INTERVIEW

韓国のロックバンド TOUCHED 来日記念インタビュー|INTERVIEW #35

2023-01-18

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韓国のロックバンド TOUCHED 来日記念インタビュー|INTERVIEW #35

2023-01-18

2022年12月13日、14日の2日間、日韓友好音楽イベント『Power of Music!!-Narciss continue to challenge-』の第一弾が埼玉県さいたま市で開催された。このイベントは、京畿コンテンツ振興院(Gyeonggi Content Agency)の協力のもとに企画されたもので、韓国からは3組の実力派アーティスト、TOUCHED、WeAreYoung、Hwanhoが出演したことで話題となった。

その中の一組で、今韓国のインディーシーンの有望株として注目され、勢いに乗っているインディーロックバンド、TOUCHED(タッチド)。紅一点の女性ボーカル、ユンミンを中心に据え、パワフルさとしなやかさを兼ね備えた独自のロックを奏でる5人組バンドだ。

左から、ディオン(Gt)、キム・スンビン(Dr)、ユンミン(Gt/Vo)、ジョン・ビキム(Ba)、チェ・ドヒョン(Key)

2020年に新人ミュージシャンの登竜門と呼ばれる「第31回 ユ・ジェハ音楽コンテスト」で楽曲「Blue」を披露し優勝。その後、2021年1月にシングル「The Dawn Star」のリリースとともにデビューし、2022年にはMnetの最新バンドサバイバル番組『Great Seoul Invasion』で優勝を収め、一気にその名を広めた。メンバー全員が名門、ソウル芸術大学出身という華々しい経歴の持ち主でもある。

TOUCHEDを知らないという方は、本文に入る前に一度、彼らのライブの様子を映像でご覧いただきたい。K-POPチャートショー『M COUNTDOWN』で楽曲「Highlight」を披露した際のもので、筆者お気に入りの動画の一つだ。

BUZZY ROOTSでは、来日公演を終えたばかりのTOUCHEDにメールインタビューを敢行。メンバーの日本に対する思いやこれまで積み重ねてきたキャリア、そして海外志向の強い彼らの今後の目標について訊いた。


ー初来日公演、本当にお疲れ様でした!日本のファンのみなさんを前にしたステージはいかがでしたか?

ユンミン(Gt/Vo):言葉が通じなくても、音楽を通してお互いに分かり合えたような気がしたのが印象的でした。

キム・スンビン(Dr):公演中に音響トラブルがありましたが、みんなでその事故も楽しみながらライブを終えました。いつも完璧では面白くないでしょう。さまざまな変数の中で、その公演でしか見ることのできない新しい姿を見られることがライブの醍醐味だと考えています。だからこそ、今回の公演がより特別になったような気がして楽しかったです。

ジョン・ビキム(Ba):今回、日本公演だったにもかかわらず韓国のファンの方々もたくさん会場に来てくださっていたのですが、韓国と日本のバンドがともに一つのステージに立ったように、ファンの方も韓国と日本、両国のファンの方が一緒に楽しんでくださいました。「日韓友好」の意味を実感した貴重な経験でした。

ディオン(Gt):日本の雰囲気がとても穏やかで趣を感じるものなのに対し、日本のアーティストのみなさんの果敢で型破りな姿がとても印象的でした。

チェ・ドヒョン(Key):久しぶりにファンの皆さんと近い距離でライブをしたのですが、コロナ前の記憶が蘇ってきてとても気持ちよかったです。

ー今回の来日公演以前に日本に来たことはありましたか? 日本での思い出や、日本に対するエピソードをお聞かせください。

ユンミン(Gt/Vo): ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行き、ハリーポッターの杖で魔法使いになる体験も楽しかったし、東京ディズニーランドで花火を見たのも良い思い出です。奈良公園で鹿に餌をあげたことも強く印象に残っています。

