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韓国発・オンライン音楽ブランド『Kozypop』 創立者が描く海外市場とキュレーションとは 後編|INTERVIEW #2

2019-11-24

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韓国発・オンライン音楽ブランド『Kozypop』 創立者が描く海外市場とキュレーションとは 後編|INTERVIEW #2

2019-11-24

SNS・YouTubeチャンネルを通じてChill Music(チル・ミュージック)を中心にキュレーションビジネスを展開し、世界中のリスナーを抱える「KozyPop(コージーポップ)」は韓国発のグローバル・カルチャー・メディア《Link6》が始めた音楽ブランド。創立者のA Juneは自身もミュージシャンとして活動する傍サービスを通じてアーティストのプロモーションも手掛けている。

日本でも耳の早い韓国音楽Diggerたちに知られており、TwitterやInstagramでシェアされているようだ。しかしどのようなメディアなのか知らない人も多い。

前編に引き続き、後編ではKozypop以外の事業について、また事業全体から考える韓国音楽市場についてや今後の展望について訊いた。


海外リスナーはどのように増えていったのか?

ーー先ほどのお話でも海外リスナーについてありましたが、総合20万人のフォロワー数はやはり海外の方が大部分を占めているのでしょうか?

海外の方は全体的にそんなに多くありません。ですが、唯一Spotifyでは外国人のフォロワーが多いようです。私たちの課題でもありますが、そのような海外ファンを巻き込んでいけたらもっと増えていくと思います。YouTubeも現在フォロワーが約6万3300人ぐらいになりますが、海外ファンが多いというわけではないですね。とにかくSpotifyではとてもたくさん聴かれているようです。

ーー私もSpotifyをきっかけに知りましたし、Spotifyから海外に広がっていったんですね。

私が見る限りですが、SpotifyオリジナルのK-popのプレイリストや、キュレーターたちが選んでくれたプレイリストでKozypopの曲が選ばれ、人気が高まっているようです。 韓国のアーティストを紹介する上で、選ばれたプレイリストのカテゴリーがK-POPで、 こういったプレイリストから知られていることは良いことだと思っています。その次に「HIPHOPKR」というカナダ発の韓国HIPHOPファンサイトがあるのですが、そちらでもKozypopの音楽が紹介されており、そこを通じてのファンもいますね。しかし、私たちが使っているSNSでは、韓国人がほぼ大部分を占めていて、私たちが見る限り、Spotifyのフォロワーは韓国よりも大部分が海外の方ですね。日本や、アメリカもありますし、インドネシアとか、全世界の方がたくさんいて、このファンダムがもっと大きくなると良いなと思っています。SNSに音楽をあげてくださっていたり、ツイートや投稿など見かけていますが、 まだこのような情報が日本や海外のファンたちに伝わっていないんです。 私たちのチャンネルからもっと広められる方法が不足していると感じており、なのでこのようなインタビューはとても嬉しいです。

BGMサービス "Kozytape"を開始 

ーーKozypopの事業のほかに、Link6のサイトで「Kozytape」というRoyalty FreeのBGMサービスというのを拝見し、とても印象的でした。始めた経緯というのは?

元々〈Chill hop Music Channel〉のほうでサービスを始めたんです。様々な国のLo-fi音楽のプロモーションをどのように進めていこうか考えた結果、VlogやYouTubeなどの動画投稿サイトでBGMとして使えるようにする代わりに、クレジットを載せてもらう形態でのサービスが始まりました。サービスを進めていくことで、とても多くの方に聴いてもらえるようになりました。今では、これらの楽曲を通してスターアーティストにさせることが出来ています。その流れで韓国の音楽でもこの事業が展開出来るか興味が湧き、そして「Kozytape」を作る経緯に至ったのですが、韓国ではBGMサービスで収益を得ている会社はほぼ無い状況ですね。また、私もインストの音楽を制作したりするのですが、そういった音楽を聴くリスナーも多くはないため、韓国で注目を浴びることはあまりないんです。それでもアーティスト仲間に「クレジットを入れてもらう代わりにRoyalty Freeで提供する、このような方法で曲をリリースしてみるから、一度やってみない?」と誘って始めました。特にプロモーションは大々的にしていないのですが、 とても有名なYouTuberが使ってくれたことをキッカケに多くの人に聴いてもらえたり、嬉しいことに音源の良さを活かして使ってもらっているようです。その部分ももっと拡散させてやってみたいとは思っていますが、まだ韓国ではBGMマーケットが大きくないので、難しいですね。それよりもアーティストともっと連携していきたいという考えです。



音楽市場の未来と今後の展望

ーー今までの事業を通じて韓国の音楽市場とリスナーの動向はこれからどのように発展されると予想されますか?

