韓国インディ音楽シーンの「今」がわかるチャート「K-INDIE チャート」。Vol.320(2026年6月11日〜6月25日分)をご紹介。SSW アン・イェウン、ABTB、Doorlesshouseらの注目作が多数ランクイン。
K-INDIEチャート Vol.320

Editor’s Picks
1位|Ahn Ye Eun(アン・イェウン)『I don’t think it’s THAT bad』
今回のチャートのトップを飾ったのは、デビュー10周年を迎えた実力派シンガーソングライター アン・イェウン(Ahn Ye Eun/안예은)の5thフルアルバム『I don’t think it’s THAT bad(그렇게 나쁘진 않을걸/直訳:そんなに悪くはないはず)』。伝統音楽と現代音楽の融合を通して既存のカテゴリーに収まらない独特の世界観を創り出してきた彼女が、全曲の作詞・作曲を手掛けた計17曲収録の2枚組アルバム。彼女が追求する「音楽の物語化」を体現するかのように、ファンに愛された既存曲の再録音(セルフカバー)、新曲を贅沢に配列し、自身が歩んできた10年の軌跡を詰め込んだ。人生は耐えることの連続だが、酷く悪いわけではないかもしれないーー。そんなリスナーへの温かい応援が込められた本作。本人をして「これまでのアルバムの中で最も躍動的で激しい」と言わしめる、渾身の作品となっている。なお、アン・イェウンは2024年に初来日コンサートを開催。そのときのインタビューやライブレポが公開されているため、あわせてチェックを。
6位|Doorlesshouse『MIRAE COMPLEX』
Doorlesshouse(문없는집)は、2018年に大学のサークルで出会ったソン・ヒョジン(Vo/Gt)とキム・ミンシク(Gt)が学校のフェスティバル出演のために結成したプロジェクトを起点とする4人組インディバンド。門がなくぽっかりと開いた空間のように「誰でも出入りでき、何かに閉じ込められることなく境界のない音楽をする」という意味がバンド名に込められている。翌2019年にシングル『Happyhappyhappylife』で本格デビューを果たし、メンバーの軍服役やパンデミックを経験しながら複数のEPをリリース。しばらくの活動休止期間を経た彼らは、2025年9月に『MIRAE COMPLEX Pt. 1』を発表して復帰。翌2026年5月に『Pt. 2』をリリースし、同年6月、これらすべてを網羅した初の2枚組フルアルバム(CD)を完成させた。本作は、SF的想像力を軸に記憶と時間を探求した壮大なコンセプト作。パッケージは「時間旅行者のためのキット」を模しており、糸綴じの歌詞集などが同梱されている。眠りを通じて過去を旅する『Pt. 1』のノスタルジックな感傷は、『Pt. 2』における時間のバグや喪失の受容、そして再生への祈りへと地続きで繋がっていく。インディポップ、ドリームポップの枠組みを超え、独自の温かいファンタジーへと昇華された本作は、時間の重さに立ちすくむ現代人にそっと救いの手を差し伸べる。
Newcomer List
- Ahn Ye Eun『I don’t think it’s THAT bad』
- ABTB『RAWTIDE』
- Doorlesshouse『MIRAE COMPLEX』

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