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【Glen Check】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #24

2022-04-09

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【Glen Check】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #24

2022-04-09

新進気鋭の韓国ミュージックを国内に紹介するレーベル〈Bside〉が、韓国音楽シーンを盛り上げているアーティストの既発曲からセレクトし、バイナルカットするプロジェクト「Bside K-Indies Series」の第6弾が3月30日(水)にリリースされた。今回は「ポストロックバンド特集」として韓国で名を馳せる実力派バンドのSilica Gel(シリカゲル)、Glen Check(グレンチェック)、Band Nah(ナサンヒョンシバンド)が取り上げられた。

BUZZY ROOTSでは、リリースを記念し3組のインタビュー記事を公開していく。


「アーティストのアーティスト」「フェスに呼びたいアーティスト」と呼ばれ、様々な分野のアーティストや業界関係者、音楽ファンから熱い視線を浴びる、近年の韓国音楽シーンで最も勢いのあるデュオ・Glen Check。

左からカン・ヒョクジュン (Syn.&Ba.) / キム・ジュンウォン(Vo.&Gt.)

        

2011年にEP『Disco Elevator』でデビューし、翌年リリースされた1stアルバム『Haute Couture』と2ndアルバム『YOUTH!』が連続で“韓国のグラミー賞”と呼ばれる《韓国大衆音楽賞》で受賞、音楽的実力を証明した。その後も型にはまらず自分たちの色を追求した実験的な音楽を展開し続けるほか、クラブでのDJ活動も行ったりと他のミュージシャンとは異なる道を歩んでいる。2012年と2013年には“SUMMER SONIC”に、2014年にはSXSWに出演し、デビューから数年で海外フェスからのラブコールを受けるなど早くから音楽活動は国内外にわたっている。

先月『YOUTH!』から9年ぶりとなる3rdアルバム『Bleach』を発売した。その間、兵役と個人活動のほか事務所の移籍など多くの出来事を経て「漂白する」というタイトルでリリースした今作は、初期の特徴であったシンセサイザーが響くシティポップ的要素がありながらも、ベースミュージックやドリームポップ、ヒップホップやR&Bなど多様なサウンドでさらなるGlen Checkの成長を感じる作品となっている。そして3月30日には今作の収録曲から日本でバイナルカットされ、レーベル《Bside》から発売された。

そんなGlen Checkにメールインタビューを敢行。海外の音楽に触れてきた2人の幼少時代から結成までの音楽遍歴、音楽やアートワーク制作についての話、そして「Dazed & Confused」 「Dive Baby, Dive」のレコード発売についての現在の心境についても訊いた。


「高校の寮でアコギを弾きながら遊んでいた時代の延長」ーー結成までの音楽遍歴

ーー読者の皆さんへご挨拶をお願いいたします。 

キム・ジュンウォン:こんにちは! Glen Checkのキム・ジュンウォンです。

カン・ヒョクジュン:こんにちは! Glen Checkでキーボードとベースを担当しているカン・ヒョクジュンです。よろしくお願いします!

             

ーーまず、Glen Checkの音楽的なルーツやバックグラウンドについて聞かせてください。最初に音楽に興味を持ったのはいつ頃、どんなことがきっかけにあったのでしょうか?

キム・ジュンウォン:幼い頃から父の影響で音楽にたくさん触れてきました。両親と一緒に車でヨーロッパ旅行をするときに、毎回父がプレイリストを作って車で流してくれました。Pink Floydのアルバム『Wish You Were Here』に収録されている「Shine On You Crazy Diamond」を聴いて、“アルバムを作ってみたい”という漠然とした想いを抱いたのが、音楽を作ることに対する興味を抱いたきっかけになったんだと思います。

                

カン・ヒョクジュン:音楽は幼い頃からずっと好きでした。小学校時代はアメリカで過ごしたのですが、父が好きだったDON McLEANの音楽を車でよく聴いていた記憶があります。初めて習った楽器は、小学校のオーケストラで演奏したサックスで、その後はギターやピアノ、ベースを練習していました。

                      

ーーお二人は同じ高校のバンド部に所属していたそうですが、その時はどのような音楽をやっていたのでしょうか? カバーしていた楽曲やアーティストについてお聞かせください。

キム・ジュンウォン:覚えているのは、その当時もいろんな音楽が好きであれこれやっていたということです。Radioheadから始まり、Finchのようなポスト・ハードコアのバンドもたくさんカバーしてましたし、Elliot Smithのようなフォークもたくさんカバーしてました。

                 

カン・ヒョクジュン:高校生の時に二人ともEmo phaseを好きになった時期があったり、Finchの「Letters To You」、The Usedの「Taste Of Ink」のような曲も好きでたくさん練習していました。今もとても好きなグループで、いつかオフィシャルでカバーしてみたいと思っています!

