韓国のマスロック・バンドDabda(ダブダ)から、日本へ向けて2つの知らせが届いた。
一つ目は、昨日9月2日にリリースされたデジタルシングル「DDDD!」について。そして二つ目は、このインタビューが掲載される9月3日よりアジアツアーをスタートするということ。
今年のフジロックやサマーソニックでは韓国アーティストの名前が以前よりも存在感を増し、韓国国内では2024年よりアジアの音楽に特化したフェスティバル『Asian Pop Festival』が開催されるなど、ここ1-2年の間に様々な場所で日韓での音楽コミュニケーションがより活発になっている。
韓国国内で日々新しいバンドやアーティストが生まれている中、2016年から活動してるDabdaは国内ではまだまだ小さなポスト・ロックシーンで長く活動している中堅バンドである。
2021年にToeの柏倉隆史氏とのコラボシングル「Jungle Gym」を発表したことで彼らを知った日本リスナーも多いかもしれない。日本、タイ、台湾などアジア各国をはじめ精力的な活動で世界へ進出するDabdaは、日本とも強固な繋がりを築いている。
活動スタートから9年という長い時間をかけて世界をめぐり、「グローバルに活動をする、韓国を代表するバンド」の1チームとして着実に実力を伸ばしているDabda。そんな彼らをもっと知りたく、8月某日、メールにてインタビューを行った。
Interview & Text:内畑 美里
プロフィール

◾️Dabda(ダブダ)
・김지애 キム・ジエ(Vo/Gt)
・박정웅 パク・ジョンウン(Gt)
・노거현 ノ・ゴヒョン(Ba)
・이승현 イ・スンヒョン(Dr)
◾️Dabda SNS Info
Bandcamp / Instagram / Facebook / X / YouTube
繊細かつ変化に富んだ演奏とエネルギッシュなライブ・パフォーマンスが特徴の4人組インディ・ロックバンド。計算された余白と複雑なディテールが作品に共存するDabdaの音楽スタイルは、マス・ロックというジャンルを超えて、世界の青春たちと共感するバンドを目指す。2016年デビューEP『Island of Each』以降、2020年にファースト・フルアルバム『But, All The Shining Things Are』を発表、その後2021年にtoeの柏倉隆史氏とのコラボシングル「Jungle Gym」を発表。2023年8月、EP『Yonder』を発売後は、国内外のフェスティバルや海外ツアーなど、精力的に活動を継続中。2025年9月リリース予定のデジタル・シングル「DDDD!」を皮切りに、2枚目のフルアルバムの発売を準備中。
Q1. 韓国ソウルを中心に長く活動をしているDabdaですが、どのようにメンバーと出会い、バンド活動に至ったのか教えてください。
イ・スンヒョン:僕は、ボーカルのジエとテジョン(韓国中部地方の中心都市)の大学にあるバンドサークルで会いました。 僕がジエより1つ上で、立派な先輩だったかと(笑)
当時、自分は軍隊に行かなければならなかったので一緒に活動できませんでしたが、除隊を控えた時期に後輩たちの公演の知らせを聞いたので見に行きました。その公演で、以前よりも成長した姿で歌うジエがとても印象深かったです。「ジエとバンドをすれば何でもできる!」と思い、バンドをやろうと提案しました。その後、メンバーチェンジが何度かありましたが、その時期一緒に作業室を使っていたゴヒョンに出会い、さらにその後、自分がPiano Shoegazer(現在はPishuという名前で活動している音楽家)のドラムサポートをしていた時期にジョンウンに出会い、現在のDabdaが出来ました。
キム・ジエ:私は活動的な性格ではなかったので、自然と美術学校に進学する流れになりましたが、ずっと「音楽がしたい」という気持ちがありました。大学進学をしてすぐにバンドサークルに入ったんですが、そこはまさかのメタルサークルで、どうしようかと…でも、音楽をやること自体がとても幸せで解放感もあって、美術ではなく音楽をしたいという気持ちが大きくなりました。数年間、専攻授業よりもサークル活動に没頭していた時に、スンヒョンがテジョンではなくてソウルに行ってバンドをしようと提案してくれました。その言葉で、音楽をちゃんとやってみようと決心できて今のメンバーや素敵な友達にたくさん会えるようになりました。
Q2. Dabdaサウンドの魅力とも言える複雑なメロディ構成、瑞々しさを感じさせるサウンド、抒情的/感傷的な歌詞など、Dabdaを構成する上で影響を受けたアーティストや映画、芸術などありますか。
イ・スンヒョン:自分はドラマーですが、最初あまりドラムに興味がありませんでした。練習に対する欲求もあまりなく、ドラムはライブができる道具程度に思っていました。が!2013年に友達がtoeのライブ映像を見せてくれて…その瞬間、人生が変わったと思うくらい大きな衝撃を受けました。柏倉さんのドラミングは本当に自由で感情的でした。映像を見た短い時間の中で「あんな風に自由に表現するドラミングを自分もやりたい」と思い、その目標は今までも続いています。あと、SLAM DUNKで根性を学びました。
キム・ジエ:「Island of Each」以前の楽曲は、少し憂鬱でモダンな傾向がありました。思えば、当時の自分的にこの傾向が自身とばっちりハマる感じじゃないのかもなと思っていたのかもしれません。当時ベースだったメンバーが軍隊へ行き、バンドが活動休止になっていたタイミングで偶然Bombay Bicycle Clubのアルバムを聴きました。青々と晴れた空のようにキラキラと輝きつつも、どこか切ない感情がサウンドにあって…「こんな音楽がしたい!」と何度も思いました。これをきっかけに、音楽的な色が大きく変わったように思います。

