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【REPORT】韓国音楽と交流の盛んなタイ音楽シーンに迫る。ライター座談会[Studio Mushroom Iron × BUZZY ROOTS]

2020-11-20

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【REPORT】韓国音楽と交流の盛んなタイ音楽シーンに迫る。ライター座談会[Studio Mushroom Iron × BUZZY ROOTS]

2020-11-20

近年、アジア各国の音楽やカルチャーが世界的に注目され、国を越えた交流が盛んになっている。韓国という点で考えてみると、早くから海外進出を果たしたK-POPはアジアで長く人気があり、中でもタイと韓国の交流は長く活発である。2PMやGOT7、NCT、CLCやBLACKPINK、(G)I-DLEなどタイ出身のメンバーが所属するグループが増えていることをはじめ、昨年リリースされたタイの〈Wayfer Records〉と韓国の〈BRANDNEW RECORDS〉によるレーベルコラボアルバム、音楽プロデューサーのGRAYとタイのR&Bシンガー・ALLY(アリー)の「How To Love」、10月にはSE SO NEONのボーカルでソロでも活躍中のSo!YoON!がシンガーソングライターのPhum Viphuritとコラボレーションした楽曲「Wings」がリリースされるなどコラボにも注目が集まっている。

So!YoON! (황소윤) X Phum Viphurit ‘Wings’ Official MV

                

先日筆者は、Webメディア「Studio Mushroom Iron」を運営するタイ音楽探検家・山麓園太郎さんがゲストで出演し、おすすめのタイポップスや音楽シーンについて語るイベントに参加した。

様々な音楽が紹介されたが、中でも山麓さんが「サバーイポップス」と題して紹介していた楽曲たちが特に印象に残った。

「サバーイ(สบาย)」はタイ語で「快適、心地良い」という意味らしい。その言葉に括られる音楽は一言で言うと、近年流行っているチルミュージックだ。この音楽を聴きながらふと思い出したことがある。

pH-1とYerin Baekのコラボ曲「Nerdy Love」の日本での反応を見ていた時に「この曲、タイの音楽みたい!」というコメントを目にしたことだ。このコメントについて、これ以上のことは分からなかったが、確かにこの曲の雰囲気も心地良い、「サバーイ」である。

pH-1 - Nerdy Love (Feat. 백예린) (Prod. Mokyo) (Official Music Video) (SUB ENG)

          

今回は韓国音楽との交流が多く、シンパシーがありそうなタイの「サバーイ」な音楽について、またシーン全体の現在と未来、海外戦略についてどう考察するか、リモートで山麓さんとの座談会を開催した。その様子をお届けする。               

「サバーイポップス」の音世界

名付け親・山麓さんの定義する「サバーイポップス」

ー今日はよろしくお願いします!本題に入る前にどうしても聞きたかったのが、「Nerdy Love」の「タイの音楽っぽい」ってコメントについてです。結局このコメントの理由やなどは分からなかったのですが、山麓さんは楽曲を聴いてどう思いましたか?

山麓:「タイっぽい」というコメント主さんの耳に残っていたタイポップスは何か?と想像してみると、mamakissやGym And Swimだったのではないか?と想像します。

mamakiss - Flashback! [Official Video]

                     

Gym and Swim - Sunrise (Official Audio)

                             

ー日本でも人気があるバンドなので、おそらくコメントされた方もこの辺りは聴き込んでいたのかもしれないですね。とはいえ、こういった音楽がタイっぽいサウンドとして海外で定着しているのは興味深いです。それでは本題に入りますが、先日のイベントで山麓さんが「サバーイポップス」について紹介されていましたね。mamakissとGym and Swimも関連するアーティストだと思います。改めてこの定義について教えてください。

山麓:簡単に言うとシンプルなサウンド、アレンジというかね。全体に漂うゆるーい感じ。なぜゆるく感じるのか考えてみたんだけど、暑い国だから重たい音響機材とか持ち運びたくない点はあるのかなと最初は思ったんですよね。タイってレストランやバーでの生演奏に対するニーズが多いので。

ー環境面からですね。カジュアルな雰囲気の食事と音楽を楽しむようなレストラン、テレビで見たことあります。

山麓:その現場で鍛えた感じともいいますか、場数を踏むことでやっぱりそのバンドじゃなきゃ出せないグルーヴが出てくるんですよね。あとは不測の事態に対応するうちに細かい事を気にしなくなる、マイペンライ(問題ないよ / 気にしなくていいよ)気質ですよね。それが、イコール「サバーイ」に結び付くというか。常に気持ち良いほうを選択する、敬虔な仏教国だから人前で怒るのはみっともない事とされていて、だから怒ったりしないんですよね。内心では腹が立ってるかもしれないけど笑ってくれる(笑)。タイの国民性として割とスローなテンポの曲が日本よりもずっと好まれる、みたいなのはありますね。BPMの低い、ゆったりした曲でも、ちゃんと聴いてくれるんですよ。そういった曲が多いのでテンポから来る緩さもありますよね。

ーちなみに、実際にタイの音楽チャートにゆったりした曲が入ったり反映されているのでしょうか?

