Korean Indie Music and Culture

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Soul delivery 来日直前インタビュー《前編》—— 韓国から “ソウル” を届け、自然体でシーンをつなぐ要注目バンドの結成から現在まで|INTERVIEW #64

韓国ソウルを拠点に活動する4人組バンド・Soul delivery(ソウルデリバリー)。そのバンド名には、音楽ジャンルとしての「ソウル(Soul)」をリスナーに届けたいという明確な意思が込められている。2022年のデビュー直後から、1stフルアルバム『FOODCOURT』、続く2nd『Peninsula Park』に収録された「Whiskey」と2年連続で韓国大衆音楽賞にノミネート。『Jarasum Jazz Festival』や『Asian Pop Festival』など韓国の主要フェスにも出演し、その存在感を着実に増している。

彼らの音楽は即興性を軸に展開される。事前に整えられた正解をなぞるのではなく、今その場で何が生まれるのかを大事にする。あらかじめ意味づけされたものが求められがちなこの時代に、偶然を偶然のまま楽しむ彼らの姿勢はむしろ新鮮で、本能的に音楽と向き合う自由を思い出させてくれる。

さらに、バンドの枠を超え、レーベル運営やフェス、コミュニティ活動なども自ら率先して手がけ、あらゆるものを繋ぐハブとして、シーンに新たな広がりをもたらしている点も見逃せない。

そんな要注目バンド、Soul deliveryが10月にジャパンツアーを開催する。本記事では、来日公演を目前に控えた彼らのメールインタビューの《前編》をお届け。予測できない瞬間を楽しむ彼らだが、語られる言葉の端々には必然的にたどり着いた思考やビジョンがにじむ。そのあいだにあるものを、少し覗いてみよう。

Interview & Text:AKARI(BUZZY ROOTS)
協力:Lumie Tada

音楽を通して “ソウル” を届けたい

—— こんにちは! まずは日本の読者のみなさんに向けて、バンドの自己紹介をお願いします。

Jeong Yonghoon(Ba):こんにちは。私たちはソウルミュージックという共通の関心を持つ4人のメンバー、SHINDRUM、HAEUN、Jeong Yonghoon、Joon’s Second Lifeで結成したバンドです。ジャムセッションを通して即興的で自由な方法で音楽を作り、3枚のフルアルバムと1枚のリミックスアルバム、そして最近は踊れる楽しいグルーヴのシングル曲をリリースしています。

「Soul Delivery」という名前はソウルミュージックへの関心から生まれたものであり、同時に私たち自身のソウル(魂)も意味しています。そして、パンデミックの時期に韓国でデリバリー文化が重要な生活様式として定着したように、音楽を通して私たちのソウルを人々に届けたい、そんな想いを込めています。

—— 早速ですが、みなさんの幼少期〜学生時代の音楽に関する原体験についてお伺いしたいです。最初に音楽や楽器に触れたきっかけは何でしたか? 

SHINDRUM(Dr):幼い頃、僕は他の多くの同年代の子たちと同じように、勉強にほとんどの時間を費やしていました。試験期間中は塾で徹夜することもありましたが、次第に興味を失い、成績も下がり始めてしまって。そんな時、母が教会の青年礼拝でドラマーのポジションが空いたことを教えてくれて、もうすぐ行われるオーディションに向けて準備しないかと提案してくれました。それがきっかけでドラム教室に通い始めたんです。偶然にもその教室はヘビーメタルドラマーである先生が運営しており、僕も自然とメタル音楽にのめり込んでいきました。

転機は思いがけない瞬間に訪れました。アメリカに住んでいた韓国系アメリカ人ギタリストの兄さんが韓国に一時帰国した時に、ジョン・メイヤーの音楽を聴かせてくれたんです。僕たちは彼の曲で一緒にジャムセッションをして遊びました。その即興的な感覚とグルーヴにすっかり魅了され、その流れで自然とスティーヴ・ジョーダンというドラマーを知りました。音楽を最大限に生かすグルーヴ、彼のプレイは僕の音楽の基盤となっています。

