INTERVIEW

【Luli Lee】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #11

2020-11-16

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【Luli Lee】7インチレコード発売記念インタビュー|INTERVIEW #11

2020-11-16

新進気鋭の韓国ミュージックを国内に紹介するレーベル〈Bside〉。韓国音楽シーンを盛り上げているアーティストの既発曲からセレクトし、バイナルカットするプロジェクト「Bside K-Indies Series」の第3弾が11月3日 "レコードの日" にリリースされた。今回リリースされるアーティストは、女性シンガーソングライターのSummer Soul、Luli Lee、Yoon Jiyoung。

BUZZY ROOTSでは、3アーティストへのインタビューを順次公開。


  

第2弾として公開するアーティストはLuli Lee(イルリ)。

2011年Bye Bye Badmanの女性ベーシストとしてデビュー。2016年Seoulmoon、2017年イ・ソンギョン×イ・ルリプロジェクトを開き、多角的に活動してきた。

2018年に初のソロEP「Rise From The Ashes」を発表し高い評価を受ける。以後、シングルを発表し続け、韓国人気コスメブランド『HERA』のCMソング起用からNAVERオンステージのパフォーマンスまで、大衆性と音楽性の両軸から認められている。ブリティッシュ・ロックとシンセポップを巧妙に混ぜたドリーミーなサウンドと長いストレートヘアでベースを演奏する姿で人気を博している。

今回はそんな彼女にメールインタビューを敢行。現在のソロ活動のベースとなるバンド活動やロック音楽に対する思い、そして今回バイナルカットされる「Ashby Road」「Dive」の制作経緯について訊いた。

 

ありのままの “本能” を常に表現したい

ー自己紹介をお願いします。

こんにちは。ベーシストでシンガソングライターのイルリです。

ーコロナ禍はどのように過ごしていましたか。

家族との時間を以前より増やすようにしたり、作曲をしたりしながら過ごしています。

ー華奢な身体で大きなベースを持って低音をかき鳴らす姿がとても印象的です。2011年にバンド Bye Bye Badman のベーシストとしてデビューされていますが、人生で最初に手に取った楽器はベースだったのでしょうか。

最初に触った楽器は、5歳の時のピアノでした。中学校入学前まで、いつかクラシック音楽の作曲をしたいと思いひたすら練習していたのですが、中学校に入学し突然興味を失ってしまって。全くピアノをせず学生時代を過ごして、中学校を卒業する年に漫画「NANA」を読んで、バンドをしたいという気持ちが湧いたんです。ボーカルとして校内のバンド部で歌を始めたのですが、バンドのフロントマンが性格に合わず、心の中で楽器隊として参加したいという気持ちが強くなっていきました。「NANA」はビジュアル的にSex Pistols(イギリス・ロンドン出身のパンク・ロック・バンド)を連想させる作品で、当時Sex Pistolsにもハマっており、ベーシスト・Sid Viciousに惹かれ、ベースにより好感を持ちました。そうして、ベースは17歳から始めました。

ーなるほど、そこからベーシストとしてデビューを果たし今に至るのですね。デビュー時から、Bye Bye Badman、Seoulmoon、そしてご自身のソロプロジェクトと、これまで様々な形で音楽活動をされてきたと思います。それぞれ、どういった目的、モチベーションでプロジェクトに参加していたのでしょうか。

まず、Bye Bye Badmanでは、ベーシストとしてフロントマン、そしてバンド全体を照らすような役割をしたいと思っていました。自分のやりたい要素を取り入れるというよりも、バンドメンバーによって意見が異なる中で、お互いの考えに折り合いをつけながら楽曲を作り、楽しく音楽活動をしたいというのが私の考えでした。

Seoulmoonはベーシストとしてよりも、楽曲のプロデュースとミキシングを主導したいという思いがありました。Seoulmoonの楽曲の方向性としては、ポップスにロックの要素を込めようとしていました。ロック音楽をあまり聴かない人にも心地よく聴いてほしかったんですよね。

一方、ソロ活動の目的は、これまで私がバンド活動を通じて学んだことを活かし、私の人生や価値を楽曲により深く昇華させることです。ソロプロジェクトで生み出した音楽の数々は、 “私自身” とも言えます。

ーバンド活動とソロ活動。それぞれ感じる難しさや楽しさはありますか。

バンド活動で難しいのは、いくら同じ方向に進もうとしていても、手段やプロセスに対する考えがメンバーによって異なるので、お互い納得のいく方法を見つけながら進めていくのが非常に難しいと感じていました。その反面、バンド活動の最大の楽しみはその難しさを解決した瞬間でしたね。

