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O3ohn × Car, the garden、韓国インディの “相性抜群デュオ” が生んだEP『TWO』誕生ストーリー|INTERVIEW #61

韓国インディシーンを代表する感性派シンガーソングライター、O3ohnとCar, the garden。二人がタッグを組んだコラボEP『TWO』が、6月15日にリリースされた。

それぞれ独自のスタイルで活動を続けてきた二人の共演は、リスナーの間でも早くから話題になっていた。リリース後も、KBS『THE SEASONS〜パク・ボゴムのカンタービレ』、アリランTV『I’m LIVE』といった人気音楽番組への出演、韓国での単独公演の成功、そして台湾公演を控えるなど、精力的にライブステージに顔を見せ多くのファンを魅了している。

二人が「フレンチポップ」と形容するそのサウンドは、軽やかで親しみやすく、それでいて奥行きがある。出発点は「Two, it’s a wonderful name for you and me.」という印象的なフレーズ。自然な関係性から少しずつ音楽が形を成し、作品へと結実した。

年齢も性格もスタイルも違う。それでも気が合えば音楽は生まれる。互いの違いを楽しみ、ときにぶつかりながらも、最後には不思議とまとまってしまう。そんな型にはまらない緩やかなつながりから、このコラボは生まれた。

今回は、EPのリリースを記念してお二人にメールインタビューを実施。彼らの関係性や音楽への感性、本作を紐解くヒントになれば嬉しい。

Interview & Text:AKARI(BUZZY ROOTS)
取材協力:Bside

宇宙の流れに身を任せてここまで来た——二人の親交、共通点と相違点

—— 普段、お互いのことをなんと呼び合っていらっしゃいますか?

Car, the garden:「ジュノ」とよく呼びます。

O3ohn:「ジョンウォニヒョン(ジョンウォン兄さん)」、「チャ・ジョンウォン」、「ヒョン(兄さん)」、「カドガドゥン(Car, the garden)」と呼んでいます。

—— お二人の親交は長く続いていますね。2017年のCar, the gardenさんの1stアルバム『APARTMENT』やEP『Absence』へのO3ohnさんの参加、GQ KoreaのYouTubeチャンネルでの共演など、さまざまな接点があったかと思います。初めて出会ったのはいつ、どんな状況だったのでしょうか? 

Car, the garden:公演会場で出会ったのが最初だったと記憶しています。その後、音楽を聴くようになってから「もっと仲良くなりたい」と強く思い、僕から声をかけました。その後は少しずつ打ち解けて、楽しい関係に発展しました。

O3ohn :10年ほど前、小さなイベントの公演会場で出会いました。僕にとっては「O3ohn」としての人生初ライブで、当時ヒョン(※年上の男性を親しく呼ぶ言い方)は人気のインディスターでした。距離を感じていた僕に、ヒョンのほうからよく連絡をくれて、気にかけてくれました。まさか今みたいに親しくなるとは思ってもいませんでした…。

—— 長い付き合いの中で、今回のコラボレーションに至ったきっかけや、お互いのタイミングが重なった瞬間があったのでしょうか?

Car, the garden:僕たち二人が一緒にいる姿を、みんな好意的に見てくれていると感じました。その視線と好奇心を音楽やライブに上手くつなげられたらいいなと思い、こちらから提案しました。

O3ohn:僕たちはどちらもすごく即興的で衝動的なタイプなので、なんというか、宇宙の流れに身を任せたような感じでここまで来たような気がします。プロジェクトのきっかけは、Car, the gardenが先に声をかけてくれたことです。僕もいい予感がして、一緒にやりたいと思いました。

—— お二人の共通点について話が出ましたが、改めてお二人が感じるそれぞれの共通点と相違点について教えてください。一緒に音楽を作る上で、似ているからうまくいく部分と、違うからこそ面白いと感じる部分、両方あるのではないでしょうか?

Car, the garden:ジュノを通して、ディテールと繰り返しの練習の重要性を改めて頭に刻むことができた良い制作過程でした。

O3ohn:Car, the gardenは、もっと直感的で本能に忠実なスタイルです。だからこそ制作のスピードが速くて、率直なアウトプットが生まれるんだと思います。そういうところから多くを学べた気がします。

—— お二人とも現在は〈CAM WITH US〉(※)というレーベルに参加されていますね。韓国のインディシーンで注目を集めている新興レーベルですが、日本ではまだあまり知られていません。お二人にとってどんなレーベルで、どのような経緯で参加することになったのでしょうか? 