山麓:そうですね。チルな曲が上位に入ってきてたりっていうのは感じますよ。2020年の10/18-24の週の現地のラジオ局Cat Radioの週間チャートTOP30ですが、2位のDeptがいきなりチル系。12位のThe Photo Sticker Machineもそうですよ。

                  

山麓:でもよく調べてみるとね、演奏の時に足元に置く機材の量は日本とそんなに違いはないし、アレンジや音色はむしろ彼らの音楽ルーツへの深いリスペクトから来てるみたいなんですよ。1960-70年代のオールディーズとかソウルミュージックの制作方法に代表される一発録りとか。もちろん現代はPCなどでの編集が入るけど、出来上がりの音像はそう聴こえるものを目指してるような所があるんじゃないかな、っていうのが分かりましたね。タイの大手レーベルでは洋楽と全く変わらない感じの売れ線狙いの曲もある一方、僕が言うサバーイポップのアーティストは現状自主制作か小さいインディーズレーベルに所属していたり、大手メジャー傘下のサブレーベルだったりするので、一般的なポップスに対するカウンター的存在ではありますね。

サバーイを奏でるミュージシャンたち、そのルーツは

ー先ほど音楽ルーツのお話が出ましたが、今回「サバーイポップス」のアーティストにルーツをお聞きしたそうですね。

山麓:今回インタビューしたのは、temp.、kopycat、loserpopの3組です。インタビューの時に「実は君たちのバンドをサバーイポップって名付けてる」って話をしたら、「ジャンルとしてサバーイと呼ばれるのは初耳だけどなんか良いね!」って言ってくれました。

temp. - Fortune Teller [OFFICIAL VIDEO]

               

The Kopycat - My Baby [Official Lyric Video]

                      

loserpop - อีกครั้ง (once) [Official Video]

         

山麓:temp.からはリードボーカル・Nickさんに聞きました。The Beatles、Bee Gees、あとはThe Everly Brothersだそうです。kopycatのベース・PondさんはCarpenters とかFleetwood Macなどとのこと。loserpopのボーカル・Bankさんも60年代から70年代のオールディーズとソウルミュージックだそうです。多分、自分で見つけてきたというより親の影響なんですよね。親がたくさん洋楽を聞いていたんだと思います。洋楽を好んで聴いてた、欧米のカルチャーに憧れてた層は現在活躍するミュージシャンたちの親の世代ということです。

ーなるほどです。3組とも若いと思うのですが、意外ですねこの結果は。

山麓:多分20代後半〜30代前半ぐらいですかね。もちろん90年代から2000年代のタイの音楽も聴いてたそうだけど、彼らの世代だとちょっと昔の洋楽やJ-POPも聴きつつ、その頃になると自国の音楽もだいぶ面白くなってきてた、そんな感じですね。

ー私と同世代ですね。でもiPodやYouTubeの登場によって自分の手で色んな音楽に出会う機会が増えたので、親と一緒に音楽を聴くっていう空間ってだんだん減ってくるのではと思ったのですが。

山麓:90年代までは音楽パッケージとして長く人気があったのがカセットテープで、それらをリビングで聴いていたみたいなんですよね。親と子どもが揃っているっていうシチュエーションの中で。

※2000年代に入ると徐々にCDに移行し、それに伴いMP3も普及しPCアプリ(WinAmpとか)で聴いていたそう。2010年代半ばからはCDショップが徐々に姿を消し、配信に移行している。(タイポップス評論家・chueさんより録音メディア史についての情報をいただきました)

ー幼い頃に聴いていた音楽に影響を受けることはよくありますからね。そう考えると共感出来ますし、納得です。

韓国のサバーイポップス

ー3アーティストの楽曲を聞いて、CADEJOとCHSは「サバーイ」に当てはまるのではないかと思いました。

[MV] 까데호 (CADEJO) - 우리 (Us) / Official Music Video

                 

불놀이 Field Fire

                    