Jeong Yonghoon:将来についてたくさん悩んでいた16歳くらいの時に、友人の一人がギターとベースを習っていて、僕に「面白いよ」と勧めてくれたんです。そこから「音楽を仕事にしてみるのはどうだろう?」と考えるようになりました。ごく幼い頃にクラシックピアノを習っていて、その時はとても好きだったのですが、中学校に上がるころには徐々に興味を失い、やめてしまいました。その後、クラシックではない音楽に惹かれてドラムを習おうかと考えたのですが、ドラムは家で練習するのが難しい楽器なので、みんながあまりやらないであろうベースをやってみようと思い、今に至ります。幼い頃から家にレコードがあったこと、そして僕が小学校低学年の頃に両親がカラオケ店を経営していたことも影響したのではないかと思います。

HAEUN(Key):韓国の子どもたちは誰もがピアノ教室に通います。私もその一人で、その頃からピアニストになるという夢を抱き、ここまで来ました。クラシックを専攻しようと熱心に学んでいたのですが、自分より才能のある友人たちを見て挫折感を味わうようになり、次第にさまざまな楽器(例えばシンセサイザーなど)の使い方や、より広い音楽の世界を経験するようになりました。ジャズを学ぶ中で、ゴスペル、インディバンド、ソウルミュージックなど、自分が本当に惹かれる音楽が何なのかを深く探求する時間を持つことができたんです。そのおかげで、今でも音楽から多くのことを学び続けています。

Joon’s Second Life(Gt): 母が私を妊娠していた時、胎教でクラシック音楽を聴かせてくれたそうです。自然と赤ちゃんの頃からクラシックを聴いて育ち、幼稚園に入る頃にクラシックピアノのレッスンを始めました。それ以来ずっと音楽の中で過ごしてきました。当時はレッスンが嫌で逃げ回ったりしていたんですが、今思えばすごく後悔しています、ハハ。中学生のときに父が仕事で中国に赴任になって、家族で3年間中国に住んだんですが、その時にピアノではなくギターを習ってみたくて、両親にお願いして家の近くのクラシックギター教室に通うようになりました。1年ちょっと経った頃、通っていた学校がアメリカのインターナショナルスクールで、そこでスクールバンドがあって応募して入りました。それをきっかけにクラシックギターからエレキギターに転向し、それ以来ずっとギターを弾き続けています。

—— 音楽やアティチュード面で影響を受けた人物、アーティストについて教えていただけますか?

SHINDRUM:僕にとって、クエストラヴは今もなお学びの源泉です。彼のおかげで、ソウルクエリアンズのコラボレーションの可能性やジャムセッションをベースにした実験精神が、僕の思考を一変させました。インターネットが広く普及し始めた初期に、彼がザ・ルーツのプロモーションのために立ち上げたウェブサイト「Okayplayer」は、すぐにヒップホップ初期のオンラインコミュニティ/フォーラムのハブへと成長しました。さらに進んで、『Roots Picnic』という音楽フェスを通じて、ヒップホップやネオソウル、ブラックミュージックシーンのローカルかつグローバルなハブとしての役割を担い続けています。そして、フードと音楽を融合させたプロジェクトが、どのようにしてコミュニティへと発展していくのか、その過程を目の当たりにすることができました。そのほかにも、カリーム・リギンスの作品を通して、ドラミングとサウンドデザインの創造性がどれほど広く拡張できるのかを知りました。

そのため、ここ数年はSAULTの動向に大きな関心を持っています。彼らは「形式そのものがメッセージである」という姿勢で、それが総合芸術として大きなインスピレーションを与えてくれるんです。

また、その間に僕はスタジオ「RSS HOUSE」を建てることになり、建築家ル・コルビュジエについて知りました。特にピュリスム(不必要なものをそぎ落とし、純粋な形態と秩序を明らかにする姿勢)は、今の僕に非常に必要なものだと感じています。

