新進気鋭の韓国ミュージックを国内に紹介するレーベル〈Bside〉が、韓国音楽シーンを盛り上げているアーティストの既発曲からセレクトし、バイナルカットするプロジェクト『Bside K-Indies Series B333』。その第9弾が、3月5日(水)にリリースされた。今回は「ラウド系バンド特集」として、Snake Chicken Soup(スネークチキンスープ)、bongjeingan(ボンジェインガン)、Wah Wah Wah(ワワワ)が取り上げられた。リリースを記念し、3組のインタビュー記事を公開していく。

3組目は、bongjeingan。ジャンルに縛られず、自由な音楽を追求するオルタナティブ・ロックバンドだ。メンバーは、チ・ユネ(ボーカル/ベース)、イム・ヒョンジェ(ギター)、チョン・イルジュン(ドラム)の3人。「Sultan of the Disco」「HYUKOH」「チャン・ギハと顔たち」 としてではなく、bongjeinganとして集まった3人は、これまでにない音楽とスタイルで、その領域を果敢に広げ続けている。

2022年のデビュー以来、彼らは唯一無二のサウンドと大胆なアプローチでシーンに衝撃を与えてきた。1st フルアルバム『12 Languages(12가지 말들)』は2024年韓国大衆音楽賞・最優秀ロックアルバム部門にノミネート。同年7月には『フジロックフェスティバル ‘24』に出演し、日本のリスナーを魅了した。さらに今回、7インチレコードがリリースとなり、3月には結成以来初となる韓国での単独公演も決定している。
そんな彼らに、メンバー同士の関係性やこれまでの来日公演の感想、そして、今回のレコード発売に込めた想いを語ってもらった。
企画/Bside
取材・文/kixxikim
編集・翻訳/AKARI(BUZZY ROOTS)
—— いつの間にか2025年ですね。bongjeinganにとって、また個人にとって、2024年はどんな年として記憶に残っていますか?
チ・ユネ(以下、ユネ):あったっけ...?
チョン・イルジュン(以下、イルジュン):クローン人間を作りたい......
イム・ヒョンジェ(以下、ヒョンジェ):2025年のための踏み台!
—— 「bongjeingan」という名前を初めて聞く日本のリスナーのために、どのようなバンドか簡単に紹介していただけますか?
bongjeingan:僕たちは2022年から “bongjeingan” という名前で活動をスタートしました。新型コロナウイルスの影響でライブシーンが沈滞していた中、自然と集まるようになり、一緒に演奏し曲を作るうちにすべてが始まりました。3人で好きな音を思い切り鳴らし、それをうまく編み上げて、皆さんに届けるバンドです。

—— 日本では2回のライブを行いましたね。2024年のフジロック、そして青山月見ル君想フでのクラブ公演。それぞれ異なる形での楽しさや達成感があったと思いますが、それぞれの公演についての思い出や裏話を聞かせてください。
ユネ:初めてだったのに、初めてじゃないような感じでした。もっと頻繁にライブをしに行きたいと思いました。
イルジュン:振り返ってみると、楽しい思い出ですね。もう少し余裕を持てていたら、もっと楽しめたのになという心残りもあります。だから、次に行くときはもっと楽しみたいと思います。
ヒョンジェ:どちらの公演も、それぞれに気持ちの良いポイントがありました。でも、会場の違いを超えて、日本のファンの皆さんが真剣に耳を傾けてくれる姿勢が共通していて、演奏する側として「もっと良いライブをしなければ」と思わせてくれました。

bongjeingan #FUJIROCKFESTIVAL2024 pic.twitter.com/OPdVEU7ANX
— BiKN shibuya (@BiKNshibuya) July 28, 2024

