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【oceanfromtheblue】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #28

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【oceanfromtheblue】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #28

新進気鋭の韓国ミュージックを国内に紹介するレーベル〈Bside〉。韓国音楽シーンを盛り上げているアーティストの既発曲からセレクトし、バイナルカットするプロジェクト「Bside K-Indies Series」の第7弾が7月20日(水)にリリースされた。今回は「夏に聴きたい爽やかなR&B特集」として、Samuel Seo、O3ohn、oceanfromtheblueの3アーティストをピックアップ。

BUZZY ROOTSでは、リリースを記念し、3アーティストのインタビュー記事を公開していく。


柔らかく繊細なボーカル、直感的な歌詞、独特なテクスチャーと調和する旋律で人間の内面奥深くにあるものを震わせる海のような、深く落ち着いた音楽を聴かせてくれる韓国のR&Bシンガーソングライター、oceanfromtheblue。誰もが経験したことのあるストーリーを美しい旋律と心のこもった歌詞で届ける彼のスタイルは、国内外問わずリスナーから幅広い共感を集める。

自作曲をSoundCloudにアップして人気を集め始め、2018年にEP『Luv-fi(2018)』でデビュー。その後も、『khai』、『episode ii』、『take off』等、数々の作品をリリースし、R&Bという枠組みの中で多様なジャンルに取り組み続けている。

そんな彼にメールインタビューを刊行。音楽活動の原点やバンド活動、彼自身の音楽が世に広まった経緯、そして、今回の7インチ収録曲「girl(feat.BLOO)」「ice cream」の制作意図について訊いた。R&Bアーティストということで一見ソロ活動のイメージが強い彼だが、学生時代はバンド活動を経験しており、現在もなおバンド活動へ寄せる思いが強いようだ。ぜひ、周囲の人との関わりを大事にする温かみある彼の為人を感じながら、読み進めてみてほしい。


海のような人の心を表現したい。

ーまずは、日本の読者のみなさんに挨拶をお願いします。

アンニョンハセヨ、日本のファンのみなさん!
R&Bアーティストのoceanfromtheblueです。よろしくお願いします:)

ー「oceanfromtheblue」というアーティスト名の由来について教えてください。

季節ごとに海の雰囲気が変わるように、夏には爽やかさを、冬には冷たさを与えるさまを僕自身の音楽に込めたいと思いました。また、その中でも、海のように深く入るほど分からなくなる人の心を表現したいと思い、”ocean”と “blue”という二つのキーワードを繋げてみたところ、今の名前になりました。 

ー音楽の世界に足を踏み入れた理由、経緯を詳しく教えてください。

13歳ごろが分岐点だったように思います。それまでは静かに本を読んでばかりいたのですが、友人に誘われて特技発表会(チャンギチャラン※)の時間に人前で歌を歌ったんです。そこから、周りの人の視線や関心を集めるようなことがしたいと思うようになりました。自然な流れで中学、高校の間はずっと、ボーカルとしてコピーバンドをして、除隊後の23歳から曲を作ってSoundCloudにアップし、今に至ります。

※ チャンギチャラン(장기자랑):多くの人が集まり、誰がより才能があるのかを競いながら楽しむ特技発表の場。歌ったり踊りを見せたりすることが多い。

ーoceanfromtheblueさんの音楽に影響を与えたロールモデルとなるようなミュージシャンはいますか。

中学、高校生の時は、韓国の歌手、フィソンのファンでした。当時は彼の音楽がブラックミュージックから来たのか分からず、彼のスタイルが非常に気に入った、ただそれだけだったのですが、ある時からブラックミュージックにハマり、「ああ、フィソンがブラックミュージックを韓国風に上手くアレンジし、国内に持ってきたんだ」と思うようになりました。そこから、僕も彼と同じようにブラックミュージックをベースにした楽曲作りに励んでいます。

휘성 - With me

海外のアーティストでは、アメリカのラッパー、クリス・ブラウンの音楽を10年前からフォローしています。僕には、Hip Hop、R&B、R&B風の曲がカッコよく感じられるんです。

Chris Brown - Wall To Wall

ー oceanfromtheblueさんはSNSのコメントなどを見ると海外のファンが非常に多い印象を受けます。ご自身の音楽が広く知られることになった経緯について、どうお考えですか。

WLK” と “danielions music” というYouTubeチャンネルがあります。SoundCloud出身の歌手は、このチャンネルへの感謝の気持ちを忘れてはいけないと思います。当時、多くのSoundCloud上のミュージシャンの音楽がこのチャンネルにアップされたおかげで、非常に大きな宣伝効果があったんです。チャンネルに取り上げられた後の活動は各アーティストにかかっていますが、海外のファンにアピールできたのは、そのYouTubeチャンネルの存在が大きかったと思います。

ー韓国のアーティストはinstagramでの投稿が多い印象ですが、oceanfromtheblueさんはTwitterでのテキスト投稿が頻繁で、ファンとのコミュニケーションをすごく大事にされている印象を持ちました。何か、ファンとの交流について意識されていることはありますか。

実は、あまりこだわりすぎないようにしています。僕自身のやるべきことができなくなってしまうので。以前は、ハマりすぎて自分がすべきことをできずにSNSをすることもあったのですが、今では時間がある時や休憩中にちょっとずつメッセージを返したり、Twitterを見たりしています。僕を好きでいてくださっている人たちと話すだけで、とても幸せな気分になります。

