先月26日に発表されたKorean Music Awards(韓国大衆音楽賞)。
「今年のアーティスト」候補者にBTS、Yerin Baek、Sunwoojunga、LEENALCHI、Jeongmillaが選ばれ、「今年のアルバム」「今年の歌」では左記候補者陣の他に、Zico「Any song」やJo Dongik『blue pillow』が挙がった。「今年の新人」候補者は、meaningful stone、DUOXINI、DeVita、Seo Bo Kyung、Squash Vinesが選ばれた。総合とジャンル別で重複してノミネートしたアーティストが多かった点が今年注目すべきポイントである。
今年の授賞式は2月28日(日)18時より、ソウルのハンガン大橋に位置するノドゥル島のライブハウスより"NAVER NOW."にて生中継される。
授賞式を目前に控えた今回は、前記事で紹介出来なかったジャンル別部門の候補者一覧、そして今年の候補者をBUZZYROOTS的総括&受賞希望の推し作品を紹介する。
ジャンル別部門候補作品
ロック部門 - アルバム
ABTB『daydream』
BADLAMB『Frightful Waves』
Squash Vines『NewWorld』
Organic Beer『TCR (Trans-Continental Railway)』
JuliaDream『Life and Death』
ロック部門 - 歌
ABTB「daydream」
BADLAMB「Frightful Waves」
H a lot「We are」
JuliaDream「El nuevo mundo」
cotoba「reyn」
モダンロック部門 - アルバム
Gong Joong Geu Neul『Love Song』
SE SO NEON『Nonadaptation』
Shin Hae Gyeong『In dreams,In dreams』
Jo Dongik『blue pillow』
HYUKOH『through love』
モダンロック部門 - 歌
Gong Joong Geu Neul「Season」
meaningful stone「Beep-Boop,Beep-Boop」
SE SO NEON「NAN CHUN」
Shin Hae Gyeong「Colors of You」
LEENALCHI「Tiger is Coming」
HYUKOH「New born」
メタル・ハードコア部門 - アルバム
Remnants of the Fallen『All The Wounded And Broken』
Loss of Infection『Dark dimension』
MESSGRAM『Cheers For The Failures』
Methkamel『20 Century』
COMBATIVE POST『Whiteout』
ポップス部門 - アルバム
The BLANK Shop『Tailor』
BTS『MAP OF THE SOUL : 7』
Yerin Baek『Every letter I sent you.』
BAEKHYUN『Delight - The 2nd Mini Album』
YUKIKA『SOUL LADY』
ポップス部門 - 歌
BTS「Dynamite」
Yerin Baek「Square(2017)」
IU「eight(prod.&feat.SUGA of BTS)」
OH MY GIRL「Dolphin」
YUKIKA「SOUL LADY」
ZICO「Any Song」
ダンス、エレクトロニック部門 - アルバム
lofibaby『Art Museum』
Mogwaa『Open Mind』
Swimrabbit『POND』
UZA&SHAME『Classy』
Two Tone Shape『Fantastic Machines』
ダンス、エレクトロニック部門 - 歌
Mogwaa「Reflex」
Aseul「Bye Bye Summer」
IDIOTAPE「Too Old to Die Young」
Jang Myungsun「Remiel」
Two Tone Shape「The Prophet」
ラップ、ヒップホップ部門 - アルバム
Nucksal『1Q87』
Deepflow『FOUNDER』
B-FREE『FREE THE BEAST』
BILLSTAX『DETOX』
Khundi Panda『GAROSAWK』
ラップ、ヒップホップ部門 - 歌
Nucksal「AKIRA (Feat. GAEKO)」
MUSHVENOM「Nice Head (Feat. Kim Eung soo a.k.a. MUSHGANNOM)」
BILLSTAX「Lonely Stoner (Feat. YUMDDA,Rakon)」
Swervy「Mama Lisa」
Khundi Panda「Nevercomanie」
R&B、ソウル部門 - アルバム
CADEJO『FREEBODY』
Seo Samuel『UNITY Ⅱ』
Sunwoojunga『Serenade』
A.TRAIN『PAINGREEN』
CHUDAHYE CHAGIS『Underneath the Dangsan Tree Tonight』
R&B、ソウル部門 - 歌
DAMYE「I'm not your son」
DeVita「EVITA!」
Sunwoojunga「Run With Me」
A.TRAIN「HURT」
CHUDAHYE CHAGIS「Ritual Dance」
フォーク部門 - アルバム
Kim Sawol『Heaven』
KIM JAE HYUNG『Flex』
Bae Yeong Gyeong『Travel Record』
Jeongmilla『CheongPa Sonata』
Jo Dong Hee『Sadness is the shadow of beauty』
フォーク部門 - 歌
Kim Sawol「Key」
KIM JAE HYUNG「Failure story」
Kim Chang Wan「Old man's bench」
Jeongmilla「The Square」
Jeongmilla「Departing from Seoul Station」
ジャズ、クロスオーバー部門 - ジャズ作品
Kim Sukyung『Lilac Hill』
MALO『Song Changsik Song Book』
Seo Bo Kyung『INNER MOVIE』
