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私の魅力は個人的。インディーシーン注目株 Yoon Jiyoung|K-Indie Series Vol.3 特集コラム

2020-10-04

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私の魅力は個人的。インディーシーン注目株 Yoon Jiyoung|K-Indie Series Vol.3 特集コラム

2020-10-04

韓国の実力派アーティストを日本国内に紹介するレーベル〈Bside〉とHMV record shopの共同企画として、11月3日の”レコードの日”にSummer Soul、Luli Lee、Yoon Jiyoungの7インチが同時リリースされる。BUZZYROOTSでは、3アーティストをテーマにしたコラムをお届け。

Bside K-Indies Series Vol.3 MV Trailer

 


 

97年生まれ、現在23歳のシンガーソングライター、Yoon Jiyoung。学生の頃から音楽業界関係者の間で注目されており、K-INDIEの注目株として挙げられている。

昨年2月に、SE SO NEONや10cmなどが所属するレーベル<Magic Strawberry Sound>に加入。そして先月放送された韓国SBSの音楽番組「人気歌謡」が送る実力派インディーズミュージシャン特集企画「MUSE ON」では、574組の応募から選ばれた20組のうちの一人として、ライブクリップと動画インタビューに出演。韓国国内での知名度はどんどん高まっている。

                          

彼女のクールな見た目も印象的だ。インスタグラムでは、大きめなシルエットのTシャツやパンツを中心にしたストリート系スタイルや、両親の結婚写真を描いた個性的なタトゥーなど、ファッションにも注目が集まっており、最近ではカルチャーマガジン『DAZED』のグラビアを飾った。

                                       

彼女は自分の魅力を「個人的であること」と言い、そしてネットではしばしば次のように紹介される。

「私だけが知りたいアーティスト」

多くの人に共感され、愛される理由は何だろうか。また個人的と言うのはどういう意味なのだろうか。

まずは楽曲と共にこれまでの音楽活動を振り返っていこう。

[MV] Collective Arts, Yoon Jiyoung(콜렉티브아츠, 윤지영) _ Shade(나의 그늘)

                             

「暗闇がやってきて 全て過ぎ去っても 遠くから君は 私の心の拠り所となって  憎たらしい言葉をぶちまけて傷つけるのは簡単だけど 君はどうしてまだそこに立っているの」

2017年のデビュー曲「Shade」は大学在学中に制作・リリースされた。弘大の新人シンガーソングライターでクルー"Collective Arts”を発足させ、毎月デジタル音源をリリースするという、音楽レーベル<文化人>が手掛けるプロジェクトにて第二弾アーティストとして発表された。

自身の物静かな性格を否定されることに対し、その性格を影に喩えて「影というのは普段の飾った姿の後ろにいる本当の自分の姿ではないか」と歌う。歌詞が目立つよう伴奏はシンプルなアレンジにし、落ち着いた歌声がそのメッセージをより引き立たせてくれる。自身に対する慰めでもあり、また同じ悩みを持つ人々に対する慰めになる歌と彼女は語っている。

[MV] 윤지영(Yoon Jiyoung) - 문득(eternal) / Official Music Video

                              

「私は何を望んだのだろうか 私でさえ守れなかった心なのに まだ」

人々に変わらない気持ちでいることを願うが、いざ自分を振り返ってみるとそうではないことを感じた、そのぎこちなさを歌う。

“Collective Arts”プロジェクトの後、2018年にコンテンツ制作会社plastik park(プラスチック・パーク)が手掛ける新人ミュージシャンの制作支援プロジェクト「Beams」に合流し、第4弾アーティストとして「eternal」がリリースされた。

윤지영 (Yoon Jiyoung) - 우우우린 (wwwe) [MV]

                              

「私たちはよく似ていて お互い少し違うところを愛している」

大切な人といつまでも一緒にいたいと確信を持った瞬間の胸いっぱいの気持ちを歌う。

2018年、インディーズミュージシャンの登竜門のような存在となっている、音楽配信サービス「NAVER MUSIC」内のインディーズミュージシャンのプラットフォームである「NAVERミュージシャンリーグ」に投稿されると、たちまちチャート1位を記録。メディアや業界関係者、一般リスナーまで影響力の高いチャートであることから、一気に彼女の名を知らせるきっかけとなった。