Car, the garden:信頼しているミュージシャンたちや実務スタッフが集まり、それぞれの立場で一生懸命に才能を発揮している、フレッシュな魅力にあふれたレーベルです。テンポ感も自分とよく合っていて、とても満足しています。

O3ohn:これも自然な流れでつながった感じがします。以前からよく知っていた兄さんたちが会社にいて、話していくうちに「一緒にやれば面白いことがたくさんできそうだ」と確信が持てました。瞬発力があって、多彩な魅力を持った会社だと思います。

CAM WITH US(シーエーエームウィズアス):2024年5月設立。Balming Tiger、Silica Gel、10CM、IDIOTAPEなど、韓国インディシーンを牽引する名だたるアーティスト等が集結し、注目を集めている。

複雑な構造を持たないエレクトロニック・サウンドの中で、愛や世界、友情を歌ってみた——EP『TWO』の制作過程と参照点

 

—— ここからはEPについて伺わせてください。この作品は、お二人にとってどんなアルバムでしょうか?全体を通して聴くと、孤独や迷いを経て、愛や世界へと視点が開かれていくようにも感じました。

Car, the garden:最初は「ノリのいいリズム」をベースに始まったアルバムでしたが、結果的には人と愛の感情が中心に据えられた作品になったように思います。 複雑な構造を持たないエレクトロニック・サウンドの中で、愛や世界、友情を歌ってみた、そんなアルバムと言えますね。

O3ohn:音楽的に、起承転結を作ることに集中しました。1曲目はデモの段階から決まっていて、後半の曲順をどうするかは少し悩みました。最終的には「WORLD」で美しく穏やかに、平和のメッセージを込めて旅を締めくくる、という結論に至りました。

—— アルバムタイトル『TWO』には、どのような意味が込められていますか? お二人の関係性を示しているようにも感じますし、一方で歌詞を読むと、聴き手それぞれが自身と誰かとの関係に重ねることができるような普遍性も感じました。

Car, the garden:「二人で奏でるハーモニー」というくらいで、僕はシンプルにタイトルを考えました。

O3ohn:最初に「TWO」という曲のメロディを作っていたとき、「Two, it’s a wonderful name for you and me.(ふたり、それはあなたと私にぴったりの素敵な名前)」という一文がふっと浮かんできました。もしかすると、それがこのアルバムを説明するための言葉なのかもしれないと思ったんです。単に「ふたり」が描かれているだけでなく、このアルバムを聴いてくださる方々と僕たちとのあいだに生まれる関係も含んだ名前だと思っています。

—— 今回のEPを通して、余白の使い方やシンセの温度感、声の重ね方に至るまで、全体的に美しい音の質感が印象的でした。制作において、お二人が意識された音の質感やアレンジの方向性があれば教えてください。フレンチ・エレクトロやシンセ・ポップ的なテクスチャーも随所に感じられたような気がしますが、音楽的な参照点や、インスピレーションとなったアーティスト、作品などがあれば伺ってみたいです。

Car, the garden:リフが中心になる反復構造の強い楽曲が多いと思っています。子どもの頃に好きだったMGMTやパッション・ピットのようなバンドが使っていたシンセ音源をあらためて聴きながら、サウンドを組み立てていきました。デモ制作では、主にProphetやSUPER8を使いました。

O3ohn:プロデューサーの友人(ジ・ヒョヌ)と一緒にセットで、まず全体の方向性を決めてから制作に入りました。フレンチの影響を感じ取っていただけて嬉しいです。クラシックなシンセサイザー、ドラムマシン、そしてベースラインのバランスを重視しました。ヴィンテージすぎず、それでいて綺麗すぎない、その中間を狙いたかったんです。ボーカルは二人とも同じマイクで録音して、後半の作業ではCar, the gardenと僕の声の魅力がうまく混ざるように調整しました。

——「BIG BIRD」のMVがとても印象的でした。youraさんとのコラボレーションによって、楽曲全体のミステリアスな雰囲気がより際立っていたように思います。なかでも「生卵」のモチーフが特に強く印象に残っています。このモチーフには、どのような意味や象徴性が込められていたのでしょうか?

Car, the garden:私たちの真心、そして人々の先入観? それらが絡み合ったメタファー。

O3ohn:韓国の伝統茶であるサンファチャに入っている卵の黄身は、僕たちの「真心」を象徴しています。その真心を探しに行く冒険を、ちょっとユニークな形で表現してみたかったんです。

—— 日本のファン、そしてこの記事を通じてお二人を知ったリスナーに向けて、最後に一言メッセージをお願いします。

Car, the garden:ありがとうございます。いつでもみなさんを待っています。

O3ohn:聴いてくださってありがとうございます。今後の作品も楽しみにしていてください。お元気で!

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O3ohn インタビュー

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AKARI

AKARI

エディター|ライター

1994年生まれの自称、韓国音楽PR大使。インディペンデントな韓国のミュージシャンや業界人を中心にインタビューやコラムを執筆。「韓国の音楽をジャンルレスに届ける」をモットーに、韓国インディ音楽に特化したWEBマガジン「BUZZY ROOTS」の運営や、音楽・カルチャーメディアへの寄稿、広報、DJイベントへの出演、アーティストのアテンドなど、できることなら何でも形を問わず行なっています。プライベートでは、韓国人の夫と結婚し、二人の子どもを出産。子育てをしながら東京とソウルを行き来しています。

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