キム・スンビン(Dr):僕は11年前に大阪、4年前に千葉県へ行きました。その時印象的だったのは、日本ではどのお店に入っても食べ物が全部おいしかったということです。 普段から和食が好きなのですが、日本で食べるとさらにおいしく感じました。

ジョン・ビキム(Ba):日本に行ったのは今回の来日公演が初めてでした。僕にとって日本は言語の壁が最も高い国で、翻訳アプリ「Papago」でコミュニケーションをとったのが記憶に残っています。

ディオン(Gt):どんな時でも日本は一番近い隣国であり、僕は温泉が好きだから...(笑)絶対行きたいと思っていました。今回は温泉に行けなかったので、次回必ずまた来ます!

チェ・ドヒョン(Key):通りが静かで人が親切です。いつも日本に来ると不思議なのは、自動車のクラクションが聞こえないこと。お店で音楽を大きな音でかけたりもしません。そのおかげか、考え事をする時間をもらえるような気がします。

ー先日、YouTubeで公開されたタイの音楽フェスティバル『OCTOPOP』 出演時のビハインドムービーでは、みなさん口々にマッサージに行きたいとおっしゃっていましたね。今回の来日公演の前後はどのように過ごされましたか?

ユンミン(Gt/Vo): 韓国にない服や食べ物を見て楽しみました。

キム・スンビン(Dr):公演で知り合った日本のスタッフと仲良くなり、公演後に東京で一緒に遊びました。海外に友達ができるというのはすごく特別で楽しい経験でした。

ジョン・ビキム(Ba):日本では、ラーメンを何としても食べてみたいと思っていました。初日の公演後、23時ごろに浦和駅近くの「鶏そば 一瑳」というラーメン屋さんに行ったのですが、夜遅い時間にもかかわらず長い列に並んで食べるのに驚きました。とても美味しかったですよ。

ディオン(Gt):今回はおいしいものをたくさん食べて、あとはホテルで思いっきり休みました。ホテルの窓から見える外の景色が、個人的にとても気に入りました。

チェ・ドヒョン(Key):日本人の友達と一緒に遊びました。友達がしっかりエスコートしてくれたおかげで、日本をたくさん感じて帰ることができました。

    

ー日本で楽しい時間を過ごされたようで本当によかったです。

キム・スンビン(Dr):今回共演した韓国のバンドHwanhoとWeAreYoungとはもともと知り合いだったのですが、より仲が深まって良かったです。他にも印象的だったのが、共演したとあるミュージシャンが、僕たちのために日本のお菓子など差し入れをたくさん買ってくれたことです。本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。日本には良い人がたくさんいますね。

ーここからは、みなさんのことについてお聞きしていきたいと思います。メンバー全員がソウル芸術大学出身ということですが、実際にライブの様子を見ていても、非常に「個の力が強い」バンドだという印象を持ちました。バンド結成前の皆さんのキャリアについて教えてください。

ユンミン(Gt/Vo):オーディオ評論家の父の影響で音楽を始めることになりました。これまでの受賞歴は「全州MBC創作歌謡祭(Jeonju Ultimate Music Festival)大賞」「ソウルランドミュージックフェスティバル  大賞」「東豆川ロックフェスティバル(Dongducheon Rock Festival)人気賞」「YTNバスキングコンテスト 金賞」です。

キム・スンビン(Dr):幼い頃からずっとバンドに憧れていて、バンドをしたいと思っていました。決定打となったのが「MR.BIG(ミスター・ビッグ)」というバンドで、彼らに触れてから本格的にロックバンドを夢見るようになりました。そこから、その夢を叶えるために大学に入り、いろんなバンドで少しずつ活動をしました。ところが、どれも僕が望む絵のバンドではなかったのですべて辞めることになり、最終的に今の「TOUCHED」というバンドを作りながら、僕の理想のバンドにたどり着きました。

