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【2020年】韓国インディーズ・ベストアルバム 10選|AKARI

2020-12-20

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【2020年】韓国インディーズ・ベストアルバム 10選|AKARI

2020-12-20

BUZZYROOTSのAKARIです。早いもので今年もあっという間に一年が終わろうとしています。皆さまにとって、この一年はどんな一年だったでしょうか?

今年はコロナショックで生活様式、価値観がガラッと変わった一年だったと思います。大変な状況にも関わらず、今年も韓国からたくさんの新譜が届いたことを大変嬉しく思います。

今年は念願のK-INDIEチャート日本版をBUZZYROOTSで公開することが決まり、掲載を始めてから毎週チャートを食い入るように見つめていたせいか、昨年以上に素敵な作品にたくさん出会うことができました。数なる出会った曲の中でも、私のそばに寄り添い、励ましてくれたアルバムを厳選してご紹介します。

個人テーマは、「電子音」「アンビエント」「モダン」「レトロ」「ジャズ」。静かに潜水できる音楽が好きです。

2020年 ベストアルバム

※「作品名」/「アーティスト名」で記載しています。

1|The Dragon Warrior / Fisherman

コズミックな神秘の海を旅する

今年出会って最もハマったと言っても過言ではないのが、プロデューサー兼DJのFisherman。ラッパーのGIRIBOY、Kid Milli等が参加するHIPHOPクルー “宇宙飛行(WYBH/우주비행)” のメンバーでもある。今回の作品は個人名義のアルバムらしく、全体としては、Fishermanの魅力でもある落ち着きとダイナミックさを併せ持つコズミックな印象。一方で、BewhY、Jiwoo、Ku One Chan、SUMIN、WISUE等、多数アーティストの参加によって、ジャズ、ヒップホップ、R&B等、様々なジャンルと融合しながら、緊張感のある新たな世界を紡いでいく。おすすめトラックは、Ku One Chanをフィーチャーリングに迎えた「Everyday I」。Ku One Chanは、1994年生まれでMagic Strawberry Sound所属のシンセポップをベースとしたR&Bシンガー。2014年のデビュー直後はVankudi(ヴァンクディ)という名前で活動していたが、方向性の問題から、2017年以降現在の名前でソロ活動している。本アルバム内では、音幅が四方に伸びるドラマチックなメロディが、鮮やかな差し色として機能している。

ジャンル:エレクトロ、ジャズ、ヒップホップ、R&B

 

2|Scene / Jo SoJeong

映画の主人公になれる魔法のモーニングチューン

映画からインスピレーションを受けた5曲が収録された作品で、ジャケット画像にも5つのタイトルが積まれている。導入の軽快なピアノの音色と透き通るJo SeJeongの歌声でグッと物語の世界に引き込まれ、思わずうっとりしてしまう。イヤホンをつけて外を散歩すると、普段生きている世界はこんなにキラキラ美しかっんだっけ...?とハッとさせられる。Jo SeJeongは2014年にソングライターの登竜門である「ユ・ジェハ音楽コンテンスト」で金賞をとっており、今後が期待されるアーティストである。

ジャンル:フォーク、ジャズ

  

3| silence / OOHYO

自己と向き合う静寂の18分間

EPでのアルバム発売はデビュー作「소녀감성(Girl Sense)」以来6年ぶりとなる。本作には、これまで大切にしてきた人間関係、長い間自分の一部として考えて来たこだわり、性格、習慣、生活の中での優先順位、夢など、まさに自分が持っていたものが崩れたときの状況下で感じる複雑な感情を込めたという。これまでのポップな曲調から一転、落ち着いたサウンドからも本人の心境の変化を感じ取れる気がする。「頑張れ」という空っぽな声援に疲れた人にこそ聴いてほしい。

ジャンル:ポップス、エレクトロ

   

4|Zanchi / Band Nah

オリエンタルな中毒性

Band Nah(ナサンヒョンシ バンド)の『Zanchi』。聴いた瞬間、普段聞き慣れないサンプリングから広がる世界観に引き込まれる。オリエンタルで浮遊感のあるサウンドに身を任せて、放浪の旅に出かけたくなる。Band Nahは、2014年7月に一度限りの公演用に、普段親しくしてい友人同士 “ナサンヒョン” の曲を演奏するために作られたチームだった。しかし、観客からの評価も高く、結局継続して音楽活動を継続することになる。2014年11月『늦은 새벽(遅い夜明け)』をはじめ、2015年4月EP『찌릿찌릿(ビリビリ)』、2016年3月にEP『불장난(火遊び)』を発表し、ロックバンドとしてのイメージを確立。今後ぜひ追いかけていきたいバンドである。

ジャンル:ロック

 

5|Crisscross / Byulyang(별양)

独立した個性的な4曲が交差するレトロモダン

レトロな西洋の風に身体を揺らしたくなるエレクトロスウィングな「Piccadilly Circus」から、バンド感のある「Crisscross」まで、同じアーティストの作品とは思えない個性的で独立した計4曲が収録されている。Byulyangは2015年に『Farewell』で活動を開始した “ コンピュータ音楽トリオ” 。メンバーは、バンド achimu(아침)のメンバーでもあるクォン・ソヌク(권선욱)、キム・スヨル(김수열)、イ・サンギュ(이상규)で構成されている。3人の生み出すエレクトロサウンドは、achimeのロックサウンドからは想像もつかない。

ジャンル:エレクトロ

 