ーこれまで、様々なアーティストとコラボされていると思いますが、直近は誰と交流を深めていますか。

最近は、バンドセッションを共にするプレイヤーたちと親しくしています。セッションでライブをするうちに一緒に演奏する時間が増えたんです。以前、僕がバンド活動をしていた時のことを思い出したりして、なんだか感無量です。彼らを初めて見た時から、何だか既視感があるんです。一緒にいると、故郷に戻ってきた気分といいますか。ベースのジュニョン(87Dance)、ギターのウジョン(​​Grab and go)、ドラムのジェミン、キーボードのジフン(The Yanbans)、僕を含む5人でバンド活動をしています。お互いになくてはならない存在になってきています。

EBSの音楽番組「スペース共感」にてバンドメンバーと共演

ーoceanfromtheblueさんの楽曲はしっとりと感性に訴えかけるような歌詞が非常に魅力的だと感じています。曲作りのインスピレーションはどこから得ているのでしょうか。

僕のMBTI(性格診断テスト)は「INTP( “論理学者”型の性格)」で、一部分に頑固にこだわる傾向があります。INTPの人たちはこだわりが強く、無神経に見られがちなんですよ。何か一つのことに没頭して考えを巡らせているので仕方がないのかもしれません。僕も普段そうやって物事一つ一つを深く考えるタイプなのですが、歌詞を書くときはその「こだわり」が出るみたいで。当時の空気や、相手の瞳の動きなど、ディティールの部分です。どうしてその部分にこだわり、考え続けるのだろう?と思いながら文字にして書き出してみると、それが歌詞になります:)

ー今後、音楽を通して実現したいことや目標はありますか。
僕は自分の人生を音楽で描くスタイルなので、いつか僕が死んだ時、自分はどんな人でどんな人生を送っていたのかが僕の音楽に現れていたら嬉しいです。そのストーリーの話し手は自分かもしれないし、他の誰かかもしれないけれど、僕の音楽を通して誰かを慰められたらいいなと思っています。

「girl」「ice cream」制作エピソード

ーA面収録曲「girl(feat.BLOO)」(韓国語タイトル:검은머리 / 黒い髪)はどんな思いが込められた曲ですか。

R&Bの特徴と言えば、なんと言っても「異性に対する憧れ」でしょう。聴いている人が、僕がどんな絵を描いて歌っているのかわかるように、描写する仕掛けが必要でした。それが「黒い髪」なんです。僕は、黒い髪といえば風になびく長い髪の毛が思い浮かぶのですが、誰しもがそんな「黒い髪」に対する想像をしたことがあると思います。そのイメージを2000年代のR&Bに融合し、この曲が生まれました。

ー「girl(feat.BLOO)」は、tvNの人気バラエティ番組〈コメディビッグリーグ〉の中のコーナー「1%」に起用されるなどして、話題になったそうですね!

実は僕もファンの方に聞いて初めて知りました。とても嬉しくて誇らしく、突然プレゼントをもらったような気分でした。正式な連絡や契約があって使われたのではなく、只々音楽とコメディショーのコンセプトがピッタリだったので、選ばれたのだと思います。その事実に胸がいっぱいです。

ーB面収録曲「ice cream」は、CityPop的な爽やかなサウンドがとても魅力的でした。アイスを通して距離を縮めようとする二人の関係性を歌った歌詞にもキュンときました。どういう経緯で作曲されましたか。

夏なので僕の音楽も爽やかにしたい!というシンプルな気持ちから生まれたタイトルです。アイスクリームが夏の代表的なおやつということと、アイスにはお互いの関係がどれだけ進んでるかがわかるメタファーがありますよね。飲み会で、アイスを買ってくるから一緒に食べよう、と気になる人を誘ったりしたことのある人もいるんじゃないでしょうか。そんな話を解いてみると、可愛らしくて茶目っ気のある明るい曲ができました!

너무 더우니 아이스크림 사러
暑すぎるからアイスクリーム買いに

다녀올 테니 좋아해 줘
行ってくるから好きになってよ

나랑 단 것만 먹자고
僕と甘いものだけ食べよう

왜냐면 널 좋아해 정말
なぜなら君が好きだから本当に

oceanfromtheblue「ice cream」歌詞より

ー「girl(feat.BLOO)」「ice cream」は、共に『a-side: 90s kids never get old』というアルバムに収録されていると思います。タイトルに「90s kids never get old」とありますが、1990年代生まれの人々に寄せる思いがあったのでしょうか。

直訳すると「90年代の子供たちは年を取らない。」という意味ですが、93年生まれの僕の抱負を込めた一文です。90年代生まれの人たちは、どんな分野においても過渡期にあったと思います。特に韓国では、学生人権、校庭の芝生化、第7次教育過程といった変化の渦中にあり、音楽も同じでした。「僕はその渦の中で台風の目になるんだ」と思い、このタイトルをつけました。

ー最後に、今回のレコードを手にした日本の方に向けて、メッセージをお願いします!

僕は日本の場所や文化がとても好きで、日本には旅行だけですでにいろんなところを訪れましたが、近いうちにライブで行きたいです。僕の音楽をぜひ楽しんでくださいね。会える日までどうか皆さんお元気で!

     


BUZZYROOTSでは、Bside K-Indies Seriesの情報を他にもたくさん掲載中。ぜひチェックしてください!

協力・監修:Bside Label

 

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  • この記事を書いた人

Akari

1994年生まれの自称、韓国音楽PR大使。インディペンデントな韓国のミュージシャンや業界人を中心にインタビューやコラムを執筆。「韓国の音楽をジャンルレスに届ける」をモットーに、韓国インディーズ音楽特化型メディア「BUZZYROOTS」の運営やDJイベントへの出演、アーティストのアテンドなど、多岐に渡り活動中。一番の推しバンドは、SURL。

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