ジョン・ビキム(Ba):クラシックピアノをしている母の影響を受けました。幼い頃から音楽が好きで、どんな方法であったとしても最終的には必ず音楽をすることになると思っていました。特にゴスペルが好きで、高校生の時にアメリカに留学し、Coldplay(コールドプレイ)やJohn Mayer Tri(ジョン・メイヤー・トリオ)の音楽を楽しんでいました。 その後、ゴスペル、R&Bなど、さまざまなジャンルでライブやレコーディングセッションの演奏をしました。

ディオン(Gt):TOUCHEDを結成する前は、主にいろんな歌手とセッションをしたり、学生に教えたりしていましたが、私の目標は変わらずバンドをすることだったので、「TOUCHEDをしよう」と提案された時は快く受け入れました。

チェ・ドヒョン(Key):個人ではプロデューサー、作曲家として楽曲をリリースし、ライブセッションやレコーディングセッションも行ってきました。バンドをしながらこれらの個人活動を並行して行っていますが、やはりステージでチームとして発するエネルギーが一番好きです。お互いを信じているからこそ湧き出る感情があるんです。舞台の上に一人で立つとしたら、それはとても寂しいはず。

ーそんな多方面で活動していたみなさんがどのようにして集まり、バンド結成に至ったのでしょうか?

キム・スンビン(Dr):キーボードのドヒョンともともと親しい仲だったのですが、話をしているうちに偶然、ユンミンと一緒にバンドをすれば面白くなりそうだという話になり、その話を具体化させてユンミンにバンドをしてみようと提案しました。ユンミンは悩んだ末に僕らに加わり、その後、ギターのディオン、ベースのジョン・ビキムが入って「TOUCHED」になりました。

ー「TOUCHED」というバンド名の由来を教えてください。

キム・スンビン(Dr):最初、バンド名を決める際にいろんな意見が出てきましたが、良さそうな名前が出てきませんでした。そんなとき、偶然ユンミンのスマホのメモ帳に記録されていた「TOUCHED」という名前が目につき、満場一致で気に入ってTOUCHEDになりました。「感動させる」という意味が僕たちの価値観ともぴったり合っていて、非常に気に入りました。

ー「感動させる」という意味の単語をバンド名にしたわけですが、「TOUCHED」の音楽をどのように説明することが多いですか?

キム・スンビン(Dr):基本的にはロックをベースとするバンドです。とはいえ、このジャンル、と決めておきたくはありません。将来どんな新しい音楽をするかわからないですしね。ただ、一つ確かなことは、どんな方法でも「リスナーに感動を届けられるような音楽をする」ということです。

ーそんなロックをベースに多様な音楽で感動を届けるみなさんが、ロールモデルにしているミュージシャンはいますか?

ユンミン(Gt/Vo): Radiohead(レディオヘッド)です。「Creep」を聴き、ロック音楽に魅了されました。

     

キム・スンビン(Dr):アーティストとしては、韓国の歌手、イ・ジョクから一番大きく影響を受け、バンドではMR.BIGがロールモデルです。 他にもStevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)、Michael Jackson(マイケル・ジャクソン)、Richie Kotzen(リッチー・コッツェン)などとたくさんいますが、僕にとっての象徴的なアーティストはイ・ジョクとMR.BIGです。

ジョン・ビキム(Ba):Kirk Franklin(カーク・フランクリン)、 Coldplay、John Mayer Trio。

ディオン(Gt):幼い頃にギターで初めて弾いたロックが X Japanの「Week End」という曲でした。韓国ではユン・ドヒョンバンド(윤도현 밴드)の影響を大きく受けたりしましたが、個人的には海外のポップアーティストがすごく好きです。

チェ・ドヒョン(Key):影響を受けるミュージシャンがコロコロ変わる方なのですが、ここ最近で一番好きなのはBillie Eilishの「Getting Older」です。

ーバンドを結成してから今日に至るまでに、バンドの流れが変わった転機と言えるような出来事はありましたか?