                

ーー二人で音楽活動を始めようと思ったきっかけについて教えてください。

キム・ジュンウォン:とても自然な流れでした。僕は地方からソウルに上京し一人で過ごしていたので、頼れる友達がヒョクジュンしかいませんでした。高校時代を思い出し自然と音楽を趣味として始めるようになり、それが段々と真面目なものへと発展していきました。

 カン・ヒョクジュン:二人とも音楽が専攻ではなく趣味だったので、これといったきっかけはなく自然と一緒に音楽活動をするようになりました。でもむしろ、だからこそずっと楽しいんだと思います。音楽活動をしていると辛い時もありますが、高校の寮で二人でアコギを弾きながら遊んでいた時代の延長だと思うこともあり、これまで楽しく生きられているなと思っています。

              

「プロセスが特に決められていないというのが僕達の長所」ーー制作、パフォーマンスについて

ーー楽曲制作はどのようなプロセスで行われるのでしょうか? また、コンセプトを組むことや曲を作っていく作業は、最初から二人で進めていくのでしょうか?

キム・ジュンウォン:何をしなければいけないのかはっきりするまでは、レコーディングがうまくいかない方だと思います。音楽をレコーティングして編集する前に、アイデアのシェアはかなり時間をかけて行います。写真や映画、絵などアイデアになり得るものはよくシェアしてストックしていってます。毎回新しい気持ちで制作をしたいので、作曲やレコーディングの方法を決めないほうです。プロセスが特に決められていないというのが僕達の長所だと思います。

カン・ジョクジュン:曲ごとに異なりますが、お互いにどんな曲を作りたいかについてたくさん話をするほうだと思います。二人の好みが似ているからなのか、不思議なことに想像していたイメージが似ていることが多いです。アイデアが溜まったら実質的な制作に進みますが、集まってレコーディングをする時もあれば、ファイルの共有でサウンドをやりとりしながら制作する時もあります。

            

ーーアートワークや映像制作など音楽以外の分野に関してはどのように進めていくのでしょうか?

キム・ジュンウォン:毎回、レコーディングする前の段階で映像やアルバムカバーのアイデアがまとまります。そのため曲が完成した後に、僕達がイメージする完成形を実現してくれる人を探したり、直接一緒に作業したりします。今はクリエイティブディレクターのJeffery Jinがこの作業を素晴らしくこなしてくれています。

カン・ヒョクジュン:ビジュアルワークを直接手がけることはないですが、依頼して任せっきりではなく、どんなイメージを望んでいるのか決めてから、それを作ってくれるアーティストやチームを探します。バンドを始めた頃から、アルバムカバーやライブ映像やMVなど、視覚的要素を大切にしてきたのでこだわっています。最近は、僕達も映像編集や撮影を勉強しているので、今後直接やってみたいという思いもあります。

               

ーー“SXSW”や“SUMMER SONIC”など海外公演も経験されていますが観客やバックステージなど印象的だったエピソードについて聞かせてください。

キム・ジュンウォン:海外公演は良い思い出が多いです。二人とも自宅で曲制作をするためあまり外出はしないほうなのですが、遠い海外に公演をしに行き、僕達の曲を口ずさんでくれたり、新たに好きになってくれる人たちを見るといつも不思議で嬉しいです。

カン・ヒョクジュン:海外公演はいつも新鮮で楽しいことがたくさんある感じがします。日本の“SUMMER SONIC”で演奏をしたとき、ピカチュウのコスプレで来たお客さんがいたのですが、とても楽しんでもらえて、公演をしている僕らも楽しくなりましたね。

                  

「この2曲を作りながら、心の“ブリーチ”の過程を経験しました」ーー収録曲について

ーー今月3rdアルバム『Bleach』が発売されました。2ndアルバムから3rdアルバム発売までの9年間、様々な出来事がありましたが、アルバムが世に出た今どのような心境でしょうか?

キム・ジュンウォン:ミュージシャンとして生きてきて、一番スカッとしているって感じです。本当に新しい人生を始めるような気持ちになりました。これからがもっと楽しみになるいいきっかけになりました。

カン・ヒョクジュン:長い休止期間があったからこそ、アルバムを発売することができてスッキリしています。休止期間の様々な出来事を乗り越えて、これからはブランクなくコツコツと活動を続けていく予定なのでとても楽しみです!