山麓:「Us」はリゾートでサバーイな感じを出してますけど、「Field Fire」は凄いですね。この浮遊感のあるギターの和音は完全にジャズのセオリーです。こういう曲が出来ちゃうテクニック力の人達だから、「Us」のような緩い曲の仕上がりもすごいですよね。

ーおっしゃる通り、ジャズをはじめにソウル、ファンク、ヒップホップの要素をミックスしていますよね。というのもメンバーそれぞれミュージシャンとしての活動は長く、このバンドを結成する前にそれぞれファンクやサイケ、サンバと様々なスタイルのバンドを掛け持ちしていたこと、またその活動の中で幅広いジャンルを折り込んだ楽曲制作をしてみたりと行った経歴があるんです。先ほど「現場で場数を踏んで…」といった話がありましたが、聴いていると様々なジャンルのセオリーが自然に体に染み付いている感じがしますよね。

[CHS] 밤바다(BAMBADA) M/V

                    

山麓:CHSはもう本当にこういう曲が演りたくて作ったバンドって感じしますね。この深い残響音とか、途中ギターのエコーをループさせる所で音が飽和して割れるのとか、まさにLo-fiマナーですね。

ーサイケデリックで力を抜いて聴ける感じですよね。CHSは曲ごとに様々なプレイヤーが参加したりメンバーが変わるんです。やはりこちらも様々な経歴を持つメンバーで構成されていて、フロントマンはシューゲイザーバンドで活動していたのですが、CHS結成後はこのような音楽の作り方、活動の仕方に転換したそうです。どちらも「自分たちらしく、新たな音楽を創作していきたい」という感じ。ヒットを狙いに行っていくというよりは、自分たちの気持ちいい形で音楽を作っていく。サバーイポップスもそうですが、このような音楽が偶然にも相性が良かったのではないかと思います。

韓国とタイのアーティストコラボについて

BRANDNEW MUSIC × Wayfer Records』を振り返る

ー昨年の夏にリリースされた、コラボアルバム『BRANDNEW MUSIC × Wayfer Records』の話をちょっとしたいなと思ってまして。〈Wayfer Records〉から3組、〈BRANDNEW MUSIC〉からは5組が参加、うち数曲はMVに本人参加もあったり。実際にタイと韓国で撮影されたりと、かなり豪華なプロジェクトだなと思いました。〈Wayfer Records〉の3組はどういったアーティストなのでしょうか。若手ですか?

                

山麓:みんな若手ですね。2016年に〈WARNER MUSIC〉のサブレーベルとして設立され、彼らは音楽活動を始めてすぐにレーベルに引っ張られたって感じだと思います。「所属アーティストは自由に活動してもらう、また世界で勝負させる」というレーベルのポリシーが元々あったので、そこが〈BRANDNEW MUSIC〉とマッチしたということですよね。

ー〈BRANDNEW MUSIC〉は2011年に設立されたので、今年で9年目のレーベルですね。比較的R&B、ヒップホップのアーティストが多いです。アイドルグループも所属していたり、曲によってはアコースティックな曲やEDMもありますが。参加したアーティストは2005-2013年にデビューし、その後このレーベルに所属になったアーティストです。ちなみに以前の記事に載せられなかったKitti Bは、2015年女性ラッパーのバトル番組「UNPRETTY RAPSTAR」に出演して準優勝まで進んだ実力派ラッパー、Kang Min Heeは元々アイドルグループのメンバーだったのですが、今はソロで活躍しており、複数のドラマOSTに参加しています。

山麓:〈Wayfer Records〉もEDMあり、メタル・ハードコアあり、ラップ+メタルっていうのもいて。他にソウル、ヒップホップ、R&B、エレクトロニック・ポップなど。だからそもそも相性が良いですよね。

ーケミストリーですよね。また、歌詞もどちらかの言語に寄ることなくそのままタイ語と韓国語が交互にくる。

山麓:そうですね。お互いの言語がごっちゃになってる状態が逆に良いんだと思う。どっちの国の人も楽しめるし。やっぱりこの企画良かったなって思って僕も聴いています。これでワンショットのプログラムで終わっちゃうのはもったいないから、もっとこの、所属アーティスト同士のさらなるコラボでも良いし、もっと別のレーベルでも、タイの、もちろん韓国のレーベルのコラボだったり、日本とタイのコラボだったりっていうのもやっぱり見たいなと思います。

今後のコラボ企画に期待するアーティスト

ー私も今回のコラボによってとてもタイのミュージシャンに興味を持ったので、今後も様々なレーベルやミュージシャンにコラボしてもらいたいですね!今回参加したアーティスト以外にコラボしてほしいアーティストはいますか?