翌2019年はシンガーソングライターとのコラボ曲を2作リリースした。

「a will」では、Car,the gardenが参加。

윤지영 Yoon Jiyoung - 언젠가 너와 나 a will (Feat. 카더가든 Car the garden) Official M/V

                           

「いつか君と私のどちらかを選ぶとするなら 私は君を選んで遠くへ旅立つ 別に逃げ出すわけじゃないけど そんな私だと思われても構わない」

「いつか君と私のどちらかが立ち止まらなければならないとしたら 私は握っていた手を離して隠れる すまない気持ちがない訳ではないけど そんな私だと思われても構わない」

穏やかなワルツに乗せた2人の優しい歌声がとっても心地良い。

映画『アベンジャーズ』を観て書いたというこの曲は「私たちはお互いのためにどこまで犠牲になれるか」と自分に投げかけた問いかけに対する答えを語っている。

민수 Minsu, 윤지영 Yoon Jiyoung - 그녀 SHE Official M/V

                           

「みんな同じ訳じゃない ありのままの私を見てみてよあなたの小さい心に 私を閉じ込めないで」

「SHE」では、同じレーベルに所属しており同期として仲の良いシンガーソングライター・minsuが参加した。

自分を殺して他人の求める姿に合わせているという世間の人々の本音を語った内容。

無表情でおとなしい猫で表現したMVが秀逸だ。インスタグラムで5万人以上のフォロワーを抱える人気イラストレーター、チェ・ジンヨンが手掛けている。

この曲に関してユニークな点が、インスタグラムで聞き方を紹介しているところだ。(画像3枚目)

「「SHE」の聞き方 1)周囲の人々を誰かと比べずにお互いありのままを見てあげましょう。2)私自身でも本来の姿を愛してあげよう。 私らしい姿を愛してください。」

                          

音楽だけでなく、自身のYouTubeチャンネルにアップロードしている自作の映像も紹介したい。

Free smoking No trash /휴대용 재떨이 캠페인_Yoon jiyoung

                   

「Free smoking No trash」と書かれたTシャツを着て、自分のグッズの携帯灰皿をアピールする、というCM映像だ。グッズのCMを自主制作してアップロードするその新しさに思わず笑ってしまう。タバコのポイ捨て問題を解決すべく、携帯灰皿の存在を知らせるキャンペーンとしてグッズ販売を始めたようだ。

27살이 되던 날(fiction video)

                     

「27歳になった日の夜、私は死のうと思いました」という強烈な一言で始まるショートフィルム。

約3分半の中に、ある人の憂鬱と葛藤を淡々と語る。このストーリーの文とナレーションを手掛けており、楽曲の詞と同様に彼女の感性が光っている。

                     

「個人的である」という魅力について、様々な作品を通し見てきた。

彼女が自身の体験談やその時々の感情を歌にすること、飾らないありのままの自分 = 個人的に創作することが、リスナーそれぞれの周囲に見せない本当の自分の姿を呼び起こす。

現代社会において、悲しくも常に自分らしくありのままに生きるというのは難しい。だから「私だけ」知っていたくなる。

デジタル世代に生きる彼女は、CDで音楽を聴くことが好きだと過去のインタビューで語っている。理由は歌詞集をめくる時間が好きだから、だそうだ。

聞き流してしまいがちなストリーミングと違い、フィジカルメディアは音楽に没入して楽しむことが出来る。Yoon Jiyoungの音楽はそのような聴き方がとてもよく似合う。今回のレコード発売は、彼女にとって意味深いものとなるだろう。

                  

                

7 インチ 収録曲

Yoon Jiyoung - wwwe

Yoon Jiyoung - eternal

文:Izumi
監修:Bside

 

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  • この記事を書いた人

Izumi

韓国ミュージックライター。他業界とパラレルワークで活動中。ドラマ、音楽をはじめ韓国エンタメ愛好歴は10年以上になるが、ライターとしてはまだ5年目。 韓国留学を機にインディシーンの虜に。 自由な表現でアイデンティティを発信している新進気鋭のアーティストを広めるべく、業界人やアーティスト等にインタビューし記事を掲載するほか、プロモーション記事企画や映像企画を実現。 近年ではアジアのミュージシャンに活動の範囲を広げ、多岐にわたり活動している。

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