                 

ーーこれまでのアルバムではリファレンスに80-90年代の海外アーティストの音楽を挙げられていましたが、『Bleach』制作時はどのような音楽をリファレンスにしたのでしょうか?

90年代から2000年代のロックサウンド(オルタナティブ・ロック、シューゲイザー等)や様々なアンダーグラウンド・エレクトロニックサウンド(テクノ、UKガレージ等)、ブレイクビーツ、最近流行のPOPやR&B / Hiphop、ドリームポップなどとても多いです。ジャンルの壁が見えないアルバムが作れたと思います。

                 

ーーNFTアートの販売は音楽業界ではまだ珍しく感じますが、取り組んだきっかけについて気になります。

キム・ジュンウォン:『Bleach』の重要なメッセージを簡単で効果的に表現する方法を探していたなかで、アルバムのカバーに登場するキャラクターをデザインすることに至りました。NFTを見据えてキャラクターのデザインをしたのではないのです。Velvet UndergroundとAndy Warlholのバナナのアルバムや、Gorillazのアルバムカバーを見ながら、重要な被写体がど真ん中に配置されるアルバムを作りたいというきっかけでデザインをしたものなんですが、ちょうど事務所からNFT販売の提案を受けて、全てが自然と繋がっていきました。

カン・ヒョクジュン:コロナ禍の中でデジタル上でファンとコミュニケーションができる方法を色々と探していて、NFT販売という方法を考えるようになりました。これからNFTが音楽界に与える影響が大きくなると思います。まだ僕達は、自分たちの世界観をファンの方々とシェアできる方法の一つとして利用していますが、これからブロックチェーンの技術はアート界の全域に大きな変化をもたらすだろうと考えています。

                  

ーー「Dazed & Confused」「Dive Baby, Dive」は昨年先行して公開されたこともあり、『Bleach』の中で高い注目を集めた楽曲だと思います。この2曲はアルバムを見据えて制作されたのか気になりました。制作経緯について各曲教えてください。

キム・ジュンウォン:2曲ともアルバム制作で悩んだ末に生まれた作品です。アイデアがなかなか生まれず悩みに悩んでいたところ、突然思い浮かび曲制作をしたのですが、それをきっかけにアルバムの他の曲までアイデアが一気に湧いてきました。複雑な考えをなくし、重い荷物のような思考はやめて制作をしたときに美しい作品ができるということを感じるきっかけとなりました。

カン・ヒョクジュン:2曲が発売された時点ですでにアルバムの他の曲も完成していました。「Dazed & Confused」は既存のGlen Checkのイメージに一番近い曲で、「Dive Baby, Dive」はこれまでお見せしてきたものと一番異なるイメージなので、2曲を先行公開することにしました。僕達は常に多様な音楽を作っていたいので、今回のアルバムもやはり多様な色をお見せすることが目標のうちの一つでした。

              

ーー日本で「Dazed & Confused」 「Dive Baby, Dive」がレコードでリリースされることについて率直な感想をお聞かせください。そして今回のレコードを手にした日本の方に向けて、メッセージをお願いします。

キム・ジュンウォン:韓国でも日本でも、若者の悩みは似ているものと思います。これからの人生に対する心配、未来が不確実であることに対する怖さ、自信のなさとか……僕達も同じように経験してますし、いつも乗り越えようとしている平凡な人間です。この2曲を作りながら、僕達は未来に対する希望を見出しましたし、重かった心を軽くする、心の“ブリーチ”の過程を経験しました。怖がらないでください! きっと大丈夫です!

カン・ヒョクジュン:日本にコンサートや旅行で行く度にいつも楽しい思い出ばかりできるので、今回日本で特別版として2曲を発売することとなりとても嬉しいです。フルアルバムのレコードを出してみたかったのですが、シングルとしてでも日本で発売できてよかったですし、むしろ嬉しいと思っています。楽しんで聴いてほしいですし、近いうちに日本でお会いできる日が来ればいいなと思います。


BUZZYROOTSでは、Bside K-indie Seriesの情報を他にもたくさん掲載中。ぜひチェックしてください!

協力・監修:Bside Label

 

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  • この記事を書いた人

Izumi

韓国ミュージックライター。他業界とパラレルワークで活動中。ドラマ、音楽をはじめ韓国エンタメ愛好歴は10年以上になるが、ライターとしてはまだ5年目。 韓国留学を機にインディシーンの虜に。 自由な表現でアイデンティティを発信している新進気鋭のアーティストを広めるべく、業界人やアーティスト等にインタビューし記事を掲載するほか、プロモーション記事企画や映像企画を実現。 近年ではアジアのミュージシャンに活動の範囲を広げ、多岐にわたり活動している。

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