Jeong Yonghoon:本当にたくさんいるのですが、人生における大きな転機を挙げるとすれば、まずディアンジェロとソウルクエリアンズですね。19歳の時に初めてディアンジェロの「Untitled (How Does It Feel)」を聴いてブラックミュージックに深くのめり込み、それをきっかけにさらに幅広く音楽を知るようになりました。ネオソウルやヒップホップをもっと聴き込み、ソウルミュージックにも興味を持つようになり、R&Bやブルース、アフリカ音楽など、彼らが影響を受けた音楽や文化を知ったことが、今の僕の価値観に大きな影響を与えました。Soul deliveryも彼らの音楽の作り方から深くインスピレーションを受け、ジャムセッションで音楽を作るようになったと思います。

Soul deliveryを結成した頃にはジャイルス・ピーターソンを知り、子どもの頃に聴き込んでいたアシッドジャズと現在のUKジャズシーンについて詳しく知ることになり、音楽のスペクトラムがさらに一段と広がるきっかけになりました。彼が2024年に韓国のクラブ・MODECiに来た際、実際にお会いして大きな感動を覚えました。

HAEUN:夢を与えてくれたアーティストは数えきれないほどいますが、最近は “レガシー” について考えることが多くなりました。自らのレガシーを地道に積み上げ、伝説となったアーティストの活動を調べたり聴いたりしています。Rhodes、Wurlitzer、JUNO-106といったアナログキーボードを扱うようになり、以前は理解できなかったサウンドがわかるようになったことで、ハービー・ハンコックのアルバムや彼の挑戦的なサウンドから大きなインスピレーションを受けています。YMO時代の坂本龍一さんも大好きです。坂本さんも当時、ハービー・ハンコックから多くの影響を受けたと聞いています。私もキーボーディストとしてのレガシーをどう受け継ぎ、先輩方から受けた影響を独自の色でどう表現していくか、常に模索しています。最近はピート・ジョリーやファラオ・サンダースのようなスピリチュアルジャズのアーティストにも興味があります。

それから、女性アーティストとして生き残っていくことについても、悩みが多いのも事実です。だからこそ女性ミュージシャンが大好きで、中でも私がロールモデルとして目指しているアーティストがソランジュです。彼女のアルバム『A Seat at the Table』を聴いたときの衝撃は、今でも鮮明に覚えています。ミニマルなサウンドを追求しつつも、最も自分自身に正直な意味を込めたこのアルバムは、これからもずっと私の中で1番であり続けると思います。ソランジュの持つ美的センスやコミュニティも、私が最も手本にしたい部分です。音楽を武器に、さまざまなアートと結びつけた作品を生み出すのが、私の長年の夢でもあります。近い将来、私自身のプロジェクトを通して、ソランジュが歩むような先駆者としての役割を担うことができたらと思っています。

Joon’s Second Life:影響を受けたアーティストは本当にたくさんいますが、その中のひとつを挙げるなら、SAULTだと思います。デビューアルバムが出た頃から最近の『All Points East』でのライブまでずっと追いかけているんですが、既存の音楽マーケットの公式を壊そうとする姿勢がとても印象的です。もちろんその過程で雑音もありますが、今このシーンで最も目立つ動きをしているチームのひとつではないかと思います。僕自身もSoul deliveryで、音楽業界の既存の秩序を壊してこれまでやりにくかったことに挑戦したい気持ちが強いので、SAULTの歩みを見るととても勇気をもらえます。

「Soul delivery Recipes」影響源をたどることのできる、Soul delivery自作プレイリスト。

インスト編成だからこそ表現できる、即興的で自由な音楽

—— バンド結成の経緯をお聞かせください。本格デビューはコロナ禍の2022年1月だったと思いますが、活動をスタートするにあたり、その時期の行動制限や社会状況による影響はありましたか?

