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【Band Nah】7インチレコード発売記念インタビュー | INTERVIEW #23

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【Band Nah】7インチレコード発売記念インタビュー | INTERVIEW #23

新進気鋭の韓国ミュージックを国内に紹介するレーベル〈Bside〉が、韓国音楽シーンを盛り上げているアーティストの既発曲からセレクトし、バイナルカットするプロジェクト「Bside K-Indies Series」の第6弾が3月30日(水)にリリースされた。今回は「ポストロックバンド特集」として韓国で名を馳せる実力派バンドのSilica Gel(シリカゲル)、Glen Check(グレンチェック)、Band Nah(ナサンヒョンシバンド)が取り上げられた。

BUZZY ROOTSでは、リリースを記念し3組のインタビュー記事を公開していく。


インディーポップ、モダンロック、サイケデリック等様々なサウンドを駆使したトレンディでありながらもレトロな音楽、そして日常をテーマに自身の体験や感情をストレートに伝える歌詞が多くの共感を呼んでいる、韓国バンドシーンのニューウェーブ・Band Nah(ナサンヒョンシバンド)。

左からペク・スンリョル (Ba.) / ナ・サンヒョン(Vo.&Gt.)/ カン・ヒョヌン(Dr.)

        

日本語で「ナ・サンヒョンさんバンド」というユニークなバンド名を掲げ活動する彼らは、ボーカルのナ・サンヒョンをフロントマンに、ソロミュージシャンとしても活躍をみせるペク・スンリョル(ソロ活動時はPAIIEK)、デザイン会社に勤める開発者としての顔も持つカン・ヒョヌンの個性豊かな3人によって2014年に結成。これまでに40曲以上を発表するなど精力的に創作活動を行い、様々な賞レースで輝かしい成績を収めている。人気音楽番組『ユ・ヒヨルのスケッチブック』への出演や、配信サービスを通じ国内外で反響を得ている人気ドラマ『ユミの細胞たち』(2021)や『賢い医師生活1・2』(2020・2021)で楽曲が起用されたことで広く知られるようになり、昨年の単独コンサートのチケットはオープンするやいなや売切れとなった。先日、イギリスのメディアに取り上げられたりと、既に海外の耳早リスナーからも関心を集めている。

そんなBand Nahにメールインタビューを敢行。大学在学中から長年一緒に音楽活動を行ってきた3人の、仲の良さが窺えるバンドの話を聞かせてもらったほか、「Summer Days」「Are You There?」のレコード発売について現在の心境についても訊いた。


Led Zeppelin、Weezer、THE 1975 ーーロックに導かれた少年時代

ーー読者の皆さんへご挨拶をお願いいたします。

こんにちは! 僕たちは3人組インディーズロックバンド・Band Nahです!

      

ーーまずは、Band Nahの音楽的なルーツやバックグラウンドについてお聞かせください。最初に音楽に興味を持った時の出来事、そして影響を受けた楽曲やアーティストについて教えてください。

サンヒョン:父がバンド音楽が好きで、幼いころからLed ZeppelinやDeep Purpleのようなハードロック・バンドをたくさん聴きながら育ちました。中学生の頃初めてベースを演奏し始め、自然とバンドをやりたいと思うようになり、大学で今のメンバーに出会い結局バンドを始めました。個人的にWeezerの音楽がとても好きなのですが、かっこつけることなく淡白でありながらもウィットに富んでいて、彼らの"色"を見せてくれるところがとても好きです。

         

スンリョル:僕は最初にRed Hot Chili PeppersのベーシストであるFleaの影響を大きく受けました。高校生のころ軽音部に入るため、一生懸命「Coffee Shop」のベース・ソロを練習した記憶があります。そこからエレクトロニック、ヒップホップ、メタル等色々なジャンルの音楽を分け隔てなく聴いていました。大人になってからは、THE 1975が僕の人生になったと言っても過言ではありません。それから本格的にオーディオやサウンドのことを勉強・研究し始め、現在はサウンド自体に集中した制作をしています。

            

ヒョヌン:ピアノ教室に多くの子が通うように、小学生の頃両親がドラムのレッスンを受けてみないかと提案してくれて、気付くとドラムを習っていました。ドラムのレッスンを始めた頃、映画『School of Rock』(2003)をレンタルビデオ屋で借りて観ました。Jack Blackは映画の中の学生だけでなく僕にもロックを聴かせるよう導くことに成功し、貯めたお小遣いでLed Zeppelinのアルバムを買って聴いていました。

                  

「Band Nahとして、3人でサンヒョンの音楽をする」ーー結成とこれまでの歩み、そしてこれから

ーーどのようにバンドが結成されたのでしょうか?

