

ダヒョン:「First Sight(첫 눈에 널 사랑할 수는 없었을까)」をおすすめします。

—— 過去のインタビュー記事では、将来的にコーチェラ・フェスティバルへの出演や、トレンドの基準となるバンドを目指しているとおっしゃっていましたが、2026年に向けて挑戦したい新しい目標はありますか?

ドフン:やるべきことはたくさんありますが、2026年には日本で開催されるフェスティバルに出演することが目標の一つです。それから、日本でのワンマンライブなどを通して、日本のファンの皆さんと直接会って一緒に楽しむ時間を作ってみたいです。

—— 最後に、この記事を読んで下さった日本のファンへ一言メッセージをお願いします。

ドフン:日本のファンの皆さんにご挨拶できる機会をいただけて、本当に感謝しています。これからも良い音楽をたくさん届けていくので、引き続き関心を持って応援していただけたらうれしいです!

       

リリース情報

can’t be blue『PRUSSIAN BLUE』

Release Date:2026-1-19
Label:CATS WHISKERS

Track List:
01. Black Tesla
02. Is you
03. dim,
04. Should be you
05. Waiting

配信リンク

公演概要(韓国)

『2026 CAN’T BE BLUE CONCERT PRUSSIAN BLUE』

公演日時:
2026年2月21日(土) 18:00
2026年2月22日(日) 17:30
会場:ノドゥル・ライブハウス(Nodeul Island Live House)(韓国・ソウル)
公式サイト

📝 can’t be blueは近々日本でのライブも予定しているとのこと。続報をお楽しみに!

🔖 タグ:can’t be blue

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
AKARI

AKARI

エディター|ライター

1994年生まれの自称、韓国音楽PR大使。インディペンデントな韓国のミュージシャンや業界人を中心にインタビューやコラムを執筆。「韓国の音楽をジャンルレスに届ける」をモットーに、韓国インディ音楽に特化したWEBマガジン「BUZZY ROOTS」の運営や、音楽・カルチャーメディアへの寄稿、広報、DJイベントへの出演、アーティストのアテンドなど、できることなら何でも形を問わず行なっています。プライベートでは、韓国人の夫と結婚し、二人の子どもを出産。子育てをしながら東京とソウルを行き来しています。

  1. J-POPとK-POPを繋ぐ新星。韓国バンド・can’t be blueが鳴らす「憂鬱」の先のサウンドとは 2nd EP『PRUSSIAN BLUE』リリース記念インタビュー|INTERVIEW #70

  2. K-INDIEチャート Vol.309|HYUKOHが過去作LP5種を待望の正式リリース|87dance、Samuiらの注目作を紹介(2025/12/26-2026/1/10)

  3. K-INDIEチャート Vol.308|SSW・ハンロロが再びトップ|Car, the garden、キム・プルム、ウ・ヒジュンらの注目作を紹介(2025/12/11-12/25)

RANKING
DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7

RELATED

PAGE TOP
毎月届く、音楽好きのための
韓国インディ通信。
ニュースレターを購読する