Joon’s Second Life:当時僕はロンドンに住んでいたんですが、一時的に韓国に戻っていたところ、コロナの影響でロンドン行きの飛行機がキャンセルになったんです。せっかくなので韓国で仲間とコンテンツを撮ったり、ジャムをしたりしたくて人を集めたんですが、みんな仕事に疲れていて「自分の音楽をやりたい!」という気持ちが強かったんです。コロナで予定もほとんどなかったので、自然に地下スタジオでジャムをしながら曲を作るようになり、気づけばフルアルバムを出せるくらいの規模になっていました。その後、僕が再びロンドンに戻らなければならず、メンバーは韓国に住んでいたため、いずれにせよ1stアルバムのライブ活動はできない状況でした。むしろ、コロナのおかげで集まって作業する時間ができ、集中してアルバムを作ることができたと思います。

—— ボーカルを置かない編成を選んだ理由について教えてください。ソウルは歌の存在感が大きいジャンルでもあると思いますが、インストでやることで生まれる独自の表現や自由度についてどうお考えでしょうか?

Jeong Yonghoon:結成当時は活動について深く考えていなかったのですが、ジャムをする中で良いアイデアがたくさん生まれたので、この記録を絶対リリースしようという全員の考えが一致してアルバムをリリースすることになりました。コレクティブ的なコンピレーション、あるいはプロジェクトアルバムと考え、このプロジェクトが他のメンバーに変わることもあり得るのではないかという考えもありました。当時はJoon’s Second Lifeがイギリスで生活していた時期でした。

ジャムをする際にボーカルがいたら、また違っていたでしょうか?それは分かりません(笑)。インストゥルメンタルバンドとして、自由で即興的な僕たち独自の表現が良いと思っています。たまにボーカルが必要な時は、その歌手と一緒に、その歌手の曲をSoul deliveryのスタイルにして、一緒にステージを飾ることもあります。最近では、SOLE x Soul Delivery、THAMA x Soul Deliveryのようなフォーマットで、時々一緒にステージに立っています。

—— SOLE、THAMAの名前が出てきましたが、みなさんがそれぞれバンド外のアーティストと組んでされている活動についても、詳しく教えていただけますか?

SHINDRUM:僕は20代前半からセッション活動を始め、2AM、AKMU、DEAN、Sam Kim、Georgeなど、さまざまなアーティストとともに活動してきました。現在はTHAMA、SOLE、JANNABIのセッション活動に注力しています。特にJANNABIとは2017年に出会って以来、現在までアルバム制作やツアーを共にしています。彼らがバンドを独自に運営していく過程を間近で見ながら、マネジメント、アティチュード、ツアーの準備方法など、多くのことを学んでいます。

同時に「SHINDRUM」という名前でソロ活動も続けており、今年は「ME-41 Units」という未来的で機械的なサウンドのプロジェクトで音源をリリースしました。

さらに、HAEUNと一緒に「RAW SOUND SYSTEM」という名義でハウスミュージックをベースとしたプロジェクトも進行中です。また、日本人DJのSAGARAXXさんとは、90年代のヒップホップやストリートカルチャーを今日のサウンドとして再解釈し、ダンサーと共にステージに立つ活動も行っています。

Jeong Yonghoon:主にSOLEのライブセッションを担当し、THAMA、Georgeなどとも共演しています。K-POPのレコーディングセッションに参加することもあります。僕自身ブラックミュージックが好きなので、セッションするアーティストもヒップホップ、R&Bの歌手が多いですね。また、初となるソロプロジェクトも進めています。「Flask」という名義で継続的に音楽をリリースしていく予定なので、こちらもぜひチェックしていただけると嬉しいです。

HAEUN:THAMAとSOLEは、Soul deliveryのメンバー全員にとって第5のメンバーのような存在です。お互いに助け合い、影響を与え合っていることは皆さんご存知の通りだと思います。本当に大切な友人です。