—— 何よりも、音楽を通じてお互いを癒すために3人が集まったという話が印象的でした。お互いに、残りの2人からどんな癒しを受けたと思いますか?(笑) 抽象的な答えでも大丈夫です。
ユネ:良い人がそばにいると、良いエネルギーをもらえるじゃないですか? 2人から学ぶことが多いです。
イルジュン: 癒しを求めるせいで、かえってもっと痛みを感じることもありますよ。でも、こういう言葉がありますよね?「傷跡はもっと大きな傷で消える」って…冗談です、ワハハ!
ヒョンジェ:笑うことが増えました。ハハハ
—— ユネさんは最近のインタビューで、ソロアルバムを準備中だとおっしゃっていましたね。日本のリスナーのために、新しいアルバムについて少しヒントをいただけますか?
ユネ:Maya Ongakuの池田抄英くん(Key./Sax)と何度か会って一緒に制作しました。まだ作業の真っ最中なので、ヒントをお伝えするのは難しいですね。
—— 何よりも、bongjeinganの音楽は誰にも代えがたい、3人が集まらなければ生まれなかった音楽だと思います。それぞれ個々の活動で忙しい中でも、バンドとしてのチームワークを維持する秘訣は何でしょうか?
ユネ:一番上の兄貴として、弟たちの言葉をよく聞くのが重要ですね。
イルジュン:二番目の僕としては、兄さんと弟の言うことをよく聞かないといけません。
ヒョンジェ:一番下の僕としては、兄さんたちの言うことをよく聞かないといけません。
—— 今回、Bsideとの『K-Indies Series B333』を通じて『GAEKKUM』と『Know You Did』を選び、7インチレコードとして収録・発売されることになりました。それぞれどんな楽曲なのか簡単に紹介をお願いします。また、この2曲のシナジーが7インチレコードとしてどのように発揮されると思うか、感想や期待を聞かせてください。
イルジュン:どちらの曲もデジタルシングルとしてリリースされていて、これまでのbongjeinganの音楽のスタイルをよく表している曲だと思います。今回こうしてまとめてリリースすることで、今後さらに幅広いジャンルへ進むための足がかりになるのではないかと期待しています。
—— 3月23日に単独公演を予定されていますね。ライブの簡単な紹介と、特に楽しみにしているポイントを教えてください。
イルジュン:いつもそうですが、今回もさらに楽しく、後悔のないように努力しています!来てくださる皆さんがどんなふうに楽しんでくれるのか、とても楽しみです!
ヒョンジェ:バンドを結成して初めての単独公演なんです。ライブに関する大きな決定から小さなことまで、バンドメンバー、会社、そして協力してくださる方々みんなで一つの目標に向かって努力して作り上げています。きっと楽しいライブになりますよ!
—— 以前のインタビューで、「うるさくてメタルっぽい、悪い音楽をやりたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。結成以来、bongjeinganは今もその“悪い心”を持ち続けていますか?(笑)
ユネ:優しい心を持とうと努力しています。でも、悪い心はもう根底に染みついているんですよ。豚骨ラーメンでいう豚骨のようなものです。
イルジュン:「性悪説」というものがありますよね? 完全に信じているわけではありませんが、間違ってもいない気がします。基本、心の奥深くにずっとあるものなんじゃないかと。切っても切り離せない…。
ヒョンジェ:悪い心がなくなると人生がつまらなくなるし、多すぎるとしんどくなるんですよね。だから、ほどよく維持するようにしています。
—— いよいよ最後の質問です。2025年のbongjeinganの計画、そして7インチレコードを手にする日本のファンへ、一言メッセージをお願いします。
ユネ:今回リリースするレコードは、デジタル音源とはマスタリングが大きく違うので、また別の感覚で楽しめると思います。かなり違いがあるんですよ! ぜひ楽しんで聴いていただいて、また近いうちにお会いできたら嬉しいです。
イルジュン:これからもっと面白いbongjeinganとして皆さんに会いに行きます。ありがとうございます。
ヒョンジェ:7インチより大きなレコードも絶対に出します! よろしくお願いします!
リリース情報
bongjeingan『GAEKKUM / Know You Did』

Release Date:2025.3.5 (Wed.)
Format : Analog 7inch Vinyl
Label : Bside / Lawson Entertainment, Inc.
Cat.No.:HR7S328
Price:¥2,640 (tax incl.)
Tracklist:
A1. GAEKKUM
B1. Know You Did
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