山麓:彼らと同じ〈Wayfer Records〉に所属するLUSSですね。二人ユニットなんですけど、しょっちゅうプライベートで韓国行っているくらいめちゃめちゃ韓国好きで。音楽的にもR&B・ヒップホップだし、K-POP相当研究しているはずだから、なんで彼らが選から漏れたんだろうと思いますね。LUSSはね、Izumiさんもきっと気に入ると思う。

LUSS - โต๊ะเดิม(TABLE FOR TWO) 【Official Music Video】 

                           

ーそうなんですね!アーティストにも韓国ファンがいるとは。なんだか親近感沸いてしまいます。楽曲も確かに韓国ヒップホップを研究している感じがします。とっても良いですね。私は〈BRANDNEW MUSIC〉で今後のコラボに期待したいミュージシャンだとYODAYOUNGですね。弾き語りのアコースティック曲もありますが、個人的にはこういったポップソングが彼女の歌声が光る感じがします。

요다영(YODAYOUNG) '먹구름 (Cloud)' M/V

                    

ーLUSSと相性良さそうなのが、slchld(ソウルチャイルド)かな。サウンドがLUSSのボーカルと相性良さそうです。

my stargirl - slchld

                  

山麓:レーベルのボスとは知り合いなので、新規の計画無いの?って聞いてみたいですね。また進展あればお知らせしたいですけど。

タイ音楽シーンの現在とこれから

コロナ禍のタイ音楽シーン

ーコロナ禍でタイの音楽シーンはどうですか?ライブやフェスなどは開催されているのでしょうか?

山麓:コロナで延期になっていたいくつかのフェスが、また新しい日程を出してきてて、10月には鉄道の駅の構内でオリジナルのTシャツ販売とライブをする"Cat T-shirt"、今月21-22日には僕がブログでも書いている、"Cat Expo"っていう大規模な野外音楽フェスが開催されるんですよ。

                   

ー"CatExpo"ってこれまで海外のアーティストをたくさん呼んでいましたよね?

山麓:うん、なので今年はタイ国内のアーティストだけですね。

ーラインナップはがらりと変わりますね。

山麓:タイの出演者はほぼ例年と変わりないから、これまであった外国人枠だけが、ポンと抜けちゃった感じですかね。Cat Expoはバリエーションが広くて楽しいんですよね。新人から大スターまで、本当にロックもあればヒップホップもあり、レゲエもあり、アイドルもありで。とにかくジャンルに拘らずで。

タイ音楽の未来、海外戦略を考察する

ータイ音楽の今後っていう、未来についての話なのですが。今アジアの音楽が世界から注目されていますが、山麓さんはタイ音楽の海外戦略をどう見ますか?ということをお聞きしたいです。

山麓:K-POPはもう確固たるマーケットを取ったじゃないですか。CD屋さんには必ずK-POPの棚があるっていう。そこに、タイポップスの棚も出来て欲しいっていうのが僕の究極の夢というか。

ー同感です!

山麓:ただ現状は得てしてワールドミュージックの中に入れられちゃう(笑)。良くて東アジアっていう棚があってそこに置かれてる。タイポップスのCDを常時在庫してくれるお店は少ないんですよね。K-POPの場合は国策として海外に打って出ましたが、やっぱり国家の威信をかけてお金も出して売り出さないと、ファンベースから確固たるマーケットは出来ない。

ーそうですね。限界がありますよね。

山麓:今、『2gether』というタイのBLドラマがTwitterのトレンドになったり注目を集めてますよね。原作者は元々タイのScrubbってバンドが好きで、その曲の歌詞を当てはめるような感じで物語を書いていったんです。その影響でドラマファンから彼らが知られるようになりました。『2gether』をきっかけにジェンダーの事も含めてタイの生活やカルチャーが知られるチャンスが来たんです。音楽は言葉の壁を越えて伝わるけど、本当にK-POP並みにポピュラーになるにはその国のカルチャーにも興味を持ってもらえないと難しい。

             

ー自国から発信していく力は、まだやっぱり体勢が整っていないのですか?