ヒョヌン:僕が大学の作曲サークルで部長をしていたのですが、他のメンバーから「新メンバーの子の自作曲が半端じゃない」と、サンヒョンの曲「늦은 새벽(遅い夜明け)」と「휘청휘청(ふらふら)」のリンクを送ってくれました。「この曲なら文化祭の予選を通過できる」と思ってサンヒョンに一緒にバンドを組まないかと提案し、チームを組みました。

サンヒョン:大学時代、自宅で曲を書いていた時、ヒョヌンからバンド結成について連絡をもらいました。「文化祭に出る」という目標だけのプロジェクトチームとしてまず始まったのですが、その後、ライブやアルバム発売等良い機会が続いて今になります。

Sanghyun Nah - 「휘청휘청(ふらふら)」

           

ーーバンド名の通り、サンヒョンさんがメインで楽曲を制作されているそうですが、制作は一人で進行することが多いのでしょうか? 創作のアイデアなど、制作期間にメンバーとはどれぐらいコミュニケーションを取りますか?

サンヒョン:ほどんど曲の制作は一人で進めることが多いです。作詞、作曲、レコーディング、編曲を大まかに終え、メンバーとデモを共有した後、意見をまとめディテールを修正する方向で進めます。曲作りの真っ最中の時も、創作のアイデアをもらうためにメンバーに連絡をするというより、僕が悩んでいる部分や作っておいたスケッチを聴いてもらいながら、若干の労い(?)と方向性についてフィードバックをもらっている感じです。

スンリョル:サンヒョンがほとんど制作をして、ヒョヌンがドラムを修正した後、僕は音源の後半の作業であるミキシングとマスタリングの作業を行うのですが、制作中はフィードバックをメンバーにお願いして修正しています。早朝に連絡したり、みんなをすごく困らせてしまう時もあったりするので申し訳ないです。

ーーBand Nahとして交流のある・親しい間柄の同世代のアーティストについて教えてください。

87dance、Doorlesshouse、Ha Beomseok、TERIM、Faver、Kang Won Woo、Nerd Connection、LAYBRICS、TAEWOOですね。

         

ーー音楽制作以外にも、アートワークデザインや映像制作、YouTubeやSNSでの発信もバンドで行っているほか、ソロ活動と並行しているメンバーもいたりと多岐にわたり活動されていますが、その中でバンドとしてチームワークを保っていく秘訣は何でしょうか?

サンヒョン:それぞれが担当している業務に責任感を持っていること、そしてメンバーを信頼することが秘訣じゃないですかね。実は活動をしながらお互いに神経質になってしまう部分もありますが、その都度お互いきちんと会話をして、解決方法を探してきた気がします。むしろ音楽以外の色んな活動をしながら、共同の仕事をこなす能力とチームワークが固まった感じです。

スンリョル:ソロ活動や他のグループの活動の場合、僕は別の活動だと考えて臨んでいます。Band Nahとしてサンヒョンとヒョヌンと僕で、僕が好きなサンヒョンの音楽をするものだとすれば、ソロ活動では僕が追求し、他のグループの仲間と追及するまた別の自我をオーディオとビジュアルで表現していく空間であるため、両方のグループに対して全く問題にならないと思います。スケジュールの面でも、お互いに理解して活動をしているので、ソロ活動によって一度も不仲や意見の衝突は無かったと思います。

          

ヒョヌン:まず大学の頃からいつの間にか8年も活動をしているので、バンドの同僚を超えただの友達としても仲が良いことが秘訣じゃないかと思います。それと僕たちは小さなこと一つを決めるときにも十分に話し合いをする方なんですが、意見の違いがある時は逃げるのではなく、最前の結果を出すため適度に、健康的にぶつかる方法を身に付けたことも自慢したいことのうちの一つです。

             

ーーコロナによる社会変化はバンド活動に影響がありましたか?

サンヒョン:公演でのマスク着用や声出し禁止の条件ができたこともあり、公演でお客さんとのやり取りが難しくなったという点があります。公演の機会自体がかなり減り、代わりに制作の時間が増えより多くの音楽の制作をするようになりましたね。

スンリョル:以前とは違い、もちろんみんなと共にする公演の機会が減りはしましたが、バンド的にはよりクオリティの高い音源の制作に集中し、お見せできる機会になったと思います。

ーーイギリスのメディアから取材を受けた動画を見ました! 他にもArirang TVの出演など、今後自分たちの音楽を海外に発信する機会が増えていくと思います。海外での活動について今どのように考えていますか?

スンリョル:〈Bside〉のような海外のメディアが僕たちを見つけてくれたことには感謝ばかりで、活発な海外活動はいつも夢見ています。特に今回の場合、デジタル音源ではないフィジカル、特にレコードを海外で発売したという点で新しい道しるべになりそうです。これからは海外のミュージシャンと会い交流したり、海外のファンに公演で直接会う機会が増えることを祈っています。個人的にはイギリスの“Reading Festival”、日本の“Summer Sonic”のようなフェスにも是非出てみたいです。

サンヒョン:僕もやはり海外活動をとても夢見ています。海外のフェスに出演するのはもちろん、海外でのライブツアーも是非してみたいという気持ちです。これからも海外にBand Nahを紹介できる機会を通し、様々なリスナーたちに寄り添いたいです。

                   

「バケットリストのうちの一つ」ーー収録曲、レコード発売への思い

ーーここからは、[Bside K-indies Series Vol.6]の収録曲についてお聞きします。「Summer Days」について、まずこの曲はEPで発売され、その後リリースされた2ndアルバム『2021』に収録されました。初めからアルバムを見据えて制作されたのでしょうか?