Suh Soojin『Colorist』
Jung Sumin『Sense of Agony』
Cho Yoonseung & Kim Sungwon『Stellive Vol.5 Blues in the Night』
ジャズ、クロスオーバー部門 - クロスオーバー作品
Gonia『A Tension』
Gray by Silver『Eternal Gray』
Bae Ga Young『Sepia Painting』
LEENALCHI『SUGUNGGA』
Ji Park,VRI String Quartet『Save The Planet』
ジャズ、クロスオーバー部門 - パフォーマンス賞
Koheean Trio『Live at Jazz First』
Suh Soojin『Colorist』
Lee Sunjae & Kim Eunyoung & Seok Dayeon『Pulse Theory』
JeHee『On The Wind (Ethnic Project_Europe) 』
Charlie Jung『Sein's Blues』
BUZZY的に今年の候補者を総括。
なんと言っても、総合・ジャンル別共に重複してノミネートしているアーティストが多い点に注目したい。特に今年のミュージシャン候補であるBTS・Yerin Baek・Sunwoojunga・LEENALCHI・Jeongmillaは昨年メディアを中心に名前が度々登場しており、2020年を代表するに相応しい納得のラインナップと言えるだろう。
この5組は各ジャンルの候補にもノミネートしているが、中でも気になるのはLEENALCHIだ。「Tiger is Coming」はモダンロック部門だが、アルバム自体はクロスオーバー部門に入っている。そして彼らと同じく国楽をベースにしているグループ・CHUDAHYE CHAGISはR&B、ソウル部門にノミネートされている。ジャズ部門にも国楽を用いた作品がある。昨年は特に"オルタナティブ国楽"と呼ばれるアーティストが複数登場し、時代やジャンルを越えた新たな音楽が誕生したことで、候補にも広がりが出てきていることが分かる。
ロックやハードロック、エレクトロニック部門においても様々なジャンルの要素を用いてより立体的で多彩な作品が選ばれており、ヒップホップやフォーク部門では内省的な歌詞が印象的な作品が目立つ。
また、新鋭アーティストに期待と評価が高まっていることも一覧から感じられる。「今年の新人」候補にはデビュー1年目のアーティストが入っているだけでなく、ジャンル部門のcotobaやmeaningfulstone、DAMYE、Khundi Panda、SwervyなどSNSを中心に同世代の人気を集めている若手アーティストたちが選ばれ、今回のノミネートを機に今後の活躍が楽しみである。
そして日本人シンガー・YUKIKAのノミネートは大きなトピックではないだろうか。まだまだ冷めないシティポップ熱の中、哀愁ある心地良い歌声、そしてK-POP界のトッププロデューサーたちによって制作された『SOUL LADY』はリスナー・評論家共に注目を集めたアルバムだ。音楽性が評価される《Korean Music Awards》に日本人がノミネートしたことは初であり、結果に期待したい。
受賞推薦!推しアーティスト・作品
CADEJO『FREEBODY』
ブラックミュージックの骨太さを感じる、楽器の生音で徹底的にグルーヴを突き詰めた演奏。メンバーそれぞれがジャズ・ソウル・サンバ・ファンクなどジャンルんお異なる複数のバンドで技術を磨いてきた経験をもち、その上で光るジャムセッションの圧倒的技術に魅了される。どっしりとしたリズム隊の上で自由に踊るギター・Taehun Leeのメロディーとボーカルが華を飾る。
既に台湾の国際的なインディーズアーティストのアワード《Golden Indie Music Awards》でノミネートされたアルバムであり、韓国国内ではどのような評価になるのだろうか。
cotoba「reyn」
マス・ロックバンドのcotobaは、国内外で注目を集め、“グラストンベリー・フェスティバル 2020”に招待されているなど既に耳の早いヨーロッパのリスナーからもラブコールを受けている。tricotやtoe、American FootballやPink Floydなど海外の様々なロックに影響を受けながら自身の音楽性を磨き続けている。英語や日本語が堪能で、先日沖縄で開催された"Music Lane Festival"をはじめ、日本での公演も行っている。
この曲が収録されているアルバム『Name of The Seasons』は一日の時間の流れや天気、季節をテーマに制作された。「reyn」と「summer Daytime」の日本語バージョンが収録されているが、「reyn」はアルバムのテーマ意識が色濃く表れている。激しく変化していくテンポが時間の移ろいを感じさせる中、繰り返し登場する"意味のない世界"という歌詞の無機質さが個人的でありながらも普遍的な現代人の感情を描き出している。
DAMYE「I'm not your son」
アメリカ・バークリー音楽大学への入学後に本格的にアーティスト活動を開始し、OuiOuiなどR&B、ヒップホップアーティストが所属するレーベル《INPLANET MUSIC》で活動するシンガーソングライター。2018年に『Talented』でデビューし、自身の経験をそのまま赤裸々に表現したユニークな歌詞、ベッドルームポップを思わせるトレンディーなサウンドで人気を集めている。この曲はアルバム『The Sandwich Artist』にも収録された楽曲で、実際にサンドウィッチ店でアルバイトをしていたDAMYEが日々の仕事の中で感じていた客へのストレスがリアルに描かれており、アルバイトをしたことのあるほとんどの人は共感したくなる内容だろう。このような楽曲が今回候補に挙げられたのは少し意外だった。
いよいよ受賞者発表!今年の受賞者のラインナップは如何に。 なお、当日の授賞式では祝賀公演も行われることが発表されている。《Korean Music Awards 2020》のフォーク部門でアルバム・曲共に受賞したChun Yongsung、ジャズ&クロスオーバー部門でパフォーマンス賞を受賞したJB Liberation Amalgamation、そして総合部門にて新人賞を受賞したSogummが出演する。ぜひこちらもチェックしてほしい。
画像引用元:Korean Music Awards