Q3. 影響を受けた音楽について、もう少し聞かせてください。これまで、1stフルアルバムの日本盤リリースでtoeの柏倉隆史さんとのコラボや日本ツアーを開催するなど、日本の音楽シーンともつながりが持ってきたと思いますが、日本のアーティストやシーンから受けた影響はありますか?
イ・スンヒョン:toeがきっかけで日本のインストゥルメンタルバンドに関心を持ちました。te’、Rega、MASS OF THE FERMENTING DREGSなど、好きなバンドがどんどん増えていって。今挙げたバンドは没入感とエネルギーが共通していると思いますが、その部分が自分たちにたくさんの影響を与えたと思います。
Q4. Dabdaはマス・ロックのサウンドを展開する、韓国で数少ないバンドですよね。長く活動することは簡単ではないと思います。現在は海外でも精力的に活動をしていますが、長い活動歴の中で印象的だった出来事などあれば教えてください。
イ・スンヒョン:僕はやっぱり、柏倉さんと一緒にライブセッションを行った経験が一番印象深いです。今も夢だったんじゃないかと思うくらい。冗談っぽく言いますが、サッカー選手を夢見る人がメッシと一緒に同じチームで試合をした感じに近いというか。本当に大事な経験であり、学びでした。
ノ・ゴヒョン:何よりも、海外の様々なアーティストたち、音楽係者たちと友達になった思い出が一番記憶に残っています。 水中スピカ、toeの柏倉さん、Elephant Gym、I’mdifficult(我是機車少女)、Door Plantなど、彼らのライブを見ながらたくさんインスピレーションを受けました。
Q5. Dabdaはエネルギッシュで勢いのあるライブパフォーマンスもポイントですが、ライブを行う時に心掛けていることや、お決まりのルーティンなどありますか。
イ・スンヒョン:僕はEPL(イングランド・プレミアリーグ)の皇帝、リヴァプールFCの応援歌を聞いてステージに上がるのがルーティンです。 選手の気持ちになって「このステージに最善を尽くそう」という気持ちを心に刻みながらステージに上がります。
ノ・ゴヒョン:ライブは僕たちが面白くなければオーディエンスも面白くないと思います。どうしたら面白いか話しながら、ライブの準備をしています。
パク・ジョンウン:一曲目を演奏する前に、スンヒョンの無邪気な表情、ゴヒョンのやんちゃな感じ、ジエの真剣な表情を見て、彼ら一人ひとりの情熱に近づくよう心がけています。