山麓:はい。僕のところにタイのあるレーベルのプロデューサーから連絡が来た事があって。「この子は才能あるから、日本で絶対売りたい。けど、何から手を付ければ良いのか分からない」って言われたんです。まだタイの業界は対外宣伝を探ってる段階でもあるし、パターンを探りたいんですっていう事を海外にアピール出来ていない状態なんですよ。

ー今回紹介いただいたサバーイポップスは英語の歌詞や聴き心地の良さなど、海外に浸透出来そうな要素が多いと感じますが。

山麓:タイって何か流行るとシーン全体が一斉にそっちに行っちゃうんですよ。サバーイポップスは続くと思うんだけど、何か流行るとそっちへ流れちゃうので今後どうなるか(笑)。サバーイポップのアーティストは原体験が洋楽だから英語で歌詞書いてるバンドも多くて、タイ語より英語で歌う方がかっこいいよねって思ってる若い人多いですね。あと声調の問題があります。必ず声調を上げて発音しなければならない言葉があるから、下がっていくメロディーにその言葉は乗せられないとか。だから作詞の面で制約があるんです。そのせいだと思うのですが、タイポップスの歌詞は一番・二番・また一番みたいな。制約がありすぎて、あんまり広げていけないんだと思います。

ー英詞にはそういった背景があるのですね。

山麓:今、民主化のデモがニュースになってますが、将来自分たちが自由に暮らせる国だろうか?という考え・意識が本当に高い。政治や制度に対する考え方が。だからもっと自由に、これが本当に自分たちのものだって言えるものを何か手に入れたい思いがあるんじゃないかなって思いますね。

ー素晴らしいですね。そういった若者が作り出す音楽をもっと海外の人にキャッチしてもらいたいです。また、もう一つ浸透出来そうと思った点が、「サバーイ」って言葉にあって。SpotifyやApple Musicなど、雰囲気や気分をテーマに選曲されたプレイリストって最近多いなと感じている中、この言葉がすごくしっくり来るというか。

山麓:そのSpotifyのプレイリストに名前を付けるなら、こういう縛りで選曲するなら、っていう選曲眼みたいな所ありますよね。「サバーイで2時間」プレイリストみたいな。一般的に、今までの感じに当てはまらないものが出てくると新しいジャンル作ってそこに押し込むみたいなのがメディアやリスナー側にはあると思いますが、今ではそれが拡張しすぎてどんどん収拾つかなくなっていますよね。だからこそ逆にプレイリストで「月曜の朝に」みたいなのって良いなって思うんです。良いと思った曲をなんでも突っ込めるから(笑)。普段聴かないような曲に出会うチャンスっていうのはそっちの方が多いと思うし、YouTubeとかSpotifyが広まったことで、国境の壁というのは溶けちゃったじゃないですか。だからこそ、そういうテーマ縛りで色んな国の音楽がごちゃ混ぜで聴けたら楽しいですよね。でもね、そこまでで止まってしまう可能性があって。いくらストリーミングで凄い回数曲が再生されても、音楽が広まるって事に付随してお金がもっと大きい額で動かないとK-POPみたいな成功の仕方は出来ない。例えば、良いと思っても実際に日本に呼ぶ費用は出ますか?って問題とか。

ー確かに。ストリーミングで広めることは出来ても実際問題収益を得るのは難しいですからね。

山麓:最初にアピールできるのは絶対映像だから、タイのドラマや映画がまず広まると良いですね。

最後に

ー今日は多角的に色々聞けて大変興味深かったです!私がタイ音楽シーンについて知らないことばかりなので、二、三歩ぐらい入っていけたかなと(笑)思ってます。

山麓:これをきっかけに、このコラボ面白いんじゃないかって思えたら、LUSSの2人に「韓国のこういうアーティストとコラボしてみたら?」みたいな提案だけなら伝えられそうです。

ー面白そうですね!単発企画でも良いですし、コラボ繋げられたら良いですよね。ちょっと私もノってきた(笑)。

山麓:今日、僕の方から紹介したtemp.とかloserpop、kopycatとかのアーティストも、やっぱり自分の国の国境を超えてタイ以外で自分たちの音楽が紹介されることについてものすごく喜んでいて、なのでBUZZYROOTSさんの記事すごく楽しみにしてると思います。そういう形で日本や韓国の音楽ファンに届ける、そのお手伝いぐらいは僕らが出来るかなと。

ーそうですね。私も本当に、何か少しでもきっかけになればと思っています。今日はありがとうございました!


特別協力:山麓園太郎(タイ音楽探検家)、chue(タイ音楽評論家)

 

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  • この記事を書いた人

Izumi

韓国ミュージックライター。他業界とパラレルワークで活動中。ドラマ、音楽をはじめ韓国エンタメ愛好歴は10年以上になるが、ライターとしてはまだ5年目。 韓国留学を機にインディシーンの虜に。 自由な表現でアイデンティティを発信している新進気鋭のアーティストを広めるべく、業界人やアーティスト等にインタビューし記事を掲載するほか、プロモーション記事企画や映像企画を実現。 近年ではアジアのミュージシャンに活動の範囲を広げ、多岐にわたり活動している。

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