ソロ活動では、これまでの音楽活動を通じて学んだことや自分の価値観を取り入れたいという気持ちが大きいせいか、自分自身を表現する上で何に重きを置くべきなのか長時間考えることが多くなってきているのですが、その考えるプロセス自体が難しいように感じます。自分について長い時間をかけて考えていると、音楽的にも人間的にも未熟だという事実に直面し、自分が不恰好に感じてとても辛かったりします。その点、バンド活動では、メンバーと一緒にいることで私個人の不足している部分が補完されているようで、やはり居心地がよかった気がします。ソロ活動で最大の幸せを感じる瞬間と言えば、私を見て私の音楽を良いと思ってくださる方々にお会いする瞬間です。

ーLuli Leeさんがこれまで参加された楽曲は、どれを聴いても一貫して透き通った幻想的なサウンドと、リスナーの背中を押すような前向きで力強いメッセージ性が印象的です。これまで影響を受けてきた好きなアーティストは誰ですか。

私の音楽性からは全く想像がつかずびっくりするかもしれませんが、個人的にAC/DCが好きです。彼らの音楽を聴くと “本能” を感じるのですが、それがまさに私が一番好きな音楽ジャンルである “ロック” のイメージなんです。AC/DCの他にも “本能” を感じるような音楽にインスピレーションを受けている気がします。人によって本能や表現方法が全て異なるので、一言で “本能” といってもミュージシャンによって実に多様で、毎回新鮮に感じられます。

楽曲制作の際は、自分さえも想像できないほど “ありのままの本能的な自分” を常に表現したいと考えています。 “本当の姿” ・ “真正性” ・ “本能的”という言葉に出来るだけ近いものを表現したい。この3つの単語には微妙に違いがあると思いますが、大体そのどこかに表現したいものがあります。全て個人的な感覚から来るもので、言葉で表現するのはなかなか難しいですけどね。

AC/DCの曲の中では、特にThunderstruckが好きです。

 

7インチレコード発売について

ー「Ashby Road」「Dive」の2曲がレコードになり、しかも日本で初めて発売となった率直な感想を教えてください。

日本にはマニアが多く音楽を聴くリスナーも多い印象があり、そんな日本で私の大切な曲をレコードとして発売することができ、感謝と喜びの気持ちでいっぱいです。レコード発売自体も初めてでときめきます。

ー基本ストリーミングで曲を聞くことが多いと思いますが、普段アナログレコードで音楽を聴くことはありますか

おっしゃる通り、普段はストリーミングサービスで音楽を聞くことが圧倒的に多いです。世界中の音楽に簡単かつ迅速にアクセスできることは、今の時代ならではですよね。欠点もあるかもしれないですが、私にとっては良い影響です。

実は、レコードで自分の楽曲を聴くのは今回が初めてです。私が幼少期の頃は、まだ周りがカセットテープやCDで音楽を聴いていた時代だったのですが、今振り返ってみるとその時代もよかったなと思います。ジャケットが素敵な新しいアルバムを集めて楽しかった記憶があるので、音盤を通して音楽を聴くことで感じられる懐かしさがきっとあるはず。

今回のリリースをきっかけにレコードに興味を持ち始めた自分がいます。レコード入門として、まず “音楽の持つ新鮮な匂い” を知れるのではないかと楽しみです。これまでレコードショップに行くことはあってもまだ実際に買ったことがないので、最初に買うレコードは自分の作品と決めています。レコード発売後、カセットテープやCDを集めていた以前のように、再びアナログ媒体を集めて音楽を聴く趣味ができそうでとても楽しみです。

ーA面収録曲「Ashby Road」の魅力をえてください。

私はソロ活動で、主にソングライターという立場に重きを置いて作詞と作曲をしてきましたが、この曲を準備する中でより歌い手として集中してみたいという気持ちが湧き、作詞は依頼し提供していただきました。英語は上手くないのですが、英語の歌詞を書いて歌ってみたいとも思っていました。

作曲家としては、90年代のブリティッシュ・ポップのような雰囲気を作りたいと思っていました。イギリス・ラフラバーにあるAshby Roadの夕焼けの写真を見てインスピレーションを受け、「夕焼け空」をイメージしながら作曲をしました。