キム・スンビン(Dr):自分たちの中では、2020年に「第31回 ユ・ジェハ音楽コンテスト」で優勝した時がターニングポイントでした。まだデビュー前で表向きには実力を証明できなかった時期でしたが、この時に賞をもらって認められたことで自信を得て、さらに前に進むことができました。多くのリスナーに知られるようになったきっかけは、何と言ってもMnetのバンドサバイバルプログラム『Great Seoul Invasion』に出演し、優勝したことです。テレビで放送されたことで、より多くの方々に知ってもらうことができました。この番組には本当に感謝しています。

ー2021年というコロナ禍で直接ライブを行えない中でのデビューだったと思いますが、そのメリット、あるいはデメリットはありましたか?

キム・スンビン(Dr):コロナのせいで公演の機会が減ってしまい、ファンの方も会場に直接訪れることが少なくなり、どちらかというと大変さの方が優っていました。ステージ上で演奏をする僕たちとしては、観客の皆さんが声を出せないというのもとても大きなデメリットでしたね。その反動なのか、コロナがある程度落ち着いたこのタイミングで公演を再開したところ、3年の間押し込まれていた心がブワッと膨らみ、ファンのみなさんがよりライブを楽しめるようになった気がしてうれしく思います。

ー皆さんが音楽活動をしていく上で大切にしている信念について教えてください。

ユンミン(Gt/Vo): 最善を尽くすこと。

キム・スンビン(Dr):音楽に真心を込めること。

ジョン・ビキム(Ba):Music is Magic.

ディオン(Gt):ファンの皆さんが共感できるようなTOUCHEDのストーリーを伝えること。

チェ・ドヒョン(Key):感情と考えを率直に盛り込んだ音楽が好きです。言葉が通じなくても、その時代に感じる悲しみ、喜び、孤独を僕らの音楽から感じ取れること。

ー日本の皆さんにご自身の曲を1曲だけ紹介するとしたら、どの曲をおすすめしますか?

ユンミン(Gt/Vo):「The Dawn Star(새벽별)」。今回日本に行ったときにホテルでこの曲を久しぶりに聴いたのですが、改めて良い曲だと感じました。

      

キム・スンビン(Dr):「Highlight」。TOUCHEDのエネルギーを一番上手く盛り込んだ曲だと思っています。 日本の皆さんにも、一緒にそのエネルギーを感じてほしいです。

      

ジョン・ビキム(Ba):「Alive」 。遠くにいたとしても、みんなが一緒に息をして生きているということを感じてもらえたらうれしいです。

      

ディオン(Gt):「The Dawn Star(새벽별)」。ディオンという人間のアイデンティティーが一番よく込められた曲で、僕たちのデビュー曲でもあるため、個人的に大きな意味をもった楽曲です。

チェ・ドヒョン(Key):「Candle(촛불)」。 僕が最近最も没頭している曲です。 日本でいろんな感情を感じましたが、来日公演を終えたばかりの今、この曲が一番気に入っています。言葉で上手く表現できませんが。

      

ー最後に、音楽活動における今後の目標を教えてください。

キム・スンビン(Dr):現状に満足することなく成長し続け、グローバル時代に合わせて世界の市場へと進んでいきたいです。特に日本の皆さんはバンドが好きですし、TOUCHEDのメンバーも日本が好きなので、今後機会があれば日本でも積極的に活動したいと考えています。

取材協力:MPMG MUSIC

 

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  • この記事を書いた人

Akari

1994年生まれの自称、韓国音楽PR大使。インディペンデントな韓国のミュージシャンや業界人を中心にインタビューやコラムを執筆。「韓国の音楽をジャンルレスに届ける」をモットーに、韓国インディーズ音楽特化型メディア「BUZZYROOTS」の運営やDJイベントへの出演、アーティストのアテンドなど、多岐に渡り活動中。一番の推しバンドは、SURL。

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