私はSHINDRUMと一緒にJANNABIのセッションミュージシャンとしても活動しています。私にとってロックやポップというジャンルは身近でありながらも馴染みが薄く、大きなステージでのサウンドメイキングにも慣れていませんでした。JANNABIとは約3年間、息を合わせてきました。その間、大小さまざまなステージでの対応方法や、単なるセッションプレイヤーとして自分の色を消すのではなく、自分の色をうまくブレンドしつつ、クライアントに満足してもらえるラインがどこなのか。ステージの演出や照明についても直接体験することで、「ああ、自分はキーボーディストとしてプロになっていく過程にいるんだな」と実感することが多かったです。単なるセッションプレイヤーとしての役割を超えて、HAEUNのアーティストとしての色を「素敵だ」と言ってくれるJANNABIのメンバーたちには、この場を借りて感謝を伝えたいです!

Joon’s Second Life: 僕はプロデューサー、レコーディング、ミキシングエンジニアとして、JANNABIを含むいろいろなアーティストと仕事をしていますし、THAMA、SOLEなど韓国の素敵なアーティストたちのコンサートでセッションやプロデュースもしています。ほかのアーティストとコラボレーションできることは本当に学ぶことが多く、幸せなことだと思います。そして、個人のプロジェクトも準備していて、Soul deliveryとはまた違った質感の音楽を作っています。以前、Joon’s Second Life名義でリリースした音楽の延長線上にあるアルバムを作っているところです。

—— 活動初期から作品が韓国大衆音楽賞でノミネートされ、韓国国内外でのライブ経験も豊富なみなさんですが、バンドの存在を広く知られるブレイクスルーのような瞬間はありましたか?

Jeong Yonghoon:韓国大衆音楽賞のノミネートが大きな影響の一つだったと思います。音楽活動通して出会った方々や、ライブ会場で僕らの音楽を聴いてくれた観客の方々に聞くと、「韓国大衆音楽賞にノミネートされた音楽を聴いて知った」という方が多かったです。特に音楽関係者の方が韓国大衆音楽賞を通じて僕たちを知り、レコードを制作したいとご連絡をくださったり、公演の機会をいただけたりすることもありました。

Joon’s Second Life : 韓国内ではやっぱり韓国大衆音楽賞のノミネートが大きかったと思います。そのおかげでいろんな方から連絡をいただいたり、ライブの機会を得たりして、Soul deliveryというブランドを広げる基盤になったと感じています。日本での公演を含めて海外でも演奏する機会があって、インストゥルメンタルは海外の方が市場が大きいと感じるので、いろいろ挑戦しています。海外シーンとの交流はとても大事だと思うので、これからも積極的に動きたいです。ぜひたくさんの友達に紹介してくださいね!よろしくお願いします:)

音楽・空間・人が互いに有機的に結びついてこそシーンが持続可能

—— 過去のインタビューを拝見した際、ブランディング、営業、予算管理など、個々人がご自身の役割を明確に意識されていて、まるで一つの会社を経営しているかのように、合理的にチーム運営されているのが印象的でした。そうした感覚は意識的なものですか? 改めて、皆さんのチーム内での役割分担についてもお伺いしたいです。

SHINDRUM:意識的にコレクティブ的な方法で動いています。これまでもアイデアが浮かべばすぐに実行に移し、自分たちでできることをとにかくやってきました。 その中で、僕はSoul deliveryの夢を現実にする役割を担っています。 具体的には、全体の予算管理や運営、マネジメント、ブランドやアーティストとの協業提案および実行、コンテンツ制作、Soul deliveryを中心としたコミュニティプログラムやパーティーの企画・運営、レコーディングエンジニア、楽器・機材の管理など、多岐にわたる業務を行っています。

Jeong Yonghoon:バンド結成当時、音楽が生まれる過程で、各々ができる部分に対して自然とアイデアを出すようになりました。僕の場合は、バンド名のアイデアをまとめたり、曲の紹介文を率先して書いたりしました。その後も活動を続ける中で、インディペンデント・アーティストとしてやるべきことは本当に多いのですが、それらを自分自身でやらなければならない状況なので、実際に直面してみると思いがけず自分が担うことになる仕事も出てくるんですよね。最近はそうした仕事をうまくこなしたいと思いながらも、失敗することも多く、うまくいかず苦しい時期もありました。それでも集中してやり遂げなければ、という気持ちで一生懸命取り組んでいます。