6|though love / HYUKOH

真実の愛・幸福を見つける方法

これまでの音楽性とはガラッとスタイルを変えたオーガニックな作品で、今年、ファンの間でいい意味で衝撃が走った。これまでのイメージやリスナーの声に囚われず、常に我が道を突き進む姿に、希望と期待を感じた。このアルバムを聴く度に、2月の後半、コロナが広がるギリギリのタイミングで新木場のSTADIO COASTにライブに行った時の記憶が鮮明に蘇る。今年の後半には台湾のSunset Rollercoaster(落日飛車)、IDEOTAPE、チャンギハとリミックスプロジェクトを行なっており、原曲と合わせて聴くことで2倍も3倍も楽しめる。

ジャンル:ロック、エレクトロ

 

7|Art Museum / lofibaby

“愛の形”を展示する美術館へようこそ

プロデューサー・ZOとシンガーソングライター・SAYで構成されたR&Bグループ、Lofibaby。本作品はK-POP愛好家の和田いのまつさんから「衝撃のアルバムを見つけたから今すぐ聞いてー!!」と熱量高めの紹介を受けて知ったアルバムである。再生ボタンを押して曲が始まるのを待っていると、「観覧客の皆さま、美術館へようこそ。当美術館では、現在様々な美術技法を利用して様々な愛の形を表現した展示を行なっております。」と、アルバムを美術館と見立てて、キュレーターの館内説明からスタートする。息を呑むほど美しいコンセプト・アルバム。音楽の姿をした展示品を一つ一つ感じながら、芸術鑑賞に浸ってみて欲しい。

ジャンル:R&B

 

8|Legacy / Hi-Lite Records

洋々として広がる多様性の波音

K-HIPHOP界を牽引するレーベルHi-Lite Records設立10周年記念コンピアルバム。HIPHOPジャンルでのベストアルバムを選ぼうとした時、真っ先に頭に思い浮かんだ。Paloaltoを筆頭に、Swervy、ハックルベリー・P、Reddy、Soovi、YunB、Jowonuなどが参加。所属アーティストの音楽性・個性の幅広さが最大限に拡張され上手く融合して一つの作品となっている。力強いラップとポジティブでメロディアスなサウンドの往交が心地よく、陽の落ちた時間帯、宅飲みのお共に最高の一枚だった。

ジャンル:ヒップホップ

 

9|Tailor / The BLANK Shop 

貴方だけのスタイルを探しに街へ繰り出そう

The BLANK Shopは、ジャズピアニストのユン・ソクチョルがプロデューサーとして始動する際に掲げた新しい看板。「服屋」「仕立て屋」を意味する『Tailor』には、自身の専門分野であるジャズはもちろん、ポップ、エレクトロニック、バラードなど多様なジャンルを纏うアーティストをカスタマイズすることで、曲をプロデュースするというユン・ソクチョルの抱負が込められているという。タイトル曲は、DAY6のウォンピルがボーカルとして参加したロマンチックなトラック「Love Song」、ベク・イェリン「We are all Muse」の2本立てで、その他にも、10cm、ソヌ・ジョンア、ハ・ホンジンなど、今の韓国音楽シーンを担う多彩なミュージシャンが参加しており、プロデューサーとしての器量と幅を実感できる。

ジャンル:エレクトロ、ジャズ、R&B

 

10|The Songs for the NOT-YETs / 様々なアーティスト

美しい未来を見据えながら冷たく破滅的な現実を生きる現代人へ

本作品とは、ファッション雑誌『DAZED』を何気なく読んでいるときに出会った。よく調べるとイルミン美術館が制作しており、KIRARA、Y2K92、Salamanda(살라만다)、Jang Myungsun(장명선)、HWIなどの電子音楽アーティストが参加している。美術館制作と聞いて、現代アートを印象付ける線と円で構成されたシンプルでスタイリッシュなジャケットに納得がいく。ジリジリとお腹に響く重たい電子音と呪文を唱えるかのような肉声によって、不思議と明日への希望とエネルギーをもらえる。個人的なお気に入りは、Jang Myungsunの「HZ」(4曲目)。無機質な電子音が中心の楽曲が続く中で、本楽曲のみは自然の音を積極的に取り入れ、際立って「生命」を感じる作品になっている。それもそのはず、新しい生命体の生息可能地域(Habitable Zone)を見つけるために「宇宙に去っていった大人が地球に残された子供たちに送った手紙」を想像して作った曲だという。

ジャンル:エレクトロ

  

2020年 ベストトラック

上記ベストアルバムには入りませんでしたが、トラック単位でよかったものをおまけでご紹介しようと思います!

※「作品名」/「アーティスト名」で記載しています。

야유회 (yayou hoi) / sogumm (소금), 오혁 (OHHYUK)

 

함구 (Zip) / 우원재 (Woo)

 

sunbeam / meenoi(미노이)

 

Ferris Wheel / SURL(설)

 

비둘기 (Pigeon) / 다섯 (Dasutt)

 

난춘(亂春) (NAN CHUN) / 새소년 (SE SO NEON)

 

maldivian night / UMT(최첨단맨)

 

반짝이는 순간들은 너무 예쁘니까 (Because) / 나이트오프(Night Off)

 

Waiting For Your Calling Back / Sultan of the Disco

 

Nice Weather (ft.가호(Gaho) / Babylon(베이빌론)

 

Burn The Memory(ft.GIRIBOY)/ Dvwn

 

Mon Coeur(ft. Samuel Seo) / MOONSUN

 

上記でピックアップしたアルバム、トラックは下記のSpotifyプレイリストにまとめているので、ぜひチェックしてみてください!

 

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  • この記事を書いた人

Akari

1994年生まれの自称、韓国音楽PR大使。インディペンデントな韓国のミュージシャンや業界人を中心にインタビューやコラムを執筆。「韓国の音楽をジャンルレスに届ける」をモットーに、韓国インディーズ音楽特化型メディア「BUZZYROOTS」の運営やDJイベントへの出演、アーティストのアテンドなど、多岐に渡り活動中。一番の推しバンドは、SURL。

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