歌手として作曲家として一番盛り込みたかった核心的なフィーリングがあるとすると “Bittersweet” と言いたいです。

ーB面収録曲「Dive」の魅力をえてください。

「Dive」は “恋人と会った瞬間の中に飛び込んで永遠に生きたい” というテーマを持っています。曲を書いていた時、私はイギリスにいる恋人と遠距離恋愛中でした。当然なかなか会うことができなかったのですが、一度会うと、彼に対する懐かしさがより強くなり、その人の姿、一緒に歩いた道、その時の天気など、その時感じることができた全てのものをたくさん頭に思い浮かべながら書きました。

音楽的には、 “波” を表現したいという思いがありました。波のように押し寄せてくる懐かしさ。その中に飛び込みたい。

ー今回の「Dive」にしてもそうですが、バンド活動時代から今まで "水" をテーマとして扱っている曲が多い気がします。

私のソロアルバムでは、意図的に “水” をテーマにシングルアルバムを発売しましたが、バンド時代の作品は偶然ですね。ソロデビューEP『Rise From The Ashes』は砂漠をイメージしながら作ったアルバムで、次の曲は相反するように水を連想して作りたいと考え、水を題材にした経緯があります。

ー「Dive」のMVを見たのですが、最初から最後までLuli Leeさんの恋人の視点から撮影された映像が使用されており、まるでヨーロッパで一緒にデートしている気分になれる素敵なMVでした!撮影時の印象的なエピソードがあれば教えてください。

先ほど説明したように、「Dive」自体は恋人と一緒に過ごす幸せな時間に永遠にいたい気持ちを込めた曲なわけですが、イギリスにいる彼に会いに行くことを決める1週間前に今回のMVの構想を閃きました。今回のデートで、こうしたリアルなビデオを撮ることで、私が歌に込めたかった思いをより上手く表現できる気がしたんです。だから彼に撮影をお願いして、イギリスと周辺の国を旅しながら映像を残していきました。

映像に出てくるシーンは、ありふれた風景と私が歩きながらカメラを見つめる普通のシーンなのですが、実はこれらは二人で一緒によく通っていた特別な場所であり、お互い見つめ合う姿は私が遠距離恋愛中にいつも思い浮かべていた恋人の姿なんです。そこで、自然な旅の場面から彼を見つめ合うシーンを主に編集して入れました。映像に映る一コマ一コマこそが、曲中で語る永遠に過ごしたい瞬間そのもの。主人公が私ではなく彼だったらもっと完璧だったと思いますが、彼が見ている世界がどんなものか映像を通して確認することができ、良い機会になりました。

映像を専門的に作る方々、リスナーの方々には、もしかしたらこのMVが素人っぽい不十分な映像に見えるかもしれませんが、歌に込めた私の感情を上手く表現したMVに仕上がっています。彼が撮ってくれたからこそ、心から愛する人を見る演技ではない自然な私の表情を見ることができます。おそらく “恋人との旅行” という台本を持って演技をした場合、今回のような本物の表情は出せないと思います。演技に関しては才能がないんです。

ー最後になりましたが、今回のレコードを手にした日本の方に向けて、メッセージをお願いします。

今年も日本に旅行に行く計画をしていたのですが、コロナのせいであきらめることになり残念でした。ところが、今回のレコード発売を機にレコードに姿を変えて日本に行くことができるような気がして、感謝の気持ちでいっぱいです。このようなインタビューを通して日本語で私の音楽を伝えられるのもとても喜ばしいことです。

私の音楽を知って愛おしく思ってくださる方々が増えたら、いつの日か旅行ではなく公演のために日本に行くことができますよね...?ちょっぴりときめきます。

私の音楽が日本の音楽ファンの方々にも受け入れてもらえるとすごく嬉しいです。コロナで大変な時期ですが、私の音楽が少しでも慰めになることを祈ります。健康には十分気をつけて。本当にありがとうございました。

 

BUZZYROOTSでは、Bside K-indie Seriesの情報をどんどんアップしていきますので、ぜひチェックしてください!

協力・監修:Bside Label

 

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  • この記事を書いた人

Akari

1994年生まれの自称、韓国音楽PR大使。インディペンデントな韓国のミュージシャンや業界人を中心にインタビューやコラムを執筆。「韓国の音楽をジャンルレスに届ける」をモットーに、韓国インディーズ音楽特化型メディア「BUZZYROOTS」の運営やDJイベントへの出演、アーティストのアテンドなど、多岐に渡り活動中。一番の推しバンドは、SURL。

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