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【ライブレポート】Narotic 釜山遠征ツアー 2024

韓国のインディバンド・Narotic(ナロティック)が、2024年5月17日に開催された釜山のライブハウス・Ovantgardeの6周年記念イベントに出演。日本でNaroticの広報活動を行うチーム〈music/And…〉がライブの様子をレポート。

文:music/And…X / Instagram

Narotic(ナロティック)

Narotic(ナロティック)
Woong(Gt.Vo)、Seddon(Ba)、Hyuk(Key)、Ethan(Dr)の4ピースバンド。アートロックとサイケデリックロックを融合させ、感情、崩壊、現実の端を探求する。彼らのニューアルバム『AT LAST』は、周囲の質感、鋭い強度、進化するボーカルを通してディストピア的なストーリーを伝えている。2018年1stシングル「Coincidence」など計7枚のシングルをリリースし、2021年に1stフルアルバム『KindA』、2023年にデジタルEP『Hatred』をリリース。2025年3月20日2ndフルアルバム『AT LAST』をリリース。2022年3月・11月、初めての日本ツアーで関西と東京で2回、また2025年1月タイツアーを行った。
Instagram / X / Spotify

Naroticのライブを観る絶好のタイミングがやってきた。

韓国・ソウルを拠点に活動するインディオルタナティヴロックバンド、Naroticの釜山での初ライブを観に、私は釜山を訪れた。

釜山という街は、それまで一度も訪れたことがなかった。

釜山への旅は私にとって忘れられないものとなった。

空港に着くと、日本の街並みに似た風景が広がり、海から吹く潮風の匂いが日本の海辺の街と同じだったからか、どこか心地よく、懐かしい感覚に包まれた。

地元のバンドだけでなく、韓国のインディバンドや海外からのツアーアーティストにも愛されている釜山のライブハウス・Ovantgardeは2024年に6周年を迎え、それを記念して同年5月17日にNarotic、Blue Turtle Land、Beirut Taxi、The Vastardsのライブが行われた。

空港からLRと地下鉄を乗り継ぎOvantgardeに向かった。

オープン時間少し前に行くと、受付の方に名前を聞かれた。チケットのことで事前にDMで連絡を取り合っていた方のようで、気さくに話しかけてくださり、一気に緊張感が薄れた。

Naroticは本当に素晴らしく、前回観た2023年11月の日本ツアーからさらに演奏やサウンドが進化していた。

彼らが影響を受けるサウンド、オルタナロック、シューゲイズ、ドリームポップ、ポストロック、サイケデリックなどに加え、パンク、ジャズの要素も以前より増している。

特に、新曲の「GALBI」や「Anyway」 (この2曲は2024年6月25日リリースEP『AT LAST pt.1』収録曲)などから特にそう感じた。

未リリースデモ音源の「Survivor」は、歪んだギターサウンドと、力強いドラムのリズムが印象的だ。

全体的な音の厚みや情感が増し、彼らが影響を受けるカラフルな音楽世界が、より大きく、スペイシーに会場内にふわふわと拡がっていく。

ライブ中のバンドの雰囲気も以前と少し変化しているように感じ、演奏に込められた想いがより強く伝わってきた。

日頃の地道な裏側の努力や苦労は表ではほとんど見せず、本番にかけてくる彼らの演奏に惜しみなく注ぎ込まれる努力。Naroticの音楽への真摯な姿勢を感じ取る。

2024年に入り、ほぼ毎月デモ音源やシングルをリリースし続けているNaroticのライブでは、オーディエンスを飽きさせることのないパフォーマンスや音楽性に驚かされる。

彼ら独自のカラフルな音楽世界の拡がりや発展は、2025年リリース予定の2ndアルバムにどのように反映されるのだろう。

今回のライブに2ndアルバムのパズルのピースが隠されているとメンバーは言う。

この日のライブを見て、彼らのニューアルバムにますます期待が膨らんだ。

Naroticメンバーとエレクトロニカミュージシャン・Fat Hamster

      

2024年5月17日 at 釜山・OVANTGARDE

– Setlist
Hatred
Whatever
Anyway
Not Much Left
Ophelia (A Fallen Angel)
Survivor
GALBI
We Know That’s Gonna be the End

INTERVIEW

Narotic初遠征ツアーを記念して、ライブ直前にミニインタビューを行った。

❶ 最近リリースのシングル、デモ音源の中で特にお気に入りがあれば教えてください
❷ 釜山は初めてですか?初めてじゃない方は特に思い出はありますか?
❸ 今後の音源リリース、ツアー計画は?

   

Woong(Gt/Vo)
❶ ’Survivor’はファイルはないが、最近創った。お聴かせしたいです。
❷ 初めてです。
❸ 1ヶ月に1回シングルリリースをするようにしている。リリースした曲の中に2ndアルバムのジグソーパズルを隠しています。探してみてください、きっと楽しいです。

    

Hyuk(Key)
❶「Stroke」この曲に愛着を持っている。古い曲で、私がバンドに入ったばかりの頃に演奏していたのですが、長い間忘れられていたので、今回EPでリリースできてとても嬉しいです。
❷ 20歳の時、高校時代の友人と旅行に行きました。ノープランで3泊2日の旅。
❸ いろいろ準備しています。

    

Ethan(Dr)
❶ 全部好きだから選べない。ただ、SoundCloudのデモでは「Anyway」と「Build New」の2曲が一番好きです。
❷ 9年前に釜山に住んでいる友人に会って以来、今回が初めてです。今回のライブは特別な経験になると思う。
❸ みんなたくさん頑張って2ndアルバムを準備していますが、今回はたくさんのパズルが隠されています。

    

Seddon(Ba)
❶「Stroke」という曲が好きです。元々リリースしたくない曲だったのですが、練習と本番で改めて作った曲なので、出せたのは良かったです。
❷ 友人や家族と何度か釜山を訪れました。釜山で海鮮を食べたりお酒を飲んだのは特別な経験だった。9年前のカヤックトレーニングでも訪れました。

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フィールドリサーチャー|アクティビスト|ブッカー|オーガナイザー

音楽、紙、環境、思想、アート、映像、SNS、国際文化など、多様な関心を掛け合わせながら、独自の視点で世界を見つめ、発信・行動しています。 旅先で出会う町の空気や育つ植物の静かなエネルギー、ライブハウスで鳴る音や誰かと語る政治の話、紙の手ざわりとその背景にある文化や思想。 音楽を軸に、環境や社会課題、政治、国際文化について考え、SNSを活用して小さな問いかけを拡げ、伝統的な紙の文化を現代の感性で再編集する。 ジャンルを横断しながら「想いを伝える」「ひととひと、テーマとテーマ」をつなぎ、アイデアを生み出し、かたちにして、自分のペースで探求と発信、活動を続けています。

  1. Korean Indie Band Narotic Releases 2nd Album AT LAST: “This story is set in a post-apocalyptic world.”|INTERVIEW #57

  2. 인디 밴드 Narotic, 정규 2집 [AT LAST] 발매 “이야기의 배경은 문명이 붕괴된 포스트아포칼립스 세계”|INTERVIEW #56

  3. Narotic『AT LAST』発売記念インタビュー「この物語の舞台は終末後の世界です」|INTERVIEW #54

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