サンヒョン:2作目となるフルアルバムは、「2021年の全てを集結させた記録」として企画していたので、「Summer Days」も2021年夏の記録として制作をしました。夏を感じさせるバンド・サウンドと、もっと自由だった過去の記憶を思い出させる内容を込めたのですが、やはり制作当時にはフェスのようにみんなで弾けられる曲を作りたいという思いが一番強かったように思います。

              

ーー「Summer Days」のMVはサンヒョンさんが制作されたそうですね! 撮影や編集時の印象に残っているエピソードはありますか?

サンヒョン:僕は頭の中で画面を全て構成して撮影に臨んだのですが、いざ撮影に入ってみるとメンバーはどんな絵コンテかを知らなかったので、どんな状況かも良く分かっていないまま演技をしていた状況が思い出されます。そうして完成した若干ぎこちない演技が、全体の雰囲気とよりよく合っている感じがしてとても満足しています。

ヒョヌン:本当に暑い日に日よけもない屋上で撮影をしたのですが、今考えてみるとCGのためにグリーンバックを使ったのに、なんでわざわざ外で撮影したんだろうと思います。それと“サンヒョン監督”に「巨人の手の平にいると思ってよろけてみて」などの指示を受けながら撮影したのですが、ヒーロー映画に出るすべての俳優たちを本当に尊敬するようになりました。

スンリョル:暑くて死にそうだったという記憶だけです……

             

ーー「Are You There?」について、真っ直ぐで心に響く歌詞に惹き込まれました。歌詞に込めたメッセージについてお聞かせください。

サンヒョン:実は一日一日生きていきながら、僕の思い通りになることよりも思い通りにならないことが多いなと思ったんです。僕の思う理想の世界と、今の僕が生きる世界がかなり違うような気もして……そしてふと、僕だけじゃなくてみんなそうやって生きているんじゃないかと思ったんです。みんな来ることのない自分だけの世界を描きながら、現実にぽつんと置かれているみたいだと思ったのと、それなら、悲しいけどお互いに見つめ合い一緒に居られたら、僕たちみんな少しはマシになるんじゃないかという気持ちをそのまま歌詞に込めました。僕らみんなファイティン!

           

ーードラマ『賢い医師生活2』で起用された経緯と、今の率直な感想をお聞かせください。

サンヒョン:『賢い医師生活1』のティーザー映像にも僕たちの「Nights」が使われたので、ただ漠然と今回も使われたら良いなと思っていたのですが、本当に使われたのでとても嬉しかったです。単純に僕たちの曲が使われたことも嬉しいことですが、曲が持つメッセージと感性がティーザーの内容とかなり良く合っているようで気分が良かったです。すでに何回も聴いた曲ではありますが、新鮮に感じられたのも不思議でした。

             

ー日本で「Summer Days」 「Are You There?」がレコードでリリースされることについて率直な感想をお聞かせください。そして今回のレコードを手にした日本の方に向けて、メッセージをお願いします。

サンヒョン:こうして良い機会を通して僕たちの初レコードを日本で発売できることになりとても光栄です。僕たちの音楽を好きでいてくださっている日本のファンの皆さん、そして新しく僕たちの音楽に触れることになる皆さん、本当にありがとうございます。今度必ず日本ツアーができるよう僕たちもコツコツと、一生懸命音楽を作っておきます。ありがとうございます!

ヒョヌン:僕たちの曲をレコードで発売することがバケットリストのうちの一つだったのですが、しかも海外のファンの皆様に聴いてもらえる機会まで一度にやってきたので夢のようです。日本でBand Nahを聴いてくださる全ての皆様に感謝し、もっともっと頑張って日本で必ずお会いできるようにします!

スンリョル:先ほども言ったように、海外でフィジカルでの発売やレコードの発売全て僕たちにとって初めての経験だったので、参加できてとても光栄でしたし、一緒に作ったコンテンツもとても楽しかったです。改めてお力をいただきありがとうございます。日本にいらっしゃる多くの方が僕たちのレコードを聴いて、Band Nahの音楽とメッセージを共有し合いながら楽しんでいただけたらという願いがあります。〈Bside〉のスタッフの皆さん、そして日本のファンの皆さん、やりたいことや、やらなければいけないことを全て無事に成し遂げて、何よりも健康に過ごしていただければと思います。ありがとうございました!

           


BUZZYROOTSでは、Bside K-indie Seriesの情報を他にもたくさん掲載中。ぜひチェックしてください!

協力・監修:Bside Label

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Izumi

韓国ミュージックライター。他業界とパラレルワークで活動中。ドラマ、音楽をはじめ韓国エンタメ愛好歴は10年以上になるが、ライターとしてはまだ4年目。 韓国留学を機にインディシーンの虜に。 自由な表現でアイデンティティを発信している新進気鋭のアーティストを広めるべく、業界人やアーティスト等にインタビューし記事を掲載するほか、プロモーション記事企画や映像企画を実現。 近年ではアジアのミュージシャンに活動の範囲を広げ、多岐にわたり活動している。

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