Q6. 韓国国内でマス・ロックやポスト・ロック周辺をメインとしたバンドはそれほど多くないと思いますが、Dabdaから見て、活動を始めた頃から現在まで、マス・ロック〜ポスト・ロックの韓国音楽シーンにはどのような変化がありましたか。
イ・スンヒョン:今はなきBadabieというライブハウスに2013〜2016年頃よく通っていました。自分はそこでポストロックというジャンルを初めて知りましたが、Badabieにはポストロックのバンドがとても多く出演していました。その当時活動していたポストロックのバンド中で、現在も活動しているバンドはHollow Janくらいしか残っていないと思います。それだけ、現在の韓国のポストロックバンドはかなり少ないと思います。一方でポストロック的な要素は今もシューゲイズと結びつき、新しいバンドがたくさん誕生しています。ある特定ジャンルに特化するようなバンドは少なくなりましたが、マスロック/ポストロックの要素を盛り込んだバンドは次々と生まれています。これからも様々なジャンルの要素が合わさった、新しいバンドがたくさん登場するんじゃないかな。
ノ・ゴヒョン:韓国国内では、一つのジャンルに絞った音楽シーンの規模がとても小さいです。シーンがあると表現すること自体が難しい。Dabdaが本格的に活動を始めた時も現在も似ています。自分たちも「何かのジャンルの音楽シーンを中心に活動する」というよりは、「インディ・ミュージックシーンを中心に活動する」という考えです。最近、韓国ではバンドブームだと言われることも多いですが、実際に変化したことはそんなに多くありません。僕たちはもっと頑張って、もっと大きなステージで、もっと多くの人に会うことが目標です。

Q7. 9月2日にデジタルシングル「DDDD!」をリリースしました。元々は別の曲名で未発表音源としてライブで演奏されていましたが、今回リリースに至った理由はどのようなことがあるのでしょうか。曲紹介も併せて教えてください。
イ・スンヒョン:Dabdaはセカンドアルバムを準備中なんですが、その始まりを知らせるシングルが「DDDD!」です。以前よりも直線的なエネルギーを込ることを意識しながら編曲・制作しました。デモの仮タイトルは「뚱땅이(トゥンタンイ)」でしたが、イントロのタムやギターのサウンドが仮タイトルの音のみたいにトゥントゥン!という感じなので、タイトルと曲がピッタリとマッチする曲ができて嬉しいです!DDDD〜!
ノ・ゴヒョン:「DDDD!」は、絶賛制作中のセカンドアルバムに収録される一曲です。久しぶりのシングル・リリースなのでDabdaの魅力をよく盛り込みつつ、フレッシュで楽しい曲をリスナーへ届けたかった。曲紹介はジエ、どうぞ!
キム・ジエ:「DDDD!」は、人生に倦怠感を感じる主人公「D」がカフェで退屈そうに座っているシーンから始まる曲です。Dは自身を抑圧する現状を打破したいと思っているのに、何もせずに立ち止まってる。夢のために動き出す船、航海と漂流を区分するのは一体何なのか?という悩みの向こう側に、それでも帆を広げて航海している過去の夢を想像しながら聴いてみてください。
Q8. 9月10日には下北沢Shelterでライブを行いますね!日本のリスナーに向けて、一言お願いいたします。
イ・スンヒョン:よろしくお願いします。一緒に楽しみましょう!
パク・ジョンウン:僕がDabdaに加入して初の日本公演です。宜しくお願いします!
リリース情報

Artist : Dabda
Title:DDDD!
Release Date : 2025-09-02
Label:Electric Muse
Track List:
01. DDDD!
公演情報
■Dabda 2025アジアツアー
9月3日 Blueprint Livehouse(バンコク)
9月5日 Sari Sari(マニラ)
9月6日 September Fever,(セブ)
9月7日 Korea Sound(セブ)
9月9日 Golden Birds(ホーチミン)
9月10日 Shelter(東京)
(制作支援:韓国コンテンツ振興院)
■Dabda 2025アジアツアーファイナル in Tokyo
日時:2025年9月10日(水) Open 18:30 / Start 19:00
会場 : Shimokitazawa SHELTER
チケット : 前売り 3,000円/当日 3,500円(別途1ドリンク)
チケットプレイガイド : LivePocket ※8/27より販売
出演:
Dabda (from 韓国)
JunIzawa (井澤惇 fron LITE)
and more.