メール対応も担当し、セットリストのアイデアも主に僕が最初に提案しています。最近は海外進出に関する支援事業にも関心を持っていて、そうした部分にも気を配っています。メンバーそれぞれが多くの役割を担ってくれているので、僕自身も学ぶことがたくさんあります。

HAEUN:インディアーティストとして生き残るのは大変だという話はよく耳にしていましたが、それを身をもって経験したのは、Soul deliveryのバンド活動を本格的に始めてからです。やはり、インディアーティストは自分でやらなければならないことが多いのが事実です。しかし、メンバー4人それぞれが楽しみながら、これまで各自の役割に忠実にチームを引っ張ってきました。

私がバンド内で一番やりたかったのは、アルバムのアートワークを制作です。自分自身でデザインすることに興味があり、プログラムをうまく使いこなせるよう努力していたこともあって、これまで私らしいやり方でアートワークを手がけてきました。K-POPアイドルがどのように世界観を構築しているか、どんなマーチャンダイズを販売しているかなど、メジャーな業界から学べる点を間接的に参考にしながら、SNSの管理、映像やコンテンツの制作、グッズの制作・販売、関係各所とのビジネス交渉など、さまざまな業務をこなしています。インディアーティストとしての誇りを持ってSoul deliveryを率いています。

Joon’s Second Life: メンバーそれぞれがやりたいことも得意なことも多かったので、自然と自分の役割を見つけて、まるで別々の部署みたいに運営していたと思います。もちろん予算の制約もあって、自分でやらざるを得ない部分も多かったですね。お互いに助け合いながら、役割が重なることもあれば分かれることもあって、誰かが一つのことだけを担当していたわけではありません。私は主に「聴こえる部分」を担当しています。録音やミックス、サウンドディレクションなどですね。それに英語が得意なので、海外ビジネスや通訳も私の役割です。

—— レーベル「RSS RECORDS」、音楽フェス『RSS MUSIC FESTIVAL』、スタジオ「RSS HOUSE」の運営、ポッドキャスト番組『NOGARI』など、音楽制作以外の周辺活動も活発に行われていますよね。多岐にわたる活動の意図やそれぞれに共通する思いについてお伺いしたいです。

SHINDRUM:実は、「RSS RECORDS(Rhythm. Hope/Love)」は僕個人の活動から自然な流れで始まりました。2016年、軍服務中に「SHINDRUM X KIMGUITAR」というデュオで最初のEPをリリースしたとき、仲間たちのおかげで、音楽以外にも帽子、カバン、水筒、プロフィール写真に至るまでセルフブランディングを経験できたんです。その後、僕の1stフルアルバム『Who I Am』を制作しながら、HAEUNと一緒にCD、レコード、Tシャツ、水筒、フーディー、ステッカーなどのグッズを自分たちで制作しました。その時、「なぜかっこいい音楽ノートはないんだろう?」という疑問が生まれ、A5サイズの音楽ノートを発売したのがこのブランドの始まりです。

僕だけでなく、僕のようなアーティストたちが芸術活動に集中できる環境をつくることが、今の僕たちに必要だと思いました。活動を続けるうちに、韓国ではアーティストが立てるステージが絶対的に不足していることを実感し、それなら自分たちで場をつくろうと『RSS MUSIC FESTIVAL』を始めたんです。音楽だけでなくさまざまなブランドやシーンを繋ぎながら、持続可能な活動のあり方を模索しています。