大衆はいつも新たな音楽を必要としているため、市場は変わらず好況だと思います。リスナーについて、多くのアルバムが毎日聴けるという状況で、大衆は以前よりも無条件に、より自身が好むものは何なのか明確に分かっていて、これを疎通することを望んでいる、という環境にあると思います。そのため、私たちはこのような動向に補足していくことが重要だと考えています。

ーー最後にKozypopさんの今後の展望について教えてください。

現在の音楽市場は見るに専門的でグローバルな市場として表出されていると思います。私たちは韓国を起点として多くのアーティストたちが海外アーティストたちとより交流してファンを抱えることを願いつつ、今後このためのプロジェクトたちが準備されています。未だ足りない部分が多いですが、より多様なジャンルを紹介し、大きくて小さいプロジェクトたちを通して一つの巨大なコミュニティーになることを望んでいます。

編集後記に寄せて

取材こぼれ話 

取材後、翌日に参加予定だった"RAP BEAT FESTIVAL”についての話になり、A Juneさんは出演アーティストの中からCherry Coke、Blooに注目しているとのお話が。Cherry Cokeについては、Colorsというドイツの音楽プラットフォームメディアを運営するミュージシャン仲間からどんなアーティストなのか気になっていると訊かれ、海外の感覚でクールと感じてもらえるアーティストと感じたそう。またBLOOについては、普段運営メンバーがディギングする際にSNSでよく話題になっているアーティストで、個人的に好きなアーティストであるが、今後海外ファンも多くなりそうと期待しているとのこと。

実際に両アーティストを観に行ってみて、客席にはわずかながらではあるが、外国人も見かけた。タイムテーブルで言っても序盤であったが、実力あるパフォーマンスで、これからが期待されるアーティストと感じた。

Cherry Coke - Like I Do

BLOO - Downtown Baby

最後に

日本でもじわじわと浸透しているものの、SpotifyやSNSなどの影響か彼らを「アーティスト」と認識されていることが多いKozypop。私もそのように思っていたが、今回のインタビューを通し、多角的に音楽ビジネスを展開するユニークで革新的なメディアという印象を受けている。各サイトのプレイリストや、Spotifyにてリリースされているコンピレーションアルバム『Seoul Vibes』やBGM利用可能の楽曲を集めたプレイリスト『KozyTape』はフィジカルでのリリースは無く、現在はオンラインのみで聴くことが出来る。「ストリーミング大国」と呼ばれるほどオンラインで音楽を楽しむことが定着している韓国。BTSの躍進、BLACKPINKの“Coacella”出演などK-POPアイドルの海外での活躍など、インターネットを通じて着実に韓国音楽のファンダムは日々拡大していっている。また、ビジネスが起こる根幹が海外のミュージシャンとのコミュニケーションとの中で起こるという点が面白い。韓国国内では携帯キャリアの運営するサービスやテレビの音楽番組の影響は大きく、キュレーションサービスが未だ定着化しないことも一つの例であるが、インディアーティストにとって知ってもらう機会というのはあまり多くはないようだ。その中で、彼は常にグローバルな視点を持っている。海外のミュージシャンと交流し、積極的に音楽消費の新たな形を模索している。そんな刺激を与えてくれるミュージシャンたちをビジネスパートナーではなく「友人」と呼ぶ。現在A Juneさんは30歳。高校生の頃から作曲を始め、ミュージシャンとの交流の中で現在のビジネスに取り組む流れとなり、周囲の仲間に支えられながら運営していき、今年で8年目という。彼の発言の中で何度か登場した「一つのコミュニティーを作りたい」という言葉がとても伝わってきた。ファン同士、アーティスト同士の垣根を越えて音楽を愛する者が相互に交流できる場というのは、オンライン上で楽しめる時代だからこそ可能なことであるし、だからこそ実現していかなければならないことなのかもしれない。

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Izumi

韓国ミュージックライター。他業界とパラレルワークで活動中。ドラマ、音楽をはじめ韓国エンタメ愛好歴は10年以上になるが、ライターとしてはまだ4年目。 韓国留学を機にインディシーンの虜に。 自由な表現でアイデンティティを発信している新進気鋭のアーティストを広めるべく、業界人やアーティスト等にインタビューし記事を掲載するほか、プロモーション記事企画や映像企画を実現。 近年ではアジアのミュージシャンに活動の範囲を広げ、多岐にわたり活動している。

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