RSS HOUSE」は単なるレコーディングスタジオを超えた、公演・カフェ・コミュニティが融合した複合文化空間です。毎月「RSS Jam Session」、「RSS Pharmacy」(ヨガ+音楽、トークプログラム)、「NUGS GOG.o」(アーティストと関係者のコミュニティプログラム)といったプログラムが開かれています。地下のレコーディングスタジオは、従来の韓国の商業スタジオ特有の堅苦しさから来る不自然さをなくし、アーティストたちが最大限クリエイティビティを発揮できるような良いバイブスを作り出すことを目指しました。また、さまざまなヴィンテージ機材(シンセサイザー、アンプ、ドラムなど)も取り揃えています。

また、独立ミュージシャンを扱うメディアが不足しているという問題意識から、エディターのgedaと一緒に「NUGS」マガジンを作り、その後、KBSとSpotify Koreaと協業してポッドキャスト『NOGARI』を始めました。これは、インタビュー、トーク、ライブを通じてアーティストとシーンの話を記録し、外部へと繋げるチャンネルです。

このように、レーベル(ブランド)、空間、フェスティバル、メディアへと続く活動は、最終的にすべてがひとつに繋がっています。音楽・空間・人が互いに有機的に結びついてこそシーンが持続可能である。この信念が、僕たちのすべての活動を導いているんです。

—— みなさんのそのスタンスは、単なる音楽制作を超えてシーン全体に働きかけているように見えます。その根底には、何か使命感やビジョンのようなものがあるのでしょうか? 個人的には、いつも皆さんの活動を追いかけることで韓国の音楽シーンや魅力的なアーティストを知ることができ、大変参考にさせていただいています。

HAEUN : そう言っていただけるなんて、本当にありがとうございます。私個人としては、SHINDRUMとRSSというレーベルを作って運営する中で、使命感がますます強くなっているのは事実です。現実的に、韓国ではインディアーティストが声を出せないことも多く、特に演奏者は正当な待遇を受けられずに働くことも少なくありません。私とイサク(SHINDRUM)はインディアーティストでありながら、セッションミュージシャンとしても一緒に多くの経験を積んできました。まず、このシーンで生き残るためには、まだ存在しない新しいシーンを作り、コレクティブ・ムーブを通してよいチームをつくり、プロジェクトをしっかり終える、あるいはさらに発展させていくことが必要だと考えています。そして、周囲の友人ミュージシャンたちとさまざまな活動を生み出し、ノイズを立てることが、もともと固く存在していた観念に小さなひびを入れるのだと思います。それが私たちのビジョンです。私たちが前に出て堂々と語るためには、まず自分たちが素晴らしい作品を作るアーティストになり、周りから認められる必要があるんだと思い、日々、受け取るインスピレーションを心に留めながら生きています。ありがたいことに、韓国のミュージシャン、評論家、関係者たちが私たちの歩みを見守ってくれているのを感じられるほど、あたたかい関心をいただいています。今はいっそう謙虚にならないといけない時期ですね。

《後編》に続く

Soul delivery Japan Tour 2025

■ 2025/10/8(水)
📍青山・月見ル君想フ
・Soul delivery
・HALLEY
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■ 2025/10/11(土)
📍BLUE NOTE PLACE
・Soul delivery
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■ 2025/10/12(日)
森波2025
📍伝統芸能伝承館 森舞台
・韻シスト BAND
・Jesus’ Son
・ComplianS
・RABIRABI
・Soul Delivery
・TOKIO AOYAMA
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AKARI

AKARI

エディター|ライター

1994年生まれの自称、韓国音楽PR大使。インディペンデントな韓国のミュージシャンや業界人を中心にインタビューやコラムを執筆。「韓国の音楽をジャンルレスに届ける」をモットーに、韓国インディ音楽に特化したWEBマガジン「BUZZY ROOTS」の運営や、音楽・カルチャーメディアへの寄稿、広報、DJイベントへの出演、アーティストのアテンドなど、できることなら何でも形を問わず行なっています。プライベートでは、韓国人の夫と結婚し、二人の子どもを出産。子育てをしながら東